血液透析および腹膜透析施行中の高リン血症を対象とした
tenapanor(KHK7791)の国内第3相臨床試験開始

協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、米国Ardelyx社(カリフォルニア州Fremont、社長兼CEO:Mike Raab、以下「Ardelyx」)※1から導入した低分子化合物tenapanor(開発番号:KHK7791、以下「本剤」)※2について、4つの第3相臨床試験を国内で開始しました。

この度の4つの第3相臨床試験は、国内の血液透析および腹膜透析施行中の高リン血症※3の患者さんを対象とした多施設共同試験で、tenapanorを反復投与したときの有効性および安全性等を検証します。

本剤はArdelyxによって創製されたファーストインクラスのリン吸収阻害剤で、協和キリンは2017年11月にArdelyxとの間で、本剤の日本における高リン血症を含む心腎疾患領域を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結し、これまでに国内で3つの第2相臨床試験を実施しました。なお、本剤については、現在Ardelyxから透析期の成人CKD患者における血清リン濃度のコントロールを適応症とした新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)になされ、審査が進められています。

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

本試験の概要

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試験名血液透析施行中の高リン血症の患者を対象としたKHK7791の第III相プラセボ対照二重盲検ランダム化並行群間比較試験(7791-004試験)
対象血液透析施行中の高リン血症患者
主要評価項目血清リン濃度の変化量
目標被験者数140名
試験終了予定時期2021年10月

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試験名血液透析施行中の高リン血症の患者を対象としたKHK7791の第III相プラセボ対照二重盲検ランダム化リン吸着薬併用並行群間比較試験(7791-005試験)
対象既存のリン吸着薬による血清リン濃度の管理が困難な血液透析施行中の高リン血症患者
主要評価項目血清リン濃度の変化量
目標被験者数140名
試験終了予定時期2021年10月

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試験名腹膜透析施行中の高リン血症の患者を対象としたKHK7791の第III相非盲検単群一般臨床試験(7791-006試験)
対象腹膜透析施行中の高リン血症患者
主要評価項目血清リン濃度の変化量
目標被験者数40名
試験終了予定時期2021年12月

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試験名血液透析施行中の高リン血症の患者を対象としたKHK7791の第III相リン吸着薬切替え長期投与試験(7791-007試験)
対象血液透析施行中の高リン血症患者
主要評価項目安全性
目標被験者数200名
試験終了予定時期2022年9月
※1Ardelyxについて
Ardelyx は腎疾患および心腎疾患の患者さんの生活を向上させる革新的なファーストインクラスの医薬品の研究開発・販売に注力しています。Ardelyxの開発品tenapanorは、現在透析期の成人CKD患者における血清リン濃度コントロールを適応症として新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)になされ、審査が進められています(審査終了目標日:2021年4月29日)。また、Ardelyxはカリウム分泌促進薬RDX013について、腎臓病や心臓病の患者さんによく見られる血清中カリウム濃度の上昇(高カリウム血症)の有効な治療薬として開発中であり、また、CKD患者さんにとって重度の電解質障害である代謝性アシドーシス治療薬としても初期開発を行っています。加えて、Ardelyxは2019年9月12日に米国で便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬IBSRELA®(tenapanor)の承認を取得しました。Ardelyxは、日本では協和キリン、中国ではFosun Phrama、また、カナダではKnight Therapeuticsと各地域の開発および販売に関する契約を締結しています。
※2tenapanorについて
tenapanorはArdelyxによって創製されたファーストインクラスの選択的腸管Na+/H+交換輸送体3(NHE3)阻害剤で、現在の標準的な治療薬であるリン吸着薬とは異なり腸管で局所的にNHE3を阻害するという新規メカニズムを有しています。特徴的な作用機序であるNHE3阻害を通じて、食事によるナトリウムの吸収を抑え、結果として細胞内のプロトン濃度を上昇させます。このプロトン濃度の上昇は、消化管のリン吸収を制御する細胞間接着を強固にし、リンの取り込みを抑制します。また、本剤は経口投与で吸収されにくい特徴を有しています。Ardelyxがこれまでに実施した非臨床もしくは臨床試験においてナトリウム以外の他のイオンに対して同様の現象は認められておらず、本剤の作用機序はリンに特異的であると考えられています。
※3高リン血症について
高リン血症は、血液中のリン濃度が異常に上昇する重篤な疾患で、主要先進国では74万5000人以上の透析患者さんが罹患していると推定されています。腎臓はリン濃度を調節する臓器ですが、腎臓の機能が著しく低下すると、リンが十分に体外に排出されなくなります。その結果、高リン血症は、透析を受けているCKD患者さんの罹患率が高い疾患となっています。高リン血症に対し唯一承認されている医薬品であるリン吸着薬による治療にもかかわらず、透析を受けているCKD患者の77%は、6ヶ月間にわたって5.5 mg/dL以下の血中リン濃度を一貫して維持することができません(Spherix Global Insights: RealWorld Dynamix, Dialysis 2019)。5.5 mg/dLを超える血中リン濃度は、透析を必要とする患者の心血管系の罹患率および死亡率の独立した危険因子であることが示されており(Geoffrey A. Block, et al.: JASN, 2004, 2208-2218)、国際的に認められた治療ガイドラインでは、血中リン濃度の上昇を正常範囲(4.6 mg/dL未満)に下げることが推奨されています。
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