抗LIGHTモノクローナル抗体の開発、製造および販売に関する
Aevi Genomic Medicine社との契約締結について

協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和キリン」)は、ラホヤ免疫研究所と当社が共同で創製したファーストインクラスになり得る抗LIGHT(Lymphotoxin-like, exhibits Inducible expression, and competes with HSV Glycoprotein D for HVEM, a receptor expressed by T lymphocytes)ヒト型モノクローナル抗体(開発番号:CERC-002、以下、「本剤」)に関する全ての適応症および全世界での開発・製造・販売の権利を米国Cerecor Inc.の子会社であるAevi Genomic Medicine, LLC.(本社:米国メリーランド州ロックヴィル・ペンシルベニア州チェスターブルック、最高経営責任者(CEO):Michael Cola、以下「Aevi」)に許諾する契約を締結したことをお知らせします。

LIGHT分子は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)や他の自己免疫疾患の病態形成、COVID-19に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の悪化への関与が示唆される生体内で炎症反応を促進するサイトカインで、本剤はこのLIGHT分子に特異的に結合します1~3。協和キリンは2016年6月、Aeviの前身であるMedgenics社と、小児IBD※1を対象とした本剤の北米や欧州における開発・販売権に関するオプション権付きライセンス契約を締結し、その後、2020年5月にCOVID-19に伴うARDS※2に関する全世界での開発・販売権に関する追加的なオプション権を同社に付与しました。
今回の契約に基づき、Aeviは協和キリンに対し契約一時金と、開発および販売のマイルストンのほか、販売額に応じたロイヤルティーを支払います。Aeviは米国や欧州、日本をはじめとする全世界での全ての適応症に対する本剤の開発、製造及び販売活動を実施する権利を有することになります。ただし、協和キリンは日本における本剤の開発、製造、販売に関するオプション権を有しています。

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

※1IBD
IBDは消化管における慢性で再発性の炎症が原因であり、大腸に病変が生じる潰瘍性大腸炎と消化管全体に病変が生じるクローン病という2つの疾患に大別されます。どちらの疾患もステロイドを含む抗炎症剤や抗生物質、生物学的製剤が治療に用いられますが、発症の原因は不明であり、遺伝的な要因や環境要因が疾患発症の主たる要因ではないかと考えられています。発症年齢は多岐にわたっており、小児では成人に比べ合併症や入院期間、手術や死亡の頻度が多く、重症例が多いのが特徴です。さらに小児では身体的あるいは情緒的な影響も見られ、学校などの社会生活に支障をきたすことがあります。
※2COVID-19に伴うARDS4
COVID-19の症状は通常、上気道感染から始まりますが、一部の症例では、SARS-CoV-2ウイルスが下気道に侵入し、肺胞を過剰な液体で満たすことで肺に直接傷害を与えます。血液中の酸素濃度が低下すると、呼吸が苦しくなり、各臓器が酸素不足に陥ります。肺は機能回復の反応を示すものの、結果としてサイトカインストームと呼ばれる炎症反応が起こり、肺にさらなる傷害を与えます。
このような肺の重度の炎症性疾患は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれ、敗血症や細菌性肺炎などの疾患に最もよく見られる症状であり、COVID-19にも関連しています。ARDSの症状(息切れ、胸痛、心拍数の増加、血中酸素濃度の低下)を呈した患者は、集中治療室に搬送のうえ医療監視され、場合によっては人工呼吸や機械的換気による治療を受けることになります。
参考文献:
1. Carl F. Ware (2005) Annu. Rev. Immunol. 23:787–819
2. Perlin et al. (2020) mSphere. 5(4): e00699-20.
3. Arunachalam et al. (2020) Science. 369(6508):1210-1220
4. David S. Perlin et al. (2020) Am. Soc. Microbiol. 5(4) e00699-20
トップへ戻る