創薬研究

研究開発本部 低分子医薬研究所

薬学研究科
2007年入社

現在の仕事内容、研究内容は?

私の主な仕事内容は、学生時代より培った有機合成化学の知識を基に、医薬品の有効成分となる新規化合物を見出すことです。疾患細胞あるいは標的タンパク質に対して活性を示すシード化合物から、患者さんが安心して使用可能な高薬効・高い安全性を示す医薬品候補へと導くことが最大のミッションです。また、低分子医薬品開発では薬効が期待される化合物でありながら、標的分子がわからないままに研究を進めることがあります。そのような研究に関しては、標的候補探索に取り組みこともあります。現在は、より幅広い視点から創薬の可能性を考えられる研究員を目指し、細胞を用いたアッセイも自身の業務として実施しており、近々にテーマ提案と研究の本稼働を予定しています。

学生時代の研究内容は?

学生時代には複雑な天然物を有機合成化学を通じて作りあげる研究をしていました。研究室を選択した理由は患者さんを救うことができる医薬品の有効成分となる分子を、自分の手で作りだせることができると思ったからです。多彩な有機化学反応を学ぶとともに、実際に活用して世の中に希少な化合物を供給することを目標としておりました。不斉炭素を複数有する天然物を如何にして効率的に構築するかを日々考えながら研究していました。残念ながら在学中に目的物を作り上げることはできませんでしたが、多くの優秀な同僚達と切磋琢磨しながら、研究の楽しさと難しさを学ぶことができました。学生時代の経験は、入社後すぐに携わった自社で単離された天然物からの創薬研究にも活かすことができました。

協和キリンの技術的強みは?

「低分子医薬研」という名前からは、低分子化合物のシーズ(薬の種)から誘導体展開を実施する研究員が多いと思われる方もいるかもしれませんが、ケミカルバイオロジーやタンパク調製に特化した研究員、大量合成の基礎検討を実施するプロセス研究員の一部も本研究所に所属しており、低分子医薬研だけでも広い研究業務を各研究員が密に連携しながら担っています。
化合物を合成する立場としては、低分子のみならずに抗体や核酸といったさまざまな創薬モダリティでの薬剤フォーマットでモノづくりの力を発揮できること、すでに発揮されている研究員が多くいることが協和キリンの特徴かつ強みだと思います。

目下取り組んでいる挑戦は?

入社してから約10年間は低分子創薬の研究員として常に化合物の構造と生物評価の結果とを見ながら、少しでも早く研究テーマのステージアップに貢献できればと考えていました。上司やグループのメンバーと一緒にひとつのゴールに向かって化合物を最適化するのは非常に楽しく、充実した時間でした。その後に取り組んだ低分子化合物を使った技術研究テーマでは、生物評価、物性評価等、化合物の良し悪しを判断する一つひとつの評価内容を深く議論するため知識が不足していることと、化合物合成者と評価者の間では議論がもしかしたら中途半端になってしまっている部分があるのではないかと本気で考えるようになりました。そこで、化合物を直接的に合成するのではなく、化合物の評価を実施する側から間接的に化合物を作り上げることができないかを上司に相談したところ了承してもらいました。現在は細胞を用いる実験やDNAワーク等を実施しながら、化合物の評価も実施しています。もちろん化合物合成のデザインについても他の研究員と相談しながら進めています。

目指すキャリアは?

製薬会社で働こうと思っている合成研究者は誰しもが持つ目標だとは思いますが、最低でも一つの薬を自分の手で合成したいという思いがあります。薬学部に入学から数えても、かなり歳月は経過しましたがその想いは変わりません。むしろ、その難しさを理解できている現在の方が、薬を作ることへの想いは強くなっている気がします。最近では薬を作ることは化合物を単純に合成することではなく、多くの気づきを感受性高く掴んで行動に移すことだと思っています。多くの人が関わる創薬研究では、常にその目標と達成までのイメージを共有することが大切です。そのためには異分野の研究領域もしっかりフォローし、各研究分野の間を取り持てる研究者になっていきたいと思います。少しでも早く上市品にたどり着くための研究マネジメントもしっかりできるようなりたいですね。

研究職の社員たち

※社員の部署・役職は取材当時のものです。