特発性血小板減少性紫斑病(ITP*)は血小板が減少し、その結果として出血の危険が高まる病気で、国が指定する難病の対象になっています。
ITPの治療の目標は、必ずしも血小板数を正常に戻すことにあるのではなく、危険な出血を防ぎ、かつ生活の質を向上させることにあります。
血小板数が5万/μL以上であれば通常は出血の危険はほとんどありませんので、定期的に血小板数と出血症状をみながら経過を観察します。
*ITP=Idiopathic Thrombocytopenic Purpura、又はImmune Thrombocytopeniaの略
特発性血小板減少性紫斑病とは
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明らかな基礎疾患や原因薬剤の関与がなく血小板の数が減少し、出血症状をひき起こす病気です。
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血小板以外の赤血球や白血球には、異常はみられません。
特発性血小板減少性紫斑病の特徴

リファレンス:
*:柏木浩和 他.厚生労働省難治性疾患政策研究事業血液凝固異常症等に関する研究班:「ITP治療の参照ガイド」作成委員会,臨床血液60:877-896,2019一部改変
**参考:難病情報センターホームページ(https://www.nanbyou.or.jp/)2024年12月17日現在
なぜ血小板が減少するの?
何らかの原因で血小板膜上の糖蛋白に対する自己抗体(自分自身の血小板を破壊する抗体:血小板抗体)が産生され、血液中で血小板に結合します。この血小板抗体が結合した血小板は脾臓などに取り込まれ、マクロファージという細胞に貪食・破壊され、血小板が少なくなる現象が起こります。
また、最近では、この血小板抗体は骨髄での血小板産生能も障害し、血小板産生を低下させるといわれています。
なぜ「自己抗体」ができるのかについては、はっきりしたことはわかっていないのが現状です。
<特発性血小板減少性紫斑病(ITP)における血小板減少の機序>

