米国食品医薬品局(FDA)への迅速承認申請を目的とした、 濾胞性リンパ腫を対象としたzandelisibの第2相国際共同試験(TIDAL Study)が目標症例登録を完了

本ニュースリリースは、当社とMEI Pharma,Inc.が発表した英文プレスリリースの内容を、当社が日本語に翻訳、再構成し、発表しています。本ニュースリリースの正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先しますことにご留意下さい。協和キリン 英語リリース別ウィンドウで開きます

MEI Pharma, Inc.(本社:米国サンディエゴ、社長兼CEO:Daniel Gold 、以下「MEI」)と協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 宮本昌志、以下「協和キリン」)は、zandelisib(一般名、開発番号:ME-401)の第2相国際共同試験であるTIDAL試験において、濾胞性リンパ腫の主要評価項目の解析対象集団の症例登録が完了したことを発表しました。トップラインの試験結果は予定通り本年第4四半期に報告される予定です。本試験が成功であった場合、その結果は米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認(accelerated approval)の手続きにおける主要な根拠資料となる予定です。

MEIはFDAとの協議を経て、TIDAL試験における濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫の患者さんへの効果を評価するための症例数を確定しました。具体的には、濾胞性リンパ腫の主要評価項目については91例、辺縁帯リンパ腫については64例としました。一方で、安全性に関して信頼性の高いデータを取得するため、本試験の予定登録症例数自体は、当初の予定通り、濾胞性リンパ腫は120例、辺縁帯リンパ腫は64例のままとしています。

MEIの社長兼CEOであるDaniel Goldは次のように述べています。「TIDAL試験における濾胞性リンパ腫の主要評価項目のための解析対象集団の症例数が確定したことは、zandelisibのプログラムにとって非常に重要なマイルストーンです。TIDAL試験に参加してくださっている患者さんや医療従事者のみなさんに深く感謝するとともに、米国での販売承認取得に向けてプログラムをしっかり前進させていきます。パートナーである協和キリンと協力しながら、B細胞悪性腫瘍の患者さんのために、単剤療法、他剤併用療法の両者について、zandelisibの可能性を最大限に追求していきます。」

協和キリンの執行役員研究開発本部長である鳥居義史は本件について、「濾胞性リンパ腫の患者さんの臨床試験登録が完了したことを大変喜ばしく思っています。我々の大きな使命のひとつは、濾胞性リンパ腫に苦しむ患者さんへ新しい価値を提供する可能性を有する本剤の開発を着実に進めることです。この使命と責任を確実に果たすために、これからもMEIと連携を深めてまいります。」と述べています。

Zandelisibについて
zandelisib(開発番号:ME-401)は、B細胞悪性腫瘍を対象とした、1日1回経口投与する治療薬として現在開発中の選択的PI3Kδ阻害剤です。米国FDAは、少なくとも2回の全身治療歴がある再発または難治性の成人濾胞性リンパ腫治療薬として、2020年3月に本剤をファスト・トラックに指定しました。
協和キリンと MEIは2020年4月に本剤のグローバルライセンスおよび共同開発・販売契約を締結しました。両社は米国では本剤を共同で開発・販売し、製品の売上収益はMEIが計上する一方で、協和キリンは米国以外の地域での本剤の独占的な販売権を有し、米国以外での売上収益に応じた段階的な販売ロイヤルティをMEIに支払います。
また協和キリンは、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症を除く)を対象とした国内第2相臨床試験を実施中です。
TIDAL試験について
TIDAL試験は単剤療法としてzandelisibを評価するための第2相国際共同試験です。再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者の治療を目的とした第1試験群、辺縁帯リンパ腫を対象とした第2試験群で構成されており、いずれも化学療法と抗CD20抗体を含む少なくとも2回の全身治療歴をもつ患者さんが対象です。
本結果とFDAとの議論に基づき、各試験群のデータはFDAにより迅速承認される際の資料となる予定です。
本試験では経口で1日1回60㎎のzandelisibを28日間1サイクルとして2サイクル投与した後に、最初の7日間のみ1日1回投与を行う28日間の間歇投与サイクルを行って評価します。およそ120例の濾胞性リンパ腫と60例の辺縁帯リンパ腫の患者さんが登録されて間歇投与レジメンによる治療を受ける予定です。主要評価項目は奏効率で、zandelisibの効果持続時間や忍容性も副次項目として評価する予定です。
本試験のより詳細な情報は、ClinicalTrials.gov別ウィンドウで開きますをご参照ください。
濾胞性リンパ腫と辺縁帯リンパ腫について
濾胞性リンパ腫(FL)は、米国で毎年新たに77,000例以上の診断がなされる非ホジキンリンパ腫(NHL)の内、約20-30%を占める代表的な低悪性度リンパ腫の1つです。この病気はリンパ球と呼ばれる白血球の1つであるB細胞で生じ、大半の症例は慢性的で緩やかに進行する傾向を示します。FLと診断されるのは殆どが65歳以上です。FLは進行型のNHLであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に転化することがあります。
辺縁帯リンパ腫(MZL)は、B細胞で生じる低悪性度または進行の遅いリンパ腫の1つであり、NHLの約8%を占めます。平均的な診断時の年齢は60歳であり、男性より女性がやや多くなっています。
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