全身性強皮症を対象としたルミセフ®の第3相臨床試験データを
EULAR 2022(欧州リウマチ学会議)で発表
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、2022年6月1日から4日に開催される欧州リウマチ学会議(European Alliance of Associations for Rheumatology, EULAR)において、全身性強皮症※1を対象として実施したルミセフ®(開発コード:KHK4827、一般名:ブロダルマブ(遺伝子組換え))※2の第3相臨床試験の結果をポスターにて発表したことをお知らせします。
- 第3相試験結果
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- ID:POS0881
- 演題:Efficacy and safety of subcutaneous brodalumab, a fully human anti-IL-17RA monoclonal antibody, for systemic sclerosis with moderate-to-severe skin thickening: a multicenter, randomized, placebo-controlled, double-blind phase 3 study
中等症から重症の皮膚硬化を有する全身性強皮症患者を対象とした、ブロダルマブ(IL-17RAモノクローナル抗体)皮下投与の有効性及び安全性:多施設共同、無作為化、プラセボ対照、第3相二重盲検比較試験 - 発表者:Takemichi Fukasawa, MD
中等症から重症の皮膚硬化を有する全身性強皮症患者におけるブロダルマブの有効性及び安全性を評価した第3相臨床試験について、投与52週までの二重盲検比較期のデータを報告しました。有効性の主要評価項目(投与 24週時のmRSS※3のベースラインからの変化量)において、ブロダルマブ群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示し(-21.2 [95% CI: -23.9, 18.5]; P<0.0001)、ブロダルマブの有効性が検証されました。
ブロダルマブ群ではmRSSの低下が投与初期から投与52週まで継続し、有効性の副次評価項目もプラセボ群と比較してブロダルマブ群で改善又は悪化抑制傾向が認められました。
二重盲検比較期の有害事象発現割合は、プラセボ群とブロダルマブ群で同程度でした。全身性強皮症患者におけるブロダルマブの安全性について、これまでの乾癬等の他の疾患で確認された安全性プロファイルとの間に差異はありませんでした。
また、同時に第1相臨床試験の結果もポスターにて発表しました。これらの発表要旨は学会ウェブサイト(リンク)から閲覧可能です。
- 関連演題(第1相試験結果)
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- ID:POS0857
- 演題:Pharmacokinetics, safety, and efficacy of subcutaneous brodalumab for systemic sclerosis with moderate-to-severe skin thickening: a single-arm, open-label, multi-dose, phase 1 trial
中等症から重症の皮膚硬化を有する全身性強皮症患者を対象とした、ブロダルマブ皮下投与の薬物動態、安全性及び有効性:第1相単群非盲検試験 - 発表者:Takemichi Fukasawa, MD
なお、協和キリンはこれらの臨床試験結果に基づき2021年12月に厚生労働省へ製造販売承認申請を行っており、現在審査中です※4。
協和キリンの執行役員 研究開発本部長 鳥居義史は次のように述べています。「今回、このように全身性強皮症を対象としたルミセフの治験結果を報告できたことを喜ばしく思います。また、多くの全身性強化症患者さん及び医療機関にご協力いただき、臨床試験を実施できたことに感謝申し上げます。全身性強皮症に対して、安全で効果が高く、長期に渡り使用可能な治療法が待ち望まれています。当社は、本剤が全身性強皮症患者さんのアンメット・メディカルニーズに応える薬剤となることを強く期待しています。」
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
- ※1全身性強皮症
- 皮膚や内臓の硬化を特徴とし、慢性に経過する疾患です。本疾患の進行や症状の経過は患者さんによって異なり、その病態には免疫異常、線維化、血管障害が関連していると考えられますが、原因は明らかになっていません。国内患者数は2万人以上と推定され、指定難病に位置付けられています(指定難病51)。
- ※2ルミセフ®
- ルミセフ(ブロダルマブ)はインターロイキン(IL)-17受容体Aに対するヒト型抗体であり、IL-17受容体Aに特異的に結合することにより炎症性サイトカインであるIL-17A、IL-17A/F、IL-17F、IL-17C等の機能を阻害します。本剤は2016年7月に、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を適応症として、世界に先駆けて日本で承認を取得しました。また2020年11月に、強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を適応症として追加する承認を取得しました。
- ※3mRSS(Modified Rodnan total skin thickness score)
- 触診で皮膚硬化を半定量的に評価する方法で、身体を17の部位に分け、各部位の皮膚硬化の程度を4段階(0-3)にスコア化し、その合計をスキンスコアとして用います。mRSSは皮膚の病理学的な線維性変化を反映すること、また疾患活動性と一致することから、皮膚硬化に対する治療効果を評価する上で最も有用な指標と考えられています。
- ※42021年12月に行った製造販売承認申請について
- 詳細はこちらよりご覧ください。
https://www.kyowakirin.co.jp/pressroom/news_releases/2021/20211215_01.html