KHK4083の中等症および重症アトピー性皮膚炎を対象とした第2相臨床試験の結果について
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、アトピー性皮膚炎患者※1を対象としたKHK4083(ヒト型抗OX40※2モノクローナル抗体)※3の第2相臨床試験(以下、本試験)について、主要評価項目を達成しましたのでお知らせします。
本試験は、日本、アメリカ、カナダ及びドイツにおいて、外用剤を使用してもコントロール不良の中等症および重症アトピー性皮膚炎患者274例を対象に、KHK4083投与群とプラセボ投与群の有効性および安全性を評価した二重盲検比較試験です。
本試験では、主要評価項目である『投与16週時におけるEczema Area and Severity Index(EASI)※4のベースラインからの変化率』に対してプラセボ投与群とKHK4083投与群の比較した結果、全てのKHK4083投与群で統計学的な有意差が認められました。また、副次評価項目である『16週時におけるEASI-75(EASIスコアがベースラインから75%以上の改善) を達成した患者さんの割合』、および『Investigator’s Global Assessment(IGA)で0または1かつ2ポイント以上の改善を達成した患者さんの割合』においても、KHK4083投与群がプラセボ投与群を有意に上回りました。一方、KHK4083投与期間中に観察された治療上の有害事象の主なものは、発熱、鼻咽頭炎、アトピー性皮膚炎の悪化、悪寒でした。また試験期間中、死亡例は認められませんでした。
本試験結果の詳細は、今後、学会や論文等で発表する予定です。
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
- ※1:アトピー性皮膚炎について
- アトピー性皮膚炎は,増悪と軽快を繰り返す瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者さんの多くは「アトピー素因(家族歴・既往歴、IgE抗体を産生しやすい素因)」を持っています。特徴的な左右対称性の分布を示す湿疹性の疾患であり、年齢により好発部位が異なっていることが特徴です。乳児期あるいは幼児期から発症し小児期に寛解するか、あるいは寛解することなく再発を繰り返し、症状が成人まで持続する特徴的な湿疹病変が慢性的にみられます。
- ※2:OX40について
- OX40は腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの一員である共刺激分子で、アポトーシスを抑制することによるT細胞の増殖と生存の維持及びメモリーT細胞の形成に重要な役割を果たしており、抗原によって活性化されたエフェクターT細胞(CD4陽性)の表面にはOX40が一過性に発現しています。アトピー性皮膚炎をはじめとする自己免疫疾患の病変部位には、OX40を発現したエフェクターT細胞が存在していることが報告されています。
- ※3:KHK4083について
- KHK4083は協和キリンが創製したヒト型抗OX40モノクローナル抗体であり、当社の抗体作成技術である「完全ヒト抗体作成技術」を利用して作成されているほか、POTELLIGENT技術を用いて抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を増強するようデザインされています。また、KHK4083は、アトピー性皮膚炎をはじめとする自己免疫疾患の病態において、主要な役割を果たすとされるT細胞の活性化に関与するOX40に対し、ADCC活性並びにアンタゴニスト活性を有しています。
- ※4:Eczema Area and Severity Index(EASI)について
- EASIは国際的に用いられるアトピー性皮膚炎の重症度分類の一つであり、アトピー性皮膚炎の臨床試験アウトカムを標準化するための国際的グループであるHarmonising Outcome Measures for Eczemaによって利用が推奨されています。