ARQ 197に関する非小細胞肺癌患者を対象としたエルロチニブとの併用第Ⅲ相臨床試験の患者登録一時中断について

協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、現在進行中のARQ 197※1(一般名:tivantinib)に関する進行又は転移性の非小細胞肺癌患者※2を対象としたエルロチニブ※3を併用したアジア(日本、韓国および台湾)での第Ⅲ相国際共同治験(ATTENTION試験※4)について、安全性評価委員会※5(Safety Review Committee)の勧告により、患者登録を一時中断しましたのでお知らせします。

本試験は、ARQ 197とエルロチニブ併用群と、プラセボとエルロチニブ併用群を比較する無作為化二重盲検比較試験であり、この試験において副作用として発症した間質性肺疾患※6(Interstitial lung disease)の頻度を踏まえ、被験者の安全を第一に考え、一時中断に至ったものです。

非小細胞肺癌は、優れた有効性と安全性を持つ治療法が必要とされている疾患ですので、追加調査を実施し再開を目指します。

協和発酵キリンは、2007年4月27日に米国ArQule※7(アーキュール)社との間で、ARQ 197の日本ならびにアジアの一部(中国、韓国および台湾)での独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結しております。

  • ※1.ARQ 197(Tivantinib)
    ARQ 197は、ArQule社によって創製されたc-Met(受容体チロシンキナーゼ)を選択的に阻害する経口投与の低分子化合物です。c-Metは肝細胞増殖因子受容体で、広範な固形癌で高発現、活性化しており、その発現は腫瘍の浸潤や転移に関与し、腫瘍の悪性度と相関していると報告されています。
  • ※2.非小細胞肺癌
    肺癌は小細胞肺癌と非小細胞肺癌の2種類に大きく分類することができます。非小細胞肺癌は、さらに扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌等に分類されますが、ATTENTION試験では扁平上皮癌を除いた非小細胞肺癌を対象として臨床試験をおこなっています。
  • ※3.エルロチニブ
    エルロチニブは、上皮成長因子受容体のチロシンキナーゼを選択的に阻害する経口投与の分子標的薬です。非小細胞肺癌を対象とした適応を取得しており、商品名はタルセバ®です。
  • ※4.ATTENTION試験
    ATTENTION試験はAsian Trial of Tivantinib plus Erlotinib vs. Erlotinib for NSCLC without EGFR Mutationの略です。詳細は以下を参照下さい。
  • ※5.安全性評価委員会(Safety Review Committee)
    安全性評価委員会とは、安全性データを評価するために設置された委員会です。本委員会は、治験依頼者と独立 して、安全性の評価を行い、治験依頼者への助言を行います。
  • ※6.間質性肺疾患
    間質性肺疾患とは、びまん性肺疾患に属し、病理組織学的には肺胞間質(肺胞壁)あるいは細気管支周囲間質に 病変の主座がある疾患群です。炎症を起こし、コラーゲン等が増加して壁が厚くなる病気です。間質性肺炎になる と、呼吸困難、発熱、乾性咳嗽等の症状が現れます。進行すると肺は線維化して、さらに硬く小さくなり、広範囲で この線維化が起こると、呼吸不全となり、死に至ることがあります。
  • ※7.ArQule(アーキュール)社
    設立は1993年。1996年にNASDAQに上場した次世代の低分子抗悪性腫瘍剤の研究開発に特化した米国の医薬開発会社です。本社はWoburn, MA(米国マサチューセッツ州ウォーバン市)、CEOはPaolo Pucci氏 です。URL:http://www.arqule.com/別ウィンドウで開きます

本件に関するお問い合わせ先
協和発酵キリン コーポレートコミュニケーション部
03-3282-1903

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