ルミセフ®の全身性強皮症に関する国内適応追加申請のお知らせ
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、ルミセフ®(開発コード:KHK4827、一般名:ブロダルマブ(遺伝子組換え))※1について、全身性強皮症※2を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行いましたのでお知らせします。
今回の申請は、中等症から重症の皮膚硬化を有する全身性強皮症患者を対象に日本で実施した第3相臨床試験※3の結果に基づいています。主要評価項目は、投与24週時点におけるmRSS※4のベースラインからの変化量であり、ブロダルマブ投与群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意なmRSSの低下が認められ、本剤の皮膚硬化に対する改善効果が検証されました。また、安全性については新たな問題は認められませんでした。
なお、本剤は全身性強皮症を予定される効能又は効果として、厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を2019年12月10日に受けており、優先審査品目に該当します。
全身性強皮症に対する治療の現状について、東京大学医学部附属病院 皮膚科の佐藤伸一教授は次のように述べています。「全身性強皮症は、皮膚硬化と肺、消化管などの臓器の線維化を来たし、内臓の機能不全を生じうる、膠原病に属する慢性疾患です。膠原病の中では予後不良なため、早期に治療を開始して皮膚硬化や内臓病変をできる限り抑えるだけではなく、進行した病変を改善させることが重要です。しかし、全身性強皮症に対する効果の高い治療薬の選択肢は極めて限られています。」
協和キリンの執行役員 研究開発本部長 鳥居義史は次のように述べています。「今回、このように全身性強皮症を対象としたルミセフの承認事項一部変更承認申請を実施できたことを喜ばしく思います。本疾患に対しては、安全で効果が高く、長期に渡り使用可能な治療法が待ち望まれています。当社は、本剤が全身性強皮症患者さんのアンメット・メディカルニーズに応える薬剤となることを強く期待しています。」
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
- ※1ルミセフ®
- ルミセフはインターロイキン(IL)-17受容体Aに対する完全ヒト抗体であり、IL-17受容体Aに特異的に結合することにより炎症性サイトカインであるIL-17A、IL-17A/F、IL-17F、IL-17C等の機能を阻害します。本剤は2016年7月に、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を適応症として、世界に先駆けて日本で承認を取得しました。また2020年11月に、強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を適応症として追加する承認を取得しています。
- ※2全身性強皮症
- 皮膚や内臓の硬化を特徴とし、慢性に経過する疾患です。本疾患の進行や症状の経過は患者さんによって異なり、その病態には免疫異常、線維化、血管障害が関連していると考えられますが、原因は明らかになっていません。国内患者数は2万人以上と推定され、指定難病に位置付けられています(指定難病51)。
- ※3第3相臨床試験および結果の概要
- 中等症~重症の皮膚硬化(mRSS:10以上30未満)を有する全身性強皮症患者を対象とした国内第3相プラセボ対照二重盲検比較及び非盲検継続投与試験です。日本人の全身性強皮症患者100例を対象に、東京大学を中心に国内7施設で実施しました(治験調整医師:東京大学医学部附属病院皮膚科 吉崎歩 講師)。主要評価項目である投与24週時点におけるmRSSのベースラインからの変化量は、ブロダルマブ群が-16.8(95%CI:-18.7,-14.8)、プラセボ群が4.4(95%CI:2.5,6.4)で、ブロダルマブ群とプラセボ群のmRSSの変化量の差は-21.2(95%CI:-23.9,-18.5)であり、統計学的に有意なmRSSの低下が認められました(p<0.0001)。また、全身性強皮症患者における安全性プロファイルは、これまでに承認された他の適応症と同様でした。
- ※4mRSS(Modified Rodnan total skin thickness score)
- 触診で皮膚硬化を半定量的に評価する方法で、身体を17の部位に分け、各部位の皮膚硬化の程度を4段階(0-3)にスコア化し、その合計をスキンスコアとして用います。mRSSは皮膚の病理学的な線維性変化を反映すること、また疾患活動性と一致することから、皮膚硬化に対する治療効果を評価する上で最も有用な指標と考えられています。