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慢性腎臓病(CKD)


DREAMGUIDE


おいしく 楽しく軽やかな糖尿病ライフ D:Light Plus

監修:京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授 稲垣暢也先生

食事療法

食事療法の意義

食事療法の目的

食事療法は、すべての2型糖尿病患者さんに必要な基本的な治療法です。食習慣を改善し、血糖値を良好にコントロールすることが目的で、糖尿病の疑いがあると診断されたときから開始します。
『食事療法=カロリー制限』の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。
バランスのよい食事を楽しみながら、正しい食習慣を身につけましょう。

食事療法イメージ

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき2020 改訂第58版, p.62, 南江堂, 2020

食事療法の実際

1日のエネルギー量の目安

1日当たりの適正なエネルギー量は、目標とする体重や身体を動かす程度などにより異なります。自分に適したエネルギー摂取量を以下の計算式から算出してみましょう。なお、小児では年齢ごとに成長に必要なエネルギー量や個人の活動量も考慮しなければなりませんので、主治医や管理栄養士と相談してください。

1日のエネルギー量の目安イメージ

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき2020 改訂第58版, p.62, 南江堂, 2020

例)デスクワークが多い会社員男性、170cm、80kg
⇒標準体重・・・1.7(m)×1.7(m)×22=63.6(kg)
⇒エネルギー摂取量・・・63.6(kg)×25(〜30)(kcal)=1,590(〜1,908)(kcal)

デスクワークが多い会社員男性イメージ

栄養素のバランス

糖尿病食は、栄養素別にみて総エネルギー量(カロリー)の40〜60%を炭水化物から摂取し、さらに食物繊維が豊富な食物を選択します。たん白質は20%までとして、脂質は25%以下とするのが目安です。また、もし25%を超える場合には飽和脂肪酸を減じるなど脂肪酸組成に配慮が必要です。

栄養素のバランスイメージ

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド 2020-2021, p.49, 文光堂,2020

食品交換表

1日のエネルギー量を適正にして、バランスよく栄養素を配分するために『糖尿病食事療法のための食品交換表』(『食品交換表』)が用いられます。
『食品交換表』では、食品を主に含まれている栄養素により6つの“表”に分類しています。また、80kcalを1単位として、それぞれの食品1単位分の重さ(g)を示しています。主治医や管理栄養士が1日の指示単位と、各表への振り分けを指示しますので、それにしたがって患者さん自身が食品を選択することで、簡単に理想的な栄養バランスの食事をとることができます。
なお、1単位が80kcalになっているのは、日本人が日常の生活でよく食べる量が80kcalまたはその倍数になっているためです。

食品分類表

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版, p.13, 文光堂, 2013

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食事療法の注意点

食事の時間は規則正しく

朝・昼・晩と規則正しく食べて、間食は避けます。1日1、2回にまとめて食べたりすると、膵臓に大きな負担をかけて、糖尿病が悪化してしまいます。仕事などで規則的な食事ができない場合などは、1日の総エネルギー量から決められた分を間食としてとるといった工夫をします。

ゆっくり、よく噛んで、腹八分目

食事をしてから満腹感が得られるまでには、ある程度の時間がかかります。ゆっくりとよく噛んで食事をすることで、必要以上に食べることを防ぐことができます。

食品の種類はできるだけ多く、バランスよく

食品の種類はできるだけ多くとり、栄養素が偏らないようにしましょう。

脂質と塩分は控えめに

脂質が多い食品を多くとると、脂質異常症となり動脈硬化が進行するおそれがあります。特にコレステロールや飽和脂肪酸が多い食品は控えめにしましょう。
また、食塩の量が多いと、高血圧の原因となり腎症や網膜症をはじめとした合併症が進行するおそれがあります。味付けは薄くして、食塩の量を減らすようにしましょう。理想的な食塩量は、1日に男性は7.5g、女性は6.5g未満ですが、高血圧を合併する患者さんでは6g未満にすることを心がけましょう。

食物繊維をとる

野菜、海藻、きのこなど食物繊維を多く含むものは、食物の消化吸収をゆっくりにして、血糖値の急激な上昇をおさえます。さらに空腹感をおさえる効果もあるため、積極的にとるようにしましょう。
食物繊維は1日20g以上を目標にとるとよいでしょう。

外食するとき

外食は、一般的に『総エネルギー量が高い』、『塩分・糖分が多い』、『野菜・ミネラルが不足しがち』となる傾向があります。エネルギー量や栄養成分について確認することが難しいため、普段の量より多ければ残すことや、丼物といった単品メニューではなく、品数が多い定食メニューを選ぶなどの工夫をしましょう。外食のエネルギー量や栄養素のバランスを見分けられるように、日頃から食品の量をはかる習慣をつけておくのもよいでしょう。

外食するときイメージ

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき2020 改訂第58版, p.62-66, 南江堂, 2020

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2021年9月 CC-00016