創薬研究

研究開発本部 TRユニット 安全性研究所

獣医畜産学部獣医学科
2009年入社

現在の仕事内容、研究内容は?

主な仕事内容は、医薬品の候補がヒトに投与されたときどのような副作用が起こり得るかを、細胞や動物を使って評価することです。古くからの手法である動物を使った試験を軸に、標的分子と疾患を考えながら必要だと考えられる評価を加えて行います。結果を見て「これは薬にならない」と判断することも重要ですが、「どうしたら薬になるか」を考えることが腕の見せどころのように思います。まずは機序を解明し、その後は動物でしか見られない反応であることを証明する、投与法を変える、モダリティを変えるなどいくつか打ち手はありますが、毒性回避は幅広い知識が必要で一人だけのアイデアだと到底太刀打ちできないことが多いです。論文、学会、ニュースなど外部情報収集を欠かさないようにしながら、社内外の人たちに相談し知識とアイデアを集めるようにしています。いかに恥を感じないか、外聞を気にしないかがポイントです。
その他、臨床試験で測定するバイオマーカーの測定サポート、医薬品候補の薬理試験のサポートや、医薬品の申請業務のサポートをしています。どの業務も自分の専門である形態学的評価(病理と免疫染色)を軸に、さまざまな専門の人から学び、協力しながら進めています。

学生時代の研究内容は?

スリット状マイクロビーム照射がラット脳に与える影響について研究していました。当時、SPring-8という大型放射光施設ではスリット状の放射線を用いるがん治療の実用化に向けた研究が行われていました。この治療法での腫瘍に対する効果は実証されていましたが、正常組織に与える影響の少なさについての機序解明は進んでいませんでした。私は正常組織の1例としてラットの脳にこのマイクロビームを照射し、その影響としての傷害と修復機転を病理学的に解析していました。通常のブロードビーム照射に比べてマイクロビーム照射では塊状の壊死領域が少ないため、ほとんど脳内の炎症細胞(ミクログリア)だけで組織を修復させることができていました。おそらく血管構造の破綻がブロードビームに比べ少ないためであろうと考察しています。

協和キリンの技術的強みは?

研究員の成長のチャンスが多くあるところだと考えます。よい意味で分業体制が引かれすぎていないので、プロジェクトや部署の垣根を越えて皆が協力し合っており、議論やアイディアの交換、データの共有が活発に行われています。国内外の留学やプロジェクト提案のチャンスがあるだけでなく、4カテゴリーの疾患と多くのモダリティへの投資をしているのでこれはと思うアイデアはすぐに推進してもらえ、積極性のある若手研究員はぐんぐん成長していける環境だと感じます。こうして育っていったオンリーワンの研究員が自由闊達な風土の中でプロジェクトを進めることができるのが大きな強みだと考えています。

目下取り組んでいる挑戦は?

最近コアメンバーとしてアサインされたプロジェクトでは、古くから使われている薬剤を新しい使い方をしてアンメットメディカルニーズを充足しようというものでした。古くから使用されている薬剤なので、文献や申請データを引用しながら、使い方を変えることでどのような副作用が予測されるのか、それに対してどのような方策で安全性を担保するのかを考察しました。現在は実際に手を動かし、動物を用いた実験を行ってデータを取得しているところです。このデータ取得によって早々に臨床試験を行い特許取得に役立てたいと考えています。それにより後の開発のスピードが上がり、患者さんに早く届けることができるというやりがいを感じています。

目指すキャリアは?

昔の上司が「医薬品の良い目利きになれるように」とよく言っていました。薬効、安全性、コストなどの多面的な知識で総合評価ができるようにという意味だと思います。今は医薬品開発の初期段階である研究に携わっていますが、その視点から考えると、もう少し後期の段階である開発に参加してみたいという気持ちがあります。どんな実験結果だったら、どんなヒトに効いたのか、思わぬ副作用がでた事例など、間近で見て経験してより成長したいと考えています。しかし実際のところは、研究分野でまだできていないこと、知らないことも多く、顕微鏡もずっと見ていたいのでなかなか離れられないでいますね。

研究職の社員たち

※社員の部署・役職は取材当時のものです。