ヒト型抗FGF23モノクローナル抗体「クリースビータ®」の発売のお知らせ
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、2019年9月に国内医薬品製造販売承認を取得したヒト型抗線維芽細胞増殖因子23(Fibroblast Growth Factor 23、以下「FGF23」)モノクローナル抗体「クリースビータ®」(一般名:ブロスマブ、開発コード:KRN23)を本年12月6日に発売することをお知らせします。
本剤はFGF23を標的として協和キリンにより創製されたヒトIgG1モノクローナル抗体で、過剰産生されたFGF23に対して直接的に作用する初めての薬剤です。FGF23は、腎臓におけるリン排泄を亢進させ活性型ビタミンDの産生を抑制することで、血清リン濃度を低下させる液性因子です。本剤は、これまでX染色体連鎖性低リン血症(XLH)および腫瘍性骨軟化症(TIO)といった、FGF23の過剰産生が引き起こす低リン血症性疾患を対象として開発が進められ、本年9月20日にFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症※1を適応症とした国内医薬品製造販売承認を取得しました。
これまで行われた臨床試験の結果から、本剤はXLHおよびTIO等の患者さんにおけるFGF23の過剰な作用を阻害することで腎臓におけるリンの再吸収を促進し、同時に、腸管におけるリンの吸収を促進するビタミンDの活性化を亢進させることで血清リン濃度を上昇させ、当該疾患における、くる病あるいは骨軟化症の症状を改善することが明らかとなっています。
本剤は厚生労働大臣からFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を対象として希少疾病用医薬品の指定を受けています。
なお、協和キリンとUltragenyx Pharmaceutical Inc.※2との間で締結した協業およびライセンス契約に基づき、協和キリン、協和キリンの子会社であるKyowa Kirin International PLCおよびUltragenyx Pharmaceutical Inc.の3社は、共同で本剤のグローバルな開発および販売に取り組んでいます。
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
製品名 | クリースビータ皮下注10 mg クリースビータ皮下注20 mg クリースビータ皮下注30 mg |
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一般名 | ブロスマブ(遺伝子組換え) |
効能・効果 | FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 |
薬価 | クリースビータ皮下注10 mg:304,818円 クリースビータ皮下注20 mg:608,282円 クリースビータ皮下注30 mg:911,812円 |
製造販売承認取得日 | 2019 年9月20日 |
薬価基準収載日 | 2019年11月19日 |
発売日 | 2019年12月6日 |
- ※1FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
- FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は指定難病の「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」(指定難病238)、および小児慢性特定疾患の「原発性低リン血症性くる病」と「ビタミンD抵抗性骨軟化症」に対応する疾患で、FGF23作用過剰による腎近位尿細管リン再吸収障害に起因する、くる病・骨軟化症の総称です。この疾患は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)、表皮母斑症候群(ENS)等が含まれます。これらの疾患は、FGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。
- FGF23作用過剰の原因は、XLHにおけるPHEX(phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)遺伝子や常染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(ADHR)におけるFGF23 遺伝子など、遺伝子変異によるFGF23の過剰産生が報告されています。また、遺伝子変異以外にも、腫瘍性骨軟化症(TIO)では主として間葉系腫瘍による FGF23の過剰産生が、また表皮母斑症候群(ENS)では皮膚病変からのFGF23の過剰分泌が原因として知られています。
- ※2Ultragenyx Pharmaceutical Inc.
- 2010年に設立されたバイオ医薬品企業で、重篤な希少疾病や超希少疾病の治療薬となりうる新規製品の臨床開発と販売を行っています。同社は、承認された治療法がなく、治療メカニズムが明らかで、医療ニーズが高い疾病に対する医薬品開発を目指し、これまで多様なポートフォリオを構築してきました。
- 同社の経営陣は、希少疾患治療薬の開発と販売関する経験を有しています。 同社の戦略は、緊急性の高い患者さんに安全かつ効果的な治療法を提供するため、時間と費用の両面での効率性を追求しています。
- 同社の詳細な情報はこちらのHPをご参照ください。http://www.ultragenyx.com/