グローバル開発座談会

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協和キリン流の「グローバル開発」 「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」とは。

製薬各社が今後の事業展開をグローバルなステージに求めている中、協和キリンはどのような形でそれを実現していくのか-グローバル開発職として活躍する3人の中堅社員に話を聞きました。

  • 創薬研究1

    研究開発本部 臨床開発センター
    2007年入社

  • 創薬研究2

    研究開発企画部 アジア開発戦略グループ
    2003年入社

  • 臨床開発

    研究開発本部 臨床開発センター
    2002年入社

01 欧米、アジア、そして日本-3人が手掛けている仕事とは

創薬研究1
私は、2016年から協和キリンの米国法人(Kyowa Kirin Pharmaceutical Development, Inc.)に約3年駐在し、日米欧での国際共同治験の実施、その新薬の日米欧への承認申請業務、米国での新薬承認審査の中で行われるFDA(米国食品医薬品局。日本の厚労省に相当)による査察への対応を担いました。現在は、臨床開発センターに所属し、パーキンソン病治療薬として開発進めているKW-6356というアデノシンA2A受容体拮抗薬の臨床計画責任者を務めています。
臨床開発
入社以来、臨床開発担当者として、中枢神経領域、特にパーキンソン病の治療薬の開発に携わっています。2016年から2年間、韓国現地法人(Kyowa Kirin Korea Co., Ltd.)で臨床開発部門のチームリーダーとして腎領域、がん領域、免疫アレルギー領域の臨床開発全般のマネジメント、日本本社とのリエゾン役を務めました。現在は、臨床開発センターのマネジャーとして、KW-6356の開発全体を統括しています。
創薬研究2
私は、2013年から中国現地法人(Kyowa Hakko Kirin China Pharmaceutical Co., Ltd.)において3年半、現地開発部門長の補佐的な立場で臨床試験や薬事業務など開発全般のマネジメント、そして日本の本社間とのリエゾン機能を担いました。日米欧で承認された新薬を中国でも開発し、市販できるようにすることが主な業務でした。現在は、2019年7月に新設された研究開発企画部アジア開発戦略グループに所属し、台湾/アジア地域リーダーとして、中国や韓国の現地法人リーダーと協業しながら、アジアでのグローバル開発業務をマネジメントしています。
スタッフ3名の写真

02 グローバル開発ならではの難しさなど

創薬研究1
パーキンソン治療薬のイストラデフィリンを米国で新薬承認申請したケースは苦労しました。FDAに新薬申請を行う際は、通常、欧米で試験をして得られたデータを提出し、FDAが査察を実施する病院は欧米の病院なのですが、今回のイストラデフィリンの新薬承認申請の場合、申請データの一部は10年ほど前に日本で実施した試験から得られたデータであり、そのためFDAによる査察も日本国内の病院で行われました。厚労省とFDAでは新薬開発に対して課しているレギュレーションが違いますので、日本と米国ではデータの収集方法や病院のありようも当然違ってきます。ですから、FDAが何を求めているのか、我々が提出している情報には何が足りないのかを探り、それを日本の本社メンバーに収集してもらう、という作業を繰り返してようやくFDAの査察が受けられる状態になりました。
臨床開発
イストラデフィリンはもともと欧米で先行して開発が進んでいたものの、試験がうまくいかず開発が停滞した状態になっていて、後発で開発が進められた日本において先に新薬承認を取得した、という逆転現象が起きていたのも状況を難しくした要因ですよね。
創薬研究1
そうでしたね。また米国の場合、病院や医師と製薬会社の関係性はほぼ対等と言っていい状態ですが、日本は必ずしもそうではありません。そのような状況で、10年前に実施した臨床試験に参加頂いた医師から、FDAが要求する情報を改めて収集しなければならない・・・この難しさを、米国現法の現地スタッフに理解してもらうことが大変でした。
臨床開発
逆に、日本のメンバーが欧米など現地の事情をまだまだ十分には分かっていない、というところも難しさになり得ますよね。
創薬研究2
医薬品を扱う以上、開発や販売を行う各国の当局とやり取りをし、当局の指示に従って進めていかなければならないのはアジアももちろん一緒です。ただアジアの場合は、お二人がおっしゃったよりもう少し広い範囲、行政によるガバナンスの方針がいきなり変わる、という事態に対処しなければならないケースが多いように思います。例えば、医薬品承認申請中のすべての製薬会社に対して、臨床試験のデータの見直しと修正を要求されたこともあります。この件は、業界が騒然とするくらい大きなインパクトがありましたね。本社を巻き込んだ議論の末、現地法人に判断が一任されましたが、結局立ち返ったのが「Commitment to Life」という我々の理念。ここに基づいて、進め方を決めていきました。
臨床開発
物事の本質に立ち返ったりして、「なんのためにこれをするのか」と考えることは大切ですよね。私が駐在した韓国の現地スタッフも、とても優秀で仕事のスピードも極めて早くてびっくりするくらいだったのですが、業務の本質をきちんと理解できているかな?と思ってしまう面もありました。ですから、私の方から仕事の意味や本質、そこから考えることのできる次のアクションは何か、などを常に問いかけ、考えてもらうようにしていました。
スタッフの写真

03 それぞれの市場の展望と、協和キリン流の「グローバル開発」

創薬研究2
医薬品市場では、世界を眺めても欧米と日本が大きな市場であり、技術も先進的です。だからそこでしっかりと市場に存在感をアピールすることは大事です。ただ、例えば日本では政策として医療費を抑えようという方向にあるなど、今後の伸びについては不透明な面もあるのが事実です。その点、中国や台湾、東南アジアなどアジア市場は発展の真っ最中にあり、ポテンシャルが高い。先ほど申し上げたような難しい面もあり、成功している会社は決して多くないのが現状ですが、あきらめずに挑戦して地歩を築いていきたいですね。人々が豊かになれば、健康に対する意識が高まり、高い品質や信頼性の高い医薬品が求められます。日本ブランドに対するニーズが高まる余地は十分にあります。
また、アジア各国当局も、日本や欧米で承認を受けたものを後追いで開発するのではなく、自国の国民にいち早く先端の医療を提供できるよう、先進地域と同時に開発できるような体制を整えてきています。今後は、日本、欧米、アジアの各地域同時進行のグローバル開発、というスタイルのプロジェクトが増えていくのではないでしょうか。
創薬研究1
私たちが目指しているのは「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」です。自分たちが有している得意分野、自分たちが蓄積してきたノウハウを持って、グローバル展開していこうということです。ですから、例えば、海外の製薬会社を買収することで開発品目も増え、規模も大きくなるものの、日本の本社がその会社の開発の実務にあまり関わらない、という開発体制は我々のグローバル化の手段ではないと考えています。
創薬研究2
そうですね、アジア市場もまずは腎領域と血液領域から実績をつくりはじめて、今後はそこに中枢領域や免疫領域を加えていく、という展開ですね。どれも、私たちが得意としている領域です。
臨床開発
そのような中で、研究開発部門を中心にvGDO(virtual Global Development Organization)というバーチャルな組織が最近結成されました。これは、開発や承認申請など実務における課題を、日本、欧米、アジア各地域から結成されたグローバルメンバーで考えて、知恵を出し合おうという意志の表れとなったものです。
協和キリングループとして、日本に本社があり、米国、韓国、中国などに現地法人があり、それぞれに開発部門があって、業務の進め方もそれぞれでした。当社が掲げているOne Kyowa Kirinのスローガンのもと、ひとつになって業務の質を高めていこうとしています。
創薬研究1
私が駐在員として米国に赴任して活動していた際は、正直、まだ本社と現地の考え方や目指すものにわずかですが違いがあり、その調整に苦慮する局面がありました。
現地スタッフと苦労を共にした経験があったからこそ、現地スタッフは私が米国の事情を理解していることを覚えてくれています。そんな背景もあり、今でもフレンドリーに接してくれますし、私からのお願いごとにも前向きに取り組んでくれています。ですから、One Kyowa Kirinのコンセプトを前進させるうえでは、グローバルな人的交流による相互理解が寄与するのではないかと考えています。
創薬研究2
人の交流は、絶対に必要だと思います。現在、我々とは逆に、アジア各国の現地法人から日本(本社)にメンバーを招いて、日本のスタッフと交流し本社の環境や考え方などに直接触れてもらうことで、One Kyowa Kirinの実現を促進しよう、という計画を考えています。
臨床開発
近い将来、そうした動きがさらに進めば、働いている場所は(国籍などと)関係なくなるのではないでしょうか。
創薬研究2
そうですね。今後はますます、日本での採用であってもグローバルで活躍するチャンスは増えていくでしょうね。
臨床開発
世界のどこで働いていても私たちがOne Kyowa Kirinであるための軸、根幹となるのが「私たちの志」になると思います。ちなみに、「私たちの志」は、英語はもちろん、韓国語や中国語にも翻訳されています。各国の現地法人社員に「私たちの志」を深く理解してもらうために、定期的に勉強会なども行っています。育ってきた環境や文化が違うメンバーとも一緒にOne Kyowa Kirinを形作るうえで、「私たちの志」は非常に大切なものになっていると思います。
スタッフ3名の写真