生産プロセス研究

生産本部 CMC研究センター

工学研究科
2004年入社

現在の仕事内容、研究内容は?

CMC研究センターは主に低分子医薬品の原薬・製剤の開発研究を行い、承認申請及び生産立上げに繋げていくことが大きなミッションです。医薬品開発のライフサイクルにおいて、探索研究から開発研究、承認申請、工業化研究から上市後の製品の維持管理など、非常に幅広いステージに関与しています。また、開発化合物が抱える各々の課題を解決するための技術の開発や、将来のCMC技術に着目した基盤技術研究など、業務の内容は多岐にわたります。
その中で私は、主に経口固形剤の製剤開発に従事し、さまざまなステージのプロジェクトを担当しています。それぞれのプロジェクト毎に求められる要件や優先事項が異なる点が難しさであり、やりがいでもあります。例えば、開発化合物を早期に第一相臨床試験に供することが求められる開発初期テーマでは、何よりもスピードが求められます。少ない検討数で素早く治験薬供給を果たすことが重要であり、顕在化する化合物ならではの課題に直面しながらも、タイムラインにミートできるように、その時点でベストと思われる妥協解を探っていきます。
大規模な臨床試験への治験薬供給が必要な開発後期テーマでは、その先にある新薬申請を見据えた製剤の最適化が求められます。一貫した品質のものを安定的に供給し続けることが求められると同時に、スケールアップなどの新たなチャレンジも必要となるため、様々な視点を考慮して最適解を追求していきます。製剤処方や製造プロセスの最適化を図る中では、製剤品質に影響し得る要因を網羅的に把握し、それらが科学的にどのように関与しているかを評価し、その適切な管理方法をリスクベースで確立していきます。さらに、将来の商業生産を見据えて、生産性の視点を加えた評価も必要で、確立した製剤の管理戦略が商業生産において適用可能であり、将来にわたってコスト面や生産性の面でも耐えうるプロセスに仕上げていくことが重要です。

学生時代の研究内容は?

結晶化現象を工業的に制御する晶析プロセスに関する研究室に所属していました。研究テーマは、「超臨界流体を利用した有機物ナノ結晶の生成」。医薬品原薬として知られている有機化合物をモデルに、超臨界状態にした二酸化炭素を溶媒として両者を溶解させ、そこから薬物をナノ結晶として析出させる、という現象に着目したテーマです。当時は、類似の研究例がそこまで多くなかったため、試行錯誤の中でとにかく小さい粒子をいかに得るか、というところを追求していました。専攻していた学術分野が工学研究であったこともあり、この研究テーマが創薬や医薬品開発にどのように結びつき、どのような可能性を拡げているのか、というところに対しては、はっきりとしたイメージを持てていなかったというのが正直なところですが、モノづくりの視点から対象物に付加価値を与えることや、そのプロセス構築に向け工夫するところなどは、製剤研究者が大切にすべき視点でもあり、自身の現在の研究活動への姿勢に影響を与えていると思います。

協和キリンの技術的強みは?

協和キリンにおけるCMC研究では、新たに生み出された価値ある新技術を、実際の「くすり」に実装させていくこと、または既存の技術を飛躍的に発展させ、「くすり」に実装させていくことを意識した新規技術開発が求められています。このようなケースで重要になるのが、協業や協働といったコラボレーションができる環境です。ニーズや課題に応じて求められる技術的要素が多様に変わってくる中で、単一の組織だけで提供できる技術の幅は限られ、その選択肢は制限されます。協和キリンでは、新しい価値を生み出すために、クロスファンクショナルなコラボレーションを促す風潮、その機会が多くあります。研究部門内の連携はもちろん、本部を越えた組織間での協業、社外にパートナーを求めるオープンイノベーションなどによって新たに見出された技術を、価値ある「くすり」にスピード感をもって仕上げていく、それこそが技術的強みの源泉と思います。 また、生産プロセス研究においては、低コスト、高効率、そして何より高品質の製品を安定して生産し続けることが求められ、非常に重要な技術的要素ですが、それを叶える生産現場力を有している点も、大事な技術的強みのひとつであると思います。

目下取り組んでいる挑戦は?

多くのプロジェクトに携わっていますが、そのうちの多くは海外の事業場メンバーやパートナー会社との協業が必要です。言語的な挑戦はもちろん、海外の人の考え方や仕事の進め方を理解し、よりスムーズな業務遂行ができ、力強い協力体制が引き出せるようにしたいと考えています。また、CMC研究の多くはチームでの業務が必要であるため、いかにチームとして高いパフォーマンスを短期間で発揮できるかは、常に意識しているところです。やりたいこと、やるべきことが増えてきているため、スマートワーク、すなわち効率的な業務の遂行は、自身の目下の大きな挑戦ですね。

目指すキャリアは?

担当しているテーマのうち、グローバル開発品があり、その承認取得を達成することができました。長い開発期間を経て、ようやく完成した承認申請書に含まれたデータのうち、自身が携わったものだけでなく、過去に先輩方が取り組んだものも多く、それらのデータや知識をさながらバトンのように受け取って、申請書を作り上げていくことを経験しました。今度はこの経験を別の品目のグローバル申請に、バトンとして受け渡したいですね。 今回、承認取得が認められた際に、グローバルで構成されたチームの多くのメンバーから、承認を祝うメールを受け取りました。その中のすべてに、一日でも早く患者さまに届けたいという願いと、それをいよいよ果たせるという安どの文面がつづられていたことが心に残っています。世界中の人と繋がって同じ方向を見て仕事をし、価値ある医薬品を一日でも早く世界中の待っている人へ届けることができるという成功体験ができたことは、私にとってとても大きな経験です。これからは、世界に埋没している医療ニーズを知り、それを適える医薬品を一日でも早く提供し、さらにその価値を最大化するという製剤研究にしかできない新しい価値の創造にこだわり、それを世界に届けたいです。

研究職の社員たち

※社員の部署・役職は取材当時のものです。