創薬研究

研究開発本部 腎研究所

生命環境科学研究科
2010年入社

現在の仕事内容、研究内容は?

腎研究所の発足時に配属され、主に病態モデルの作製やモデルを用いた化合物評価、作用機序解析を行ってきました。現在は、共同研究のプロジェクトリーダーとして、社内外のメンバーと協力し、First in classの腎疾患治療薬創出を目指しています。まだ探索研究レベルですが、薬剤の有効性が認められており、早い段階から臨床を見据えた研究を行うため、研究所だけでなく開発のメンバーとも関わる機会が増えています。実験プランの立案や研究スケジュールなど、社内外合わせると数十人規模のメンバーと議論をするため、入社10年目の今でも学ぶことが多く、刺激が多い日々を過ごしています。また昨年より先輩と新たな標的に関するテーマを立ち上げ、コンセプトを検証するための実験を行なっているところです。

学生時代の研究内容は?

微生物由来の産業酵素を扱い、活性化機序の解明を目指した研究を行っていました。大腸菌を用いた最適発現条件の検討に始まり、精製方法の確立、活性測定系の構築を行いました。研究では、本酵素が翻訳後成熟過程に特定のシャペロン様タンパク質を必要とすることを明らかとし、酵素サブユニットとシャペロンを共発現させることで、活性を有するホロ酵素を調製することに成功しました。研究室には類似の微生物酵素を扱うメンバーも多く、普段から気を遣わずに話ができる環境もあったため、日頃から互いにデータを共有し自身の実験に応用させながら楽しく実験をしていました。理学部出身で研究も酵素に関するものだったので、入社時は薬学や疾患に関する知識はゼロでしたが、学生時代に培った研究に対する姿勢は企業に入ってからも活かせていると思います。

協和キリンの技術的強みは?

腎疾患を研究するにあたっては、ヒトに外挿性の高いモデルの作製が非常に重要だと考えています。腎臓は複数の種類の細胞から構成される糸球体や尿細管など複雑な構造を持つ臓器であるため、in vitroで生理作用を再現するのが難しいためです。腎関連研究を長く行ってきた協和キリンでは化合物の評価及び作用機序解析を行うために複数の腎疾患モデルを構築してきました。腎研究所が発足してからは、さらなるチューニングを加え、他にはない安定したモデルを揃えることができています。良い化合物を見出すためには良いモデルが必須であるため、安定したモデルを再現よく作製できる技術が協和キリン腎研究所の強みであると考えています。また、協和キリンでは抗体や核酸などのモダリティーを専門とするメンバーも社内にいるため、特定のターゲットに薬剤を到達させる技術についても検討を進めており、成功すれば大きな強みとなると考えています。
技術に加え、腎研究所は、国内腎臓内科医の先生方と多くのコネクションがあり、研究員が先生と直接サイエンティフィックな議論をしたり、先生から実臨床のご経験を伺うことができる機会が多くあります。このような機会から得られた臨床現場のニーズを適切に把握し、患者さんに寄り添った創薬ができることも協和キリンの強みです。

目下取り組んでいる挑戦は?

評価系における種差の克服に挑戦しています。患者さんに良い薬剤をできるだけ早く届けるためには臨床試験の成功確率を高める必要があります。そのために臨床外挿性の高いモデルを選択し、最適な実験条件を検討したり、他部署のメンバーと連携してシングルセル解析やプロテオーム解析などの新たな技術を取り入れ、PDマーカーとなりうる因子の探索および作用機序解析を行っています。複数のモデルの特性を理解し、臨床を反映している部分を適切に使用することで、求められている有効性を示すことを目指しています。また、探索試験では多くの解析を実施しても実際に使えそうな因子はほとんど拾えてこないのが現実ですが、1つの解析にとどまらず、複数の解析結果を合わせて考察することで、生理現象をつなぎ合わせ作用機序を解明したいと考えています。

目指すキャリアは?

私はこの数年間、急性腎障害(AKI)の治療薬の創出を目指して研究を進めてきました。 現状、AKIを改善する薬はありません。そのため、今はAKIに対する初の治療薬を患者さんに届けるということを大きな目標としています。現在は、研究員として、実験室で実験をし、薬の種を作っていますが、一度は自分が関わった研究テーマを持って、開発ステージに関わることが夢です。これまでは初期ステージのテーマに関わることが多かったので、探索研究から開発ステージまでの各ステージに関わり、創薬の一連の流れを身をもって学んでみたいと考えています。患者さんに良いお薬を届けることが最も大切なことなので、経験をもとに状況を俯瞰して、長い視野で見た際に、今やるべきことを的確に判断できるような研究者になりたいです。

研究職の社員たち

※社員の部署・役職は取材当時のものです。