デジタルトランスフォーメーション

デジタルビジョンとDX戦略

私たちは、経営理念や経営ビジョンの達成に向け、デジタルによるトランスフォーメーションの目指す姿をデジタルビジョン2030として掲げ、オペレーショナルエクセレンスの実現と、DX推進基盤の強化によりデジタルによる新たな価値を継続的に創造していきます。

デジタルビジョン2030

協和キリンは2030年に、オリジナリティをもったグローバル・スペシャリティファーマとして、データを活用することで未だ満たされていない医療ニーズを見出し、医薬品をはじめとした新たなサービスや価値を提供することを目指します。また、創薬、生産、流通、販売、そして医療関係者、患者さんまでの一連のプロセスで、社内外から入手・創造したデータを蓄積し、有機的につながった独自のデータプラットフォームを形成し、新たな価値を生み出す源泉として利活用します。さらに、そのデータプラットフォームを中心に、さまざまなステークホルダーと共創しながら、医療関係者や患者さんを中心とした“チーム”の一員として革新的な医薬品の創出にとどまらない、幅広い健康維持・増進に貢献します。

データプラットフォーム(チームの一員として価値を共創、新たな医薬品を創出、安心安全と届ける)

デジタル戦略3つの柱

デジタルビジョンの実現に向け、3つのデジタル戦略の柱に沿って戦略的目標を設定し、DX活動を推進しています。

Global Talent Management Basics for 2021-2025/協和キリングループの理念、ビジョン、価値観、ビジネス戦略に沿った人事施策を展開する。/多様な背景を持つ人材を採用し、疾患に苦しむ患者さんの笑顔のために、更なるイノベーションを生み出して価値の創出に貢献する人材を育成することでビジョンを実現する。/持続可能な成長のために、多様な人材がその個性や能力を最大限に発揮し、自律的に挑戦して壁を乗り越える新しい企業文化を作り上げる。/競争力のある処遇、健康経営の推進、エンゲージメントの高まる機会や場を提供することで従業員がワクワクして働く環境を構築する。/グローバルデータベースの構築および適切なアプリケーションの導入により、タレントマネジメントの実行や生産性向上を支援するデータドリブンHRを実現する。
1.Digital for operation-オペレーショナルエクセレンスの実現
ビジネスの最前線でオペレーションの最適化を支え、グローバルにデータを蓄積するICT Platformの構築が順次進んでいます。ICT Platformは、積極的な外部共創とクラウドファーストに基づく”Best of Breed”をコンセプトに、事業特性、各Functionや地域の業務特性に応じて、業務適性の高いものを組み合わせることで、当社のビジネスモデルに適応し、オペレーショナルエクセレンスを実現するシステムを追求しています。
また、ニューノーマル時代の新しい働き方を支えるべく、いつでもどこでも安全につながる環境を整備し、業務のデジタルシフトによる生産性向上を加速させます。
2.Digital for innovation-データ循環型バリューチェーンによる価値創出モデルの構築
事業活動を通じて社内に蓄積された様々なデータアセットをグループ内において部門横断で循環させ、データを起点とした既存薬の価値最大化およびLife-changingな新薬創出を実現する「データ循環型バリューチェーン」を構築します。また将来的には、多様なステークホルダーとの協働、社外のさまざまなリアルワールドデータの利活用により、医薬品提供にとどまらない新たなソリューションの創造を目指します。
3.Foundation for Digital-DX推進基盤の強化
デジタルビジョン2030のもと、デジタルトランスフォーメーションを推進するための基盤強化のため、人とデータに焦点をあて部門横断でのデジタル人材強化とデータ利活用基盤づくりが着実に進んでいます。
協和キリンでは、「データ循環型バリューチェーンの転換」を支えるデジタル人材の獲得・強化のために、デジタルプロジェクトプランナー、データサイエンティストやデータスチュワードなど、各部門や領域をリードできる人材を育成するとともに、全社員を対象としたデジタルリテラシー教育による底上げも行い、“トップダウン”と“ボトムアップ”の両側面からデジタル人材を育成します。
また、協和キリングループ全体が、「誰でも簡単に安全にデータ活用が可能な環境」の実現を目指すにあたり、データに関するあるべき姿や、規則、役割、および、データマネジメントの具体的な要件を定めた基準・規則を定めています。
そのうえで、独自の技術を持つ外部パートナーとの連携を推進し、協和キリンならではの価値創造に貢献する強固なデジタル化推進基盤を構築します。

推進体制とガバナンス

DX推進会議

DXを全社取り組みとして推進していくため、全社横断でDX推進活動を盛り上げる場としてDX推進会議を設置しています。同時に、各部門、地域より「デジタル推進リード」を選出し、DX活動を推進しています。
DX推進会議は主に3つの機能で構成されています。

    • DX新技術・新サービス創出
    • PHR(Personal Health Record)関連の新サービスに関する情報共有 生成AIをはじめとする各種AI技術などの動向、活用促進に関する取り組み推進
    • DX事例共有
    • 各部門、地域のデジタル施策に関する取り組みの共有
    • 全社DX施策の方向づけ、推進
    • 部門横断テーマの選定、WGの立ち上げ・報告・課題共有/解決
    • デジタル人材育成計画などの各種KPI策定
    • グループデータマネジメント規程の周知・徹底

具体的な取り組み

Digital for operation-オペレーショナルエクセレンスの実現
具体的な取り組み例1 - グローバル最適なICT基盤構築

グローバルオペレーショナルエクセレンス実現に向けた取り組みが各ファンクションで進む中、グローバル経営の高度化を追求するEnterprise Platform、製薬ビジネス特有要件に対応するFunctional Platform、地域や業務固有の戦略を支えるRegional Platformの3つの構築方針に沿って企業全体で最適なICTデジタル基盤整備が順次進んでいます。

個別戦略・ニーズを支える基盤(地域、機能ごとの差別化)、製薬ビジネス特有の基盤(業界用件を踏まえた最適化)、グローバル企業経営の基盤(企業経営のベストプラクティスを追求)

Digital for operation-オペレーショナルエクセレンスの実現
具体的な取り組み例2 - 柔軟な働き方を加速するセキュアインフラ基盤の進化

リモートワークが普及する中、どこからでも柔軟に働くことを可能にするため、インフラ環境のクラウド化とセキュアアクセスの両立を掲げています。既に社内情報共有基盤やポータルはオンプレミス環境を全面廃止し、クラウドサービスに完全移行しており、グローバルでシームレスにコラボレーションできる環境が整いつつあります。「新しい働き方」に関しては、ハイブリットワークを推進し、web会議ツールの充実、メール中心からチャット中心のコミュニケーションに変革することにより、いつでもどこでも働ける環境を実現しました。さらにセキュリティ面では多重防御、感染の事前防止や検知迅速化などセキュリティインシデントの低減と対応力強化施策を実施しています。

セキュアなインフラ基盤の進化はグローバル情報基盤、社内コラボレーション高度化、いつでもどこでもどれでも、ITセキュリティの拡張からなる

Digital for Innovation
具体的な取り組み例 1 – 研究開発

社内の研究開発活動で生み出される様々な独自データの循環に加え、外部データとの融合を図ることで、研究開発領域全体プロセスでの連続的なデジタルトランスフォーメーションを実現するために、以下のような施策を進めています。

  • 「ウェット」と「ドライ」のマトリックス連携によるデータ・デジタル主導の創薬の加速
    InveniAI (AI を活用したドラッグ リポジショニング) との共同研究の実施およびInveniAI研究所でのKKCサイエンティストのオンザジョブ トレーニングを通じてデータサイエンス能力の強化を実現
  • データサイエンスとデジタル技術による研究プロセスのオペレーションエクセレンス実現と期間の短縮に向けた活動
    データおよび情報資産を活用した意思決定の確度向上
    データ駆動型による成功確率の高い創薬テーマ提案
  • 分散型臨床試験(DCT)の実施とデジタル技術による臨床試験の実現可能性の向上
    eConsent (電子インフォームドコンセント)の実装とRWD(リアルワールドデータ)の活用

Digital for Innovation
具体的な取り組み例 2 - 営業 JP region

一人でも多くの患者様に当社の製品を届けるためには、当社が顧客に選ばれる必要があります。このため、顧客提供価値と最適な接点の最大化を目指し、以下の活動を行っています。

  • 基礎力の強化:自己学習マネジメントシステムと営業スキルマネジメントシステムの連携による自律的な学習環境の整備
  • データ基盤整備:活動実績や売上実績など社内情報と市場情報など外部情報の入出力環境およびBIなど活用環境を整備
  • 接点の最適化:得られた情報を分析し、顧客に最適なアプローチをサポートする仕組みの検討

Digital for Innovation
具体的な取り組み例 3 - Commercial NA region

北米では、患者さんを中心に医療従事者、医療機関、支払者と連携して包括的な患者ケアサービスの提供を目指し、治療にとどまらない患者さんケアを実現するデジタル患者支援プラットフォームを構築しています。これは、デジタル技術を通じてLife-changingな価値を提供することで、患者さんや病気と向き合う人々を笑顔にするという協和キリンのビジョンを実現するための取り組みの一つです。

協和キリンのペイシェント・サービス・ビジョン:ベストインクラスの患者さん支援チームとなることをビジョンに捧げ、患者さんが協和キリンの医薬品を処方された時から治療期間、その後を通じて、患者さんのジャーニーと体験に合わせたリソースや情報を提供し支援します

Foundation for Digital - DX推進基盤の強化
具体的な取り組み例 - ヒト、データの基盤を作り、変革を支える

「ヒト、データの基盤を作り、変革を支える」ための、DX推進基盤の強化を行っています。
協和キリングループではデータ利活用を中心とした施策に重点を置いています。

  • グループデータマネジメント規程・基準
    • 組織横断のデータマネジメント活動を通してデータに係る課題を解決し、「誰でも簡単に安全にデータ活用が可能な環境」を実現
  • データマネジメントルール
    • データ利活用や、データ活用を通じた新たな価値提供を推進してくことを目的として、データマネジメント活動における全般的な方針、基準を定義
  • デジタル人材育成
    • デジタルプロジェクトプランナー、データサイエンティスト、データスチュワードなどの人材像を定義し、育成プログラムを推進
    • 育成人材によるデータを活用した各ビジネス部門課題の解決を図る
  • データシステム
    • 組織の枠を超えた多様なデータの利活用や、利活用データを資産として管理する「データガバナンス活動」をサポートするため、グローバル共通でのマスタデータ管理を支えるシステム構築を推進

デジタルビジョン2030のもと、デジタルトランスフォーメーションを推進するための基盤強化のため、人とデータに焦点をあて、部門横断でのデジタル人材育成とデータ利活用基盤づくりが着実に進んでいます。

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