クリースビータ®(ブロスマブ)の2021年米国骨代謝学会での発表のお知らせ

協和キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和キリン」)は本日、クリースビータ®(一般名:ブロスマブ)の開発と販売で提携しているウルトラジェニクス・ファーマシューティカル(米国カリフォルニア州ノバト、CEO:エミール・D・カキス、以下「ウルトラジェニクス」)が、2021年米国骨代謝学会(ASBMR)において、本剤と本剤の対象疾患であるX染色体連鎖性低リン血症(XLH)に関する新規データを発表することをお知らせいたします。本学会は10月1日から10月4日までサンディエゴで開催され、オンラインでリアルタイムに参加することも可能です。

詳細は以下をご参照ください。

口頭発表
  • Neurological and Psychiatric Manifestations of X-Linked Hypophosphatemia in a Longitudinal Cohort Study: XLH Disease Monitoring Program (XLH-DMP)
    • 演題番号:#1019
    • 日時:日本時間10月2日(土)6:15-6:30(現地時間10月1日(金)14:15-14:30)
    • 発表者:Suzanne Jan de Beur, M.D.
  • Burosumab Improves Lower Limb Alignment in Children with X-Linked Hypophosphatemia
    • 演題番号 #1020
    • 日時:日本時間10月2日(土)6:30-6:45(現地時間:10月1日(金)14:30-14:45)
    • 発表者: David Frumberg, M.D.
ポスター発表
  • Patient Perspective: XLH Requires Whole-Body, Whole-Life, Whole-Family Care
    • ポスター番号:SAT-268
    • 日時:日本時間10月3日(日)5:00-7:00(現地時間10月2日(土)13:00-15:00)
  • Adolescents with X-linked hypophosphatemia (XLH): first year of real-world data from the XLH Disease Monitoring Program (DMP)
    • ポスター番号:SAT-269
    • 日時:日本時間10月3日(日)5:00-7:00(現地時間10月2日(土)13:00-15:00)
  • Rarediseasegenes.com/phex: A comprehensive locus specific database of PHEX gene variants associated with X-linked hypophosphatemia vastly increases the number of known variants.
    • ポスター番号:SUN-274
    • 日時:日本時間10月4日(月)5:00-7:00(現地時間10月3日(日)13:00-15:00)

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

X染色体連鎖性低リン血症(XLH)とは
X染色体連鎖性低リン血症(XLH)は、遺伝的な原因によって血中の線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が過剰となり、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となることで、骨、筋肉、関節に異常をきたす希少な遺伝性疾患です。XLHは生命を脅かす疾患ではないものの、その負担は生涯にわたって継続し、進行性の疾患でもあるためQOL(生活の質)を低下させる可能性があります。
リンは体のエネルギーレベル、筋肉の機能、健康な骨や歯の形成に必要となる重要なミネラルです。XLHでは上述のようにリンが尿中に過剰に排出され、また腸からの吸収も悪くなるため、血液中のリン濃度が慢性的に低くなります。XLHの遺伝子異常を直接的に治療する根本的治療法は確立されていませんが、過剰なFGF23の作用を抑制することで血液中のリン濃度を正常なレベルに回復・維持できる治療法が確立されれば、この疾患の症状の進展の阻止が期待されます。
XLHは遺伝性くる病・骨軟化症の中でも最も一般的な病気です。家族歴のない人でも発症することがありますが、通常は遺伝子異常を持つ親から引き継がれます。
クリースビータ(ブロスマブ)とは
クリースビータ(ブロスマブ)は、協和キリンにより創製・開発された、FGF23に対する遺伝子組換え完全ヒト型モノクローナルIgG1抗体です。FGF23は、腎臓からのリン排泄と活性型ビタミンDの産生を調節して血清中のリン濃度を低下させるホルモンです。XLHでは、過剰に存在するFGF23により血清リン濃度が減少し、低リン血症が引き起こされます。クリースビータは、FGF23に結合して患者の過剰なFGF23を阻害することによって腎臓からのリンの再吸収を促進し、活性型ビタミンDの産生を増加させ、リンとカルシウムの腸管吸収を促進します。
クリースビータは2018年から臨床使用が可能になりました。最初に承認されたのは欧州委員会(European Commission)で、2018年2月、X線画像により骨疾患が認められた1歳以上の小児および骨格が成長段階にある青少年におけるXLHの治療を目的として、条件付き販売承認が与えられました。その後2020年10月にはこの承認が拡大され、骨格の成長が終了した青年および成人も対象となりました。さらに2021年7月、XLHの治療のための本剤の自己注射製剤が承認されました。
北米においては、2018年4月に1歳以上のXLH患者に対して米国食品医薬品局(FDA)から、同年12月に1歳以上のXLH患者に対してカナダ保健省から、それぞれ承認されています。現在は生後6か月以上の患者へと範囲が拡大されています。
日本においては、2019年9月にFGF23関連低リン血性くる病・骨軟化症の治療薬として厚生労働省から承認を受けました。また2020年12月、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療のための在宅自己注射が保険適用になりました。
更に2020年1月、スイスの医薬品承認機関であるスイスメディックは、本剤をXLHの成人、青年および小児(1歳以上)の治療薬として承認しました。
加えて2020年6月、FDAは2歳以上の腫瘍性骨軟化症(TIO)の患者に対して本剤を承認しました。TIOは、FGF23を過剰産生し、骨の軟化や脆弱化を生じる腫瘍の発生を特徴とする希少疾患です。現在はカナダにおいてもTIO患者を対象とした承認がなされています。
協和キリンとウルトラジェニクスは、両社間で締結された提携およびライセンス契約に基づき、本剤のグローバルな開発と販売を共同で行っています。
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