協和キリンと米国アムジェン、中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎を対象としたKHK4083/AMG451の第2相臨床試験のデータを第30回EADV(欧州皮膚科性病科学会議)で発表
- 主要評価項目である16週間後のEASIスコアはプラセボと比較して統計的に有意な改善
- 副次的な有効性評価項目もプラセボと比較し、KHK4083/AMG451投与により統計的に有意な改善
- 16週のKHK4083/AMG451投与後も有効性指標は継続して改善
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和キリン」)とAmgenInc.(本社:米国カリフォルニア州サウザンドオークス、会長兼最高経営責任者:ロバート・A・ブラッドウェイ、以下「アムジェン」)は、2021年10月2日に開催された第30回欧州皮膚科・性病科学会(European Academy of Dermatology and Venereology 30th Virtual Congress)において、ヒト型抗OX40モノクローナル抗体KHK4083/AMG451の中等度から重度のアトピー性皮膚炎を対象とした第2相臨床試験で得られた良好なデータを発表したことをお知らせします。
KHK4083は協和キリンが保有している「完全ヒト抗体作製技術」と抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を高める「POTELLIGENT®技術」を利用した、ファーストインクラスになり得るヒト型抗OX40モノクローナル抗体です。
本試験は、外用剤で十分な効果が得られない中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎の患者さんを対象に、KHK4083/AMG451の有効性および安全性を検討した多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第2相臨床試験です。本試験では、KHK4083/AMG451の4つの用量群のすべてが主要評価項目を満たし、プラセボと比較して、16週時点のEASI(Eczema Area and Severity Index)スコアがベースラインから統計学的有意に改善しました(600mg2週ごと投与(Q2W)=-57.4%、600mg Q4W=-49.7%、300mgQ2W=-61.1%、150mg Q4W=-48.3%、プラセボ=-15%;P<0.001)。
また、KHK4083/AMG451投与群において、EASIスコアのベースラインからの75%以上の減少(EASI75)、Investigator Global Assessment(IGA)スコアのベースラインから少なくとも2ポイントの減少を伴うスコア0(クリア)または1(ほぼクリア)(IGA0/1)、そう痒症のNumericalRatingScale(NRS)スコア(PNRS-4)がベースラインから少なくとも4ポイントの減少といった副次評価項目でも、16週時点でのプラセボ群と比して改善が見られました。さらにKHK4083/AMG451のすべての用量群で、16週以降も有効性に関する指標は継続して改善しました。
5%以上の患者さんに発生したと報告された有害事象は、発熱、鼻咽頭炎、アトピー性皮膚炎の悪化、悪寒でした。なお、発熱および悪寒は軽度から中等度の症状であり、治療中止には至ったケースはありませんでした。
System Chair for the Department of Dermatology and Waldman Professor ofDermatology and Immunology, Icahn School of Medicine at Mount Sinai and Director ofthe Center for Excellence in Eczema, and the Laboratory of Inflammatory Skin Diseases atMount SinaiのDr.Emma Guttman-Yassky,M.D./Ph.D.は次のように述べています。「今回得られた第2相臨床試験の結果はポジティブでエキサイティングなものであり、KHK4083/AMG451の4つの用量群すべてにおいて、プラセボと比較して優位性を示したことから、OX40を阻害する作用メカニズムがアトピー性皮膚炎の治療に大きな変化をもたらす可能性があると考えています。今後さらなる臨床開発データを得ることで、中等度から重度のアトピー性皮膚炎におけるKHK4083/AMG451の意義と可能性がさらに明らかになることを期待しています。」
協和キリンの執行役員研究開発本部長鳥居義史は次のように述べています。「慢性・再発・中等度~重度のアトピー性皮膚炎を対象としたKHK4083/AMG451の有効性と安全性を評価した第2相臨床試験の結果を、EADVのLate-Breakingとして発表できたことを大変嬉しく思います。本試験で得られた結果は、OX40を発現している細胞を阻害・除去することが、アトピー性皮膚炎の治療に重要かつ新たな選択肢となりうることを示しており、効果が持続することで患者さんに新しい価値が提供できるのではないかと考えています。」
アムジェンの研究開発担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるDavid M.Reese,M.D.は次のように述べ ています。「アトピー性皮膚炎は、年間約3,000万人が罹患しており、患者さんの生活に極めて大きな影響を与えることが知られています。今回発表したデータは、本疾患に罹患している患者さんに対してKHK4083/AMG451の可能性を示す強力なエビデンスであり、2022年前半に開始される予定の第3相臨床試験でこの本剤の有用性をさらに検討できることを楽しみにしています。」
- KHK4083/AMG 451の第2相臨床試験について
- 本試験は、外用剤を使用してもコントロール不良の中等症および重症の成人アトピー性皮膚炎患者を対象に、KHK4083/AMG451の有効性および安全性を検討した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第2相試験(NCT03703102)です。本試験では、米国、日本、カナダ、ドイツの274名の患者を対象に、KHK4083/AMG451を皮下投与する4つの用量設定群(600mg Q2W、600mg Q4W、300mg Q2W、150mg Q4W)と、比較対照のプラセボ群に無作為に割り付けました。主要評価項目は、16週目のEASIスコアのベースラインからの変化率であり、副次評価項目は、EASIスコアのベースラインから75%以上減少(改善)の達成率、IGAスコアが0(クリア)または1(ほぼクリア)でベースラインから2ポイント以上減少の達成率、そう痒症の数値評価スケール(NRS)スコアがベースラインから4ポイント以上減少の達成率等です。
なお、本試験期間は全体で56週間です。学会で用いられた発表スライドは、EADVのウェブサイトでご覧いただけます(英語サイト)。
URL: https://www.eadvcongress2021.org/
なお、Emma Guttman-Yassky博士は、leading investigatorであり、協和キリンとの間に本剤開発に関わる有償のコンサルタント契約を締結しています。
- アトピー性皮膚炎について
- アトピー性皮膚炎は、過度に乾燥したかゆみのある皮膚状態を引き起こす慢性の炎症性疾患で、痛みを伴うこともあります。繰り返し皮膚病変を掻くことで、皮膚が厚くなったり、硬くなったり、感染しやすくなったりします。アトピー性皮膚炎は、湿疹の中でも最も一般的なもので、全世界で成人の1~3%が罹患しており、その数は増加傾向にあります。アトピー性皮膚炎は、通常、小児期に発症し、その後、他のアレルギー症状が現れることがあります。
- KHK4083/AMG451について
- KHK4083/AMG451は協和キリンの抗体作製技術である「完全ヒト抗体作製技術」と脱フコシル化により抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を高める「POTELLIGENT®技術」を利用したヒト型抗OX40モノクローナル抗体です。KHK4083/AMG451のリード抗体は当社の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見いだされました。
KHK4083/AMG451は、活性化したエフェクターT細胞の表面に発現するOX40受容体を標的としてその活性を阻害し、活性化したOX40+T細胞をADCCにより除去することが確認されています。アトピー性皮膚炎の病変部には、OX40を発現した細胞が存在し、その発症に重要な役割を果たしていることが報告されています。
- 協和キリンとアムジェンの協業について
- 2021年6月1日、協和キリンは、アムジェンとKHK4083/AMG451の共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、アムジェンは本剤の開発、製造、および協和キリンが単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリンは米国以外(日本を除く欧州およびアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。
- 協和キリンについて
- 協和キリンは、Life-changingな価値をもつ新しい医薬品を創出し、患者さんへ届けることに真摯に取り組んでいます。70年以上の歴史をもつ日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経などの様々な治療領域において、抗体医薬品の研究をはじめ最先端の科学・技術の応用に邁進し、患者さんと社会のニーズに応えます。4つの地域-日本、アジア/オセアニア、北米、EMEA-にわたり、協和キリンは共通の価値観であるコミットメント・トゥ・ライフ、イノベーション、チームワーク/和・輪、インテグリティのもと、病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために尽力します。協和キリンの事業について、詳しくはこちらのサイトでご覧ください。
https://www.kyowakirin.co.jp/
- アムジェンについて
- アムジェンは、重篤な疾患に苦しむ患者さんのために、生物学的に革新的な治療を探索・開発・製造・提供する可能性を切り拓いていきます。このアプローチは、疾患の複雑性の解明と人体の生物学上の基本を理解するために、先進的なヒト遺伝学などの手法を活用することから始まります。
アムジェンは、アンメット・メディカル・ニーズが大きい領域に焦点を絞り、生物製剤の製造に関する専門知識を活用して医療効果の向上と人々の生活に画期的な改善をもたらすソリューションを追求しています。1980年に創業したバイオテクノロジーのパイオニアであるアムジェンは、世界最大の独立バイオテクノロジー企業に成長し、世界中の多くの患者さんに貢献しており、革新的な可能性が期待されるパイプラインを開発しています。
詳細についてはwww.amgen.comをご覧になるか、www.twitter.com/amgen
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