方針・戦略
協和キリングループでは「協和キリングループ人材マネジメント基本方針」を定め、その中で「人材はイノベーションの源泉」と位置づけています。従業員一人ひとりの能力と挑戦の結集が価値として現れることが、社会への貢献につながると考え、会社は個々の人材の能力を最大限引き出し、挑戦できる機会を提供することに注力しています。このことは「Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化 組織風土・人材」に関するマテリアリティとしても示しております。人事ファンクションとしては、健康で多様な人材が活躍できる環境や組織風土、企業文化の醸成を通じて、グローバルレベルでの経営戦略の推進とその先にある患者さんに笑顔をもたらすLife-changingな価値の創造を目指します。この実現確度を高めるため、人事ビジョン「Global Talent Management Basics for 2021-2025」を定め、各種取り組みを行っております。
協和キリングループ 人材マネジメント基本方針
制定日:2017年8月30日
協和キリングループ(以下、「当社グループ」という)は、経営理念を実現するために、価値観と行動規範に基づき、高い倫理観をもって行動し、社会から信頼される企業グループを目指しています。
健康・医療に対するニーズ・技術が多様化する一方、医療経済の問題がグローバルな課題となるなど当社グループの事業を取り巻く環境変化は激しさを増しています。そうした環境変化のなかで、新しい価値を創造し、事業のグローバル展開を進めるなど、事業モデルの転換スピードを速めていくためには、リーダーシップを発揮し、自律的に変革に挑む社員の確保・育成が不可欠と認識しています。また、多様な背景を持つ個々の能力を活かし、新たな価値を生み出す共創の場を提供することが必要と考えています。
以上の背景を踏まえて、当社グループにおける社員と会社の関係および社員の能力開発に対するグループ共通の考え方を明確に示し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人・組織づくりを強化するため、以下の方針を定めます。
当社グループは、人材をイノベーションの源泉ととらえ、当社グループ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人と組織をつくることを目指します。
当社グループは、当社グループ社員の個を活かし、共創を促します。
当社グループは、自由闊達な風土をつくります。
当社グループは、挑戦と成長の機会を提供します。
当社グループ社員は、自律し、当社グループの成長に資する変革に挑みます。
当社グループ社員は、自ら考え、対話し、行動します。
当社グループ社員は、自己成長と組織貢献を追求します。
当社グループは、当社グループが事業活動する国における労働関係法令・ガイドライン・業界ルールを遵守し、労務管理を行います。
当社グループは、上記1~4の実現のため、当社グループ各社において、適切な組織体制および業務プロセスを構築し、運用します。
以上
ガバナンス
グローバルタレントマネジメント体制の整備と推進
One Kyowa Kirin体制をサステナブルに発展させていくため、グローバルプロセスとして各地域や機能部門の将来を担う次世代リーダー候補の発掘、育成、抜擢する仕組みを推進しています※1 。
2021年から始まった今中期経営計画では、グローバルタレントマネジメントを戦略的に推進するため、以下のようなグローバル共通の人事基盤の整備を進めてきました。
グローバルキーポジションとその人材要件の特定
グローバルグレーディングの整備
リーダーシッププリンシプルの策定
グローバル人事システム(HRIS)の導入
これらの基盤は、採用、育成、評価、異動配置・登用などといったタレントマネジメントを円滑に展開する上で欠かせないものです。人事データをグローバルでリアルタイムに共有し、データドリブンにタレントマネジメントを推進し、適所適材の人材配置を実現するとともに、グローバルリーダーを継続的に生み出すことができるよう、人材パイプラインの強化に向けさまざまな取り組みを進めています。
人材パイプラインの強化策としては、グローバル後継者計画策定、次世代リーダー候補の可視化と個別育成計画、海外短期派遣プログラム(Global Exchange Program)などに取り組みを開始しており、各ファンクションやリージョンの組織の人材戦略とアライメントを取って活用することができるよう、グローバルHRビジネスパートナー体制も構築しています。
※1 関連データ:ESG従業員データ p7 「社会」
指標および目標
社員意識調査「Global Engagement And Motivation Survey (GEMS)」
協和キリンでは、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出す重要な指標として、毎年社員意識調査 (Global Engagement And Motivation Survey) を実施し、組織改善課題の把握や組織活性化に向けての施策検討に活⽤しています。本調査では社員が能力を最大限に発揮するための重要な要素として、会社に対する貢献意欲やロイヤルティ、自発的努力の指標である「社員エンゲージメント」と、自分のスキルや能力を活かす機会や働きやすい環境の指標である「社員を活かす環境」に着目しており、また、多様性を強みにできる組織を目指すべく2020年から「ダイバーシティ&インクルージョン」も指標に追加しています。
2022年の調査結果では、「社員エンゲージメント」が+1ポイント、「社員を活かす環境」が+3ポイント、「ダイバーシティー&インクルージョン」が+3ポイント改善しました※1 。
この調査結果を受けて、各組織において改善案を立案、アクションプランに反映し、課題解決に向けたPDCAサイクルを着実に回していきます。
※1 調査対象者数・回答率
対象者数:6,067名 回答者数:5,783名 回答率:95%
設問カテゴリー
社員エンゲージメント/戦略・方向性/リーダーシップ/品質・顧客志向/個人の尊重/成長の機会/報酬・福利厚生/社員を活かす環境/業績管理/権限・裁量/リソース/教育・研修/協力体制/業務プロセス・組織体制/経営理念・価値観 /行動規範・コンプライアンス/期待される働き方 /ダイバーシティー&インクルージョン /会社のクオリティーカルチャー
ベンチマークデータ
世界企業平均、世界好業績企業平均、製薬企業平均、⽇本企業平均、地域・国別平均
具体的な取り組み
人材育成とキャリア開発
協和キリングループでは、One Kyowa Kirin体制の中でリーダーシップを発揮し、イノベーションを生み出す人材育成を目指しています。人材育成において、業務を通じた成長機会の提供のみならず、職位や目的に合わせたきめ細かい人材育成プログラムを整備しています。
日本リージョンにおいては、2023年4月にグローバルグレードに準拠したジョブ型の等級・報酬制度を導入しました。One Kyowa Kirin体制下での適所適材の人材マネジメントを実現することに加え、キャリアに対してオーナーシップを持つことの重要性を社員に示しました。全経営職のポジションについてジョブディスクリプションを作成して全従業員に公開し、これによって一人ひとりが協和キリングループの中で実現したいキャリアを自らが見つけ、会社はその実現に向け努力することを支援していく、そうしたお互いの成長にコミットした対等な関係に基づいて各種関連施策を企画実行していきます。
〔各種関連施策〕
内定時から入社2年目の3年間に亘るMy Careerシリーズ(My Career Prologue session、Starting session、Leaping session)
キャリアワークショップや上長向けキャリア開発支援研修
自己啓発支援制度
社内公募、社内副業
海外短期派遣プログラム(Global Exchange Program)
次世代経営人材育成研修
キリングループ選抜研修
社員全員が常にキャリアオーナーシップを持ち、キャリアを描くことが重要と考えます。そのためにも、キャリアのスタート時からキャリアへの主体性と変革に挑む意識を持つことが重要であると考え、内定時からキャリアを考えるきっかけを提供し始め、入社後も継続して学びや気づきの機会を提供し続けています。次世代経営人材の育成については、将来を担う若手リーダーを選抜し、長期に亘りOJT・OFF-JTを通じて育成を行っております。OFF-JTでは、約半年間に亘り、アウトプット中心の教育を通じて、事業戦略をグローバルレベルで立案・実行できる知識やスキルを付与しています。ここで育成した人材を貴重な経営者候補と捉え、研修終了後にはポジションのアサインも積極的に行い、事業経験等のOJTを通じ、継続した育成を実施します。今後、当活動をグローバルでの次世代経営人材育成プログラムと連携させ、One Kyowa Kirin全体を率いるグローバルリーダーを計画的に育成していく予定です。
またグローバルの各拠点においてさまざまな従業員の能力開発、キャリア開発を目的とした学習プログラムを展開しています。EMEAでは、「学習する文化」の醸成に注力しており、Learning @Work Weekを実施、さまざまなイベントの開催を通じて生涯学習の重要性を強調するとともに、従業員が社内の学習機会やリソースについて理解を深める機会を提供しました。北米では、キャリアや業務に直結した学習内容を必要な時によりフレキシブルに提供できるよう、オンデマンドコンテンツやモバイルアプリ等を積極的に取り入れ、ユーザビリティを向上させました。APACにおいてはキャリア開発の枠組みとプログラム展開に向けて各事業リーダーとの議論を開始しています。
2022年度人事部主催研修実施状況
名称
参加人数
合計時間(h)
階層別必修研修
階層別研修(一般職)
999
15,828
階層別研修(経営職)
400
3,051
次世代人材育成
次世代人材育成研修
20
1,180
女性育成研修
キリングループ研修
7
343
キャリア研修
16
584
キャリア入社
キャリア入社者研修
312
1,702
年齢別キャリア研修
キャリア・ライフプラン研修(一般職)
50
96
キャリア・ライフプラン研修(経営職)
81
184
キャリア研修(その他)
217
620
自己啓発
自己啓発支援
565
-
合計
2,667
23,591
2022年度の当社の年間受講者一人あたりの研修時間と、従業員一人あたりの研修時間は以下のとおりです。(いずれも自己啓発に関する時間を除く)
年間受講者一人あたりの研修時間:8.8時間
従業員一人あたり研修時間:5.9時間
また、研究開発に携わる人材のサイエンスレベル向上や、社外での活躍機会の提供などを目的に、大学等の教育機関にて教育研修プログラムへの参画等の取り組みを実施しています。
評価制度
協和キリンは、従業員の育成・成長と、その発揮による業績向上を目的とした評価制度を取り入れています。評価制度は、業績を中心とした運用を行っており、従業員一人ひとりに期待する役割や行動レベルを等級定義やジョブディスクリプション、リーダーシッププリンシプルを通じて示し、業績目標の達成に向けたプロセスの中でそれらの発揮度を測り、また、能力伸長の機会となるよう、中長期的な人材育成(キャリア開発)といった観点も持った一体的なシステムとして運用しています。
評価にあたっては、目標の設定から評価の実施・フィードバックの一連のプロセスを確実に実施するために、年に2回上司とメンバーの個別面談を設けています。期初の面談では、目標の設定やキャリアの展望について、上司とメンバー間で対話し、認識を擦り合わせます。期末の面談では、目標に対する実績やプロセスを振り返り、上司と評価を実施します。これら以外は、期中に1on1コミュニケーションを時期や頻度を定めず行っており、日常の業務相談、キャリア開発、目標の進捗や軌道修正など上長―メンバーで自由にテーマ設定し、積極的に対話を行っています。また、評価の納得性と公正性の向上に向けた取り組みとして、評価者研修を実施しています。
社員との対話
協和キリンは、労働組合との間でユニオン・ショップ制の採用を合意し、各自の人間性を尊重し、働きやすい職場環境の維持、組織風土の醸成の実現に向け、パートナーシップの考えのもと、お互いの立場を尊重し、建設的な議論を重ねています。また、国内グループ各社においても、労使協議を通じて、健全な労使関係の構築・維持に努めています。
業績連動型の報酬体系
協和キリンでは、会社業績を反映して賞与水準を決定する、業績連動型の報酬体系を採用しています。また、個人ごとの賞与額については、組織業績に対する貢献度合いを反映することとしています。会社業績や個人の貢献度を一定の範囲内で報酬に反映することで、業績向上に向けた一人ひとりの意欲喚起につなげています。
学位取得支援の取り組み
協和キリンは、研究開発型ライフサイエンス企業として、主に研究開発分野における社員のキャリアパスに資する学位取得を支援しています。支援対象者に対しては、学位取得に係る費用を会社が負担します。
新しい働き方 -ハイブリッドワーキングモデル-
COVID-19のパンデミックにより出社や顧客訪問の制限など不便を強いられた一方で、私たちはさまざまな工夫をこらしながら劇的な環境変化に適応し、新しい働き方を創り、受け入れ、生命関連企業の責を果たしてきました。
今後もLife-changingな価値を創造し、世界中で患者さんの笑顔を増やし続けるために、協和キリングループとして目指す働き方「ハイブリッドワーキングモデル」を提唱しました。
従業員一人ひとりが主体となって、機能ごと、リージョンごと、組織ごとに最大の価値を創出するための最適な働き方を追求していきます。
【協和キリン ハイブリッドワーキングモデル3つの基本方針】
Nothing that costs our well-being is worth it(ウェルビーイングを第一の判断基準に)
Flexibility within a framework(値創造に向けた枠組みの中で柔軟に)
Employees are the architects of the new Model(意思をもって自分たちの働き方をつくる)