データサイエンティスト

研究開発本部 研究機能ユニット 創薬基盤研究所

生命理工学研究科
2002年入社

現在の仕事内容、研究内容は?

研究の基盤技術を担う部署として主に研究の探索ステージ(初期ステージ)におけるデータ解析を担当しています。高速大量シーケンサーなど大規模なデータの解析や、主に核酸/アミノ酸配列を用いた各種処理の自動化システム構築、公開データの取得とその解析など、メール/資料作成用の一般的なPCでは処理できない巨大なデータ、複雑なデータを研究用サーバを用いて解析し、それにより研究プロジェクトへ貢献することがミッションです。そのために必要な研究用サーバの維持や管理も担当しています。基盤機能を担う部署ではありますが、最近はデータ解析から創薬研究テーマを出していくことも求められており、これに向けて臨床情報を用いた創薬標的探索テーマも立ち上げ中です。

学生時代の研究内容は?

世の中には、生命が生きていく上でとても重要な一時代謝産物(アミノ酸など)を生産し、細胞外に放出する微生物が存在します。研究題材とした微生物は、いくつかの細胞表層にダメージを与えるような処理によって物質を生産するようになることから、細胞表層形成と物質生産の間に何らかの関係があることが推定されていました。そこで、人工的に変異を誘起したことで細胞表層形成に異常を来した変異株を用いて、この細胞表層形成異常を回復させるような遺伝子を特定することで、物質生産のメカニズムを解明しようと試みました。本研究の成果として、微生物の細胞表層成分のひとつであるペプチドグリカンを合成する経路に関与する遺伝子、微生物のシグナル伝達系として機能する遺伝子などを取得しました。特に後者は、遺伝子の欠損により微生物の伸長が観察されたことからこの微生物の形状を決定する重要な遺伝子であることが示唆されました。残念ながら、本研究で取得された遺伝子群と物質生産との関連は未だ不明であり、今後さらなる解析が必要であると考えています。

協和キリンの技術的強みは?

協和キリンには各方面にオンリーワンの研究員が多数おり、自分もその一人であるという自負もあります。協和キリンはメガファーマではありませんが、それゆえ個々人が独特の専門性を発揮しやすい環境であると感じています。また、課題解決のために個人に与えられる裁量は比較的大きく、研究員同士、また社外とのコラボレーションも活発で、それにより技術が研鑽される事例が多いように感じます。異なる専門性を持つメンバーが同じ場所で仕事をするということが、協和キリンでは相乗効果をもたらしていると考えています。

目下取り組んでいる挑戦は?

データ解析が中心となることから、いかにそれを効率よく遂行するかという観点で、常に情報収集を怠らないようにしています。解析用サーバの維持管理もグループが成果を出す上で重要と考えており、複数のメンバーがストレスなく利用できるよう整備することも心掛けています。データ解析の手法や内容、結果を社内のメンバーに理解してもらうためにまず自分が理解しておくことが重要なため、ただ解析をするのではなくなぜそうしたのか、そうする必要があったのかまで把握したうえで解析を行い、それを相手が理解できるよう説明することを意識しています。また協和キリンは製薬企業のため、研究に関する議論は生物学をしっかり理解している必要があり、領域研究員と議論ができる程度の疾患に関する学習も行っています。

目指すキャリアは?

社内外を含め、データサイエンスやAIが注目されていますが、流行り廃りに振り回されることなく研究テーマ遂行に必要な解析を心掛けたいと思います。また、人間が扱いきれない情報の山を処理することにより、何らかの形でデータ解析を起点とした創薬のタネを見出して提案していきたいです。創薬研究は実験中心とはなりますが、その中で生み出されるデータをどう処理するのが適切か判断し、社内外のリソースを適切に活用し、必要なら自ら解析を実施するような、データ解析の中心となるような人材を目指しています。

研究職の社員たち

※社員の部署・役職は取材当時のものです。