Crysvita®(ブロスマブ)の欧州での適応追加承認申請に関するお知らせ

協和キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)はCrysvita®(一般名:ブロスマブ)がX染色体連鎖性低リン血症(XLH)の成人患者を適応とする追加の承認申請を欧州医薬品庁(EMA)に行い、受理されましたのでお知らせいたします。

CrysvitaはX線画像診断で骨疾患所見を有し、成長期にある1歳以上の小児および青少年におけるX染色体連鎖性低リン血症(XLH)の治療薬として、2018年に欧州委員会(European Commission)から条件付き医薬品販売承認を得ました。現時点では、欧州経済圏内でCrysvitaによる治療を受けている患者さんは、成人期に移行した段階でCrysvitaによる治療を中止しなければいけません。今回の申請は、現在のCrysvitaに認められている適応範囲に成人を含めることを目的とするものです。

本申請には2つの第3相臨床試験のデータが用いられています。そのうちの1つ、UX023-CL303試験はランダム化二重盲検プラセボコントロール試験で、成人XLH患者さんに対する有効性と安全性を評価した試験です。また、UX023-CL304試験はオープンラベル単群試験で、成人XLH患者さんを対象に骨軟化症の(組織学的)所見に対する有効性を評価しました。

協和キリンとウルトラジェニクス・ファーマシューティカルとの間で締結した協業およびライセンス契約に基づき、協和キリンおよびウルトラジェニクス・ファーマシューティカルは、共同で本剤のグローバルな開発および販売に取り組んでいます。

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

注1X染色体連鎖性低リン血症(XLH)とは

XLHは、遺伝的な原因により低リン血症となり、その結果として骨や関節に障害をきたす希少な疾患で、生涯にわたり影響を及ぼす疾患です。
XLHは、PHEX (phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)遺伝子の変異によって発症し、血中の線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が過剰となることで、リンの尿中への過剰な排泄や腸管からの吸収低下を引き起こし、血液中のリン濃度が低下します。血液中のリン濃度の低下は、骨や関節の成長・維持に障害をもたらし、くる病ならびに骨軟化症を発症します。
成人のXLH患者さんでは、下肢変形による歩行困難、ならびに骨や関節の痛み、筋力の低下や歯牙の異常がみられ、著しいQOLの低下が認められます。また、偽骨折や変形性関節炎の発症リスクも高いことも特徴的です。

注2Crysvita(ブロスマブ)とは

Crysvitaは協和キリンにより創製されたFGF23に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体です。FGF23は、腎臓におけるリン排泄と活性型ビタミンD産生を制御することで、血清リンおよび活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子です。CrysvitaはFGF23の過剰産生に由来した疾患であるXLHおよび腫瘍性骨軟化症(TIO)を対象として開発が進められています。XLHおよびTIO患者さんにおけるリン排泄亢進はFGF23の過剰な作用により引き起こされています。ブロスマブは、XLHおよびTIOの患者さんにおけるFGF23の過剰な作用を阻害することで、腎臓におけるリンの再吸収を増加させ、腸管におけるリンとカルシウムの吸収を促進するビタミンDの産生を増加させます。
本剤は1 歳以上の小児および成人における XLHの治療薬として、アメリカ食品医薬品局(FDA)およびカナダ保健省(Health Canada)から医薬品販売承認を取得しています、また、本剤はX線画像診断で骨疾患所見を有し、成長期にある1歳以上の小児および青少年におけるXLHの治療薬として、欧州委員会(European Commission)から条件付き医薬品販売承認を取得しています。さらに本剤はFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療薬として厚生労働省から製造販売承認を取得しています。
今回の第3相臨床試験結果のデータは、欧州で検証試験として提出します。

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