方針・戦略
協和キリングループは、「協和キリングループ環境基本方針」に基づき設定した目標の達成を目指し、環境に対するコミットメントを明確にして事業活動を進めています。また、バリューチェーンを含めた脱炭素企業の実現を目指し次世代に引き継ぐ地球環境の保護に積極的に取り組んでいます。
当社グループのさまざまな環境への取り組み方針は、キリンホールディングスの方針と整合しています。「キリングループ
環境ビジョン2050」もまた、当社グループが目指すべきありたい社会の姿として認識しており、その実現に向けて、キリンホールディングスと連携していきます。
キリングループ環境ビジョン2050
2020年、当社グループが所属するキリングループは従来の長期環境ビジョンを見直し、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たな長期戦略として「キリングループ環境ビジョン2050」を策定しました。
キリングループが目指すのは、ネガティブインパクトを最小化しニュートラルにすることにとどまらず、自社の枠組みを超えて社会にポジティブなインパクトを与えることです。わたしたちはこの新しいビジョンのもと、お客様をはじめ広くスークホルダーと協働し、自然と人にポジティブな影響を創出することで、こころ豊かな社会と地球を次世代につなげます。
キリングループ環境ビジョン2050
環境基本方針
当社グループの環境管理活動は「協和キリングループ環境基本方針」に基づいています。また、環境管理に関する具体的な手順を定めた内部規程・基準類を整備しており、これらは、基本方針を補完しています。
協和キリングループ 環境基本方針
- Ⅰ.目的
- 協和キリングループ(以下、当社)は、「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」という経営理念を掲げています。また、経営理念のもと、ビジョン2030として「病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出」を目指しています。当社は、このビジョンの実現を通して、当社と社会のサステナビリティを両立していきます。
当社は、サステナブルに事業活動を継続するという観点と未来世代を含む幅広いステークホルダーへの影響を考慮するという観点から、気候変動をはじめとするバリューチェーン全体の地球環境への負荷の低減に取り組みます。地球環境への負荷の低減の活動は「Ⅳ.基本原則」で掲げる「協和キリングループとして取り組むべき重要な環境活動」、「環境法令遵守のための活動」、「キリングループの一員として取り組むべき環境活動」で構成されます。
- Ⅱ.適用範囲
- 本基本方針は、当社で働くすべての従業員(国や地域、立場や地位(役員、社員、契約社員、派遣スタッフその他)、常勤や非常勤を問いません)に適用します。 なお、関係するステークホルダーに対しても、本基本方針に定める基本原則に基づく行動を求めていきます。
- Ⅲ.用語の定義
- キリングループ環境ビジョン2050:
社会と企業のレジリエンス強化へ向けたキリングループのビジョン。このビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげることを目指します。
環境マネジメントシステム:
組織が環境への影響を管理・改善するための枠組みであり、サステナブルな運営を実現するための方針、目標、手順を策定・実施するプロセスのことを指します。
- Ⅳ.基本原則
-
- 地球環境への負荷の低減の活動
- 協和キリングループとして取り組むべき重要な環境活動
- 当社と社会のサステナビリティの実現のために、インパクトマテリアリティと財務マテリアリティの観点から、「協和キリングループとして取り組むべき重要な環境活動」を定めています。事業環境や社会の動向を踏まえ、重要な環境活動を定期的に見直します。
- 当社は気候変動への対応を「協和キリングループとして取り組むべき重要な環境活動」と定め、再生可能エネルギーの活用をはじめとするバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を削減します。
- 環境法令遵守のための活動
- 環境汚染の予防のために、「環境法令遵守のための活動」を定めています。当社は環境関連の法令、協定等を遵守するとともに、より厳しい自主管理基準を定めて活動します。
- 「環境法令遵守のための活動」には廃棄物を含む資源循環、水質・土壌・大気等の汚染防止、生物多様性の保全等を含みます。
- キリングループの一員として取り組むべき環境活動
- 「キリングループ環境ビジョン2050」の実現に貢献するために、「キリングループの一員として取り組むべき環境活動」を定めています。
- 「キリングループの一員として取り組むべき環境活動」には、(1)で記載した「気候変動への対応」に加え、水使用量の削減を通じた「水資源への対応」及び持続的な生物資源の利用を通じた「生物資源への対応」を含みます。
- 環境マネジメントシステム
- 上記1.の取り組みを確実に実行するため、環境マネジメントシステムを構築し、継続的にパフォーマンスを改善します。
- 地球環境への負荷の低減を推進するため 従業員に向けた教育や啓発活動を行い、意識の向上を図ります。
また、協和キリングループは、社会の持続性へのインパクトとグループの事業へのインパクトの観点から、当社グループが重点的に取り組むべき課題(マテリアリティ)を特定しています。環境に関するマテリアリティでは「地球環境への負荷の低減」が該当し、マテリアリティは中期経営計画へ組み込み、単年度ごとに目標設定を行い、施策を実行しています。なかでも、「気候変動への対応」については、当社グループが取り組むべき重要な環境活動と位置づけ、単年度目標に加えて、中長期の目標を設定し、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に向けた各種施策を展開しています。
なお、詳細については、「マテリアリティ」および「環境活動報告」のページをご覧ください。
マテリアリティ
環境活動報告
ガバナンス
当社のChief Compliance Officer(CCO)は、当社グループの気候変動課題を含めた環境管理全般に対する最高責任者です。また、当社グループ全体の環境施策の統括管理はCSR推進部が担っています。
当社はCCOを委員長とするCSR委員会を設置しており、グローバルおよび各地域の活動状況や気候変動におけるリスクや機会に関する課題などグループの環境管理における重要事項については、四半期毎、年4回開催されるグループCSR委員会若しくはリージョナルCSR委員会にて報告・審議し、意思決定しています。これらCSR委員会にて報告・審議・決定された内容は取締役会に報告しています。
環境モニタリングの実行
当社グループは環境関連法令を遵守するとともに、より厳しい自社管理値を定めて環境活動を行っています。また、当社生産・研究所ではISO14001に則った環境マネジメントシステムを着実に運用しています。
当社では2018年5月にISO14001全認証取得サイトで新規格ISO14001:2015への移行を完了しました。また、2019年1月1日付で第三者認証から自己適合宣言に移行し運用しています。
- ISO14001自己適合宣言サイト
- 高崎工場、宇部工場、東京リサーチパーク、富士事業場
リスク管理
環境にかかわる事故への対応
環境に関する潜在的なリスクは、「グループリスクマネジメント規程」に従い、当社グループのリスクマネジメントシステムに組み込まれ、リスク台帳等を用いて、その発生頻度、影響度等の指標を基に、定期的に抽出・分類・見直され、常に管理されています。万一重大なインシデントが発生した場合は、「グループクライシスマネジメント規程」に従い、クライシス担当部門を通じ、CCOおよび取締役会に迅速に報告されると共に、迅速に対応されます。
なお、2024年度、グループ全体で環境に関連して罰則を受ける法令違反および環境事故等はありませんでした。
環境安全監査
協和キリングループでは、環境マネジメントシステムがきちんと機能し、運用されているかどうかをチェックするため、毎年、環境安全監査を実施しています。2024年度、環境安全監査を行った会社数は、2社・14拠点でした。なお、当社生産・研究事業場の監査では、同社の他の生産・研究事業場の環境安全担当者も監査員として参加し実施することで、より高いレベルでの監査を実現しています。
監査において抽出された指摘事項については、根本原因を探り、仕組みの改善などを実施することにより、事故・災害やコンプライアンス違反の未然防止につなげています。
環境に関する研修
環境管理に従事する社員は、環境に関する専門研修を定期的に受講することが義務付けられています。また、一般の社員に対しても、環境活動の理解促進を目的として、毎年、定期的にe-ラーニングなども活用し全体教育を実施しています。2024年には協和キリングループ(グローバル)全体で共通の教育も実施しました。
サプライヤーへの対応
当社グループでは、「協和キリングループ 調達基本方針」を定めるとともに、サプライヤーにご協力いただきたい取組みを明記した「協和キリングループサプライヤー行動指針」を制定し、サプライチェーン全体でサステナブル調達を推進しています。本指針では、環境問題の取り組みは人類共通の課題であり、企業の活動と存続に必須の要件であるという認識の下、サプライヤーにも主体的な活動を求めています。そしてサプライヤーに対し毎年「サステナブル調達アンケート」を実施し、サステナブル調達の実現に向けたサプライチェーンにおける活動の現状分析と課題抽出に取り組んでいます。
サプライチェーン全体の課題やその解決策の共有などを行うサプライヤー説明会など、サステナブル調達活動に対する理解をサプライヤーに深めていただくための機会も提供しています。2024年のサプライヤー説明会には、国内のサプライヤー205社289名に参加いただきました。
製品の品質保証と安定供給:サステナブル調達
TCFD提言への対応
当社は2021年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動に伴う当社ビジネスへの影響について情報を開示しています。当社のTCFDに関する対応等の詳細については、「TCFD提言に基づく情報開示」のページをご覧ください。
TCFD提言に基づく情報開示
なお、キリンホールディングス株式会社は、当社が所属するキリングループとしてTCFD提言への賛同を2018年12月に表明し、気候変動に伴うシナリオ分析ならびに経営戦略のレジリエンス評価を実施しており、その結果を公表しています。
日本の食品会社として初めて「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明
第三者保証
当社は、情報の信頼性・透明性の確保を目的とした第三者による保証を受けており、2024年度の協和キリングループ全体のScope1、Scope2の排出量、エネルギー消費量、および取水量について、第三者保証
※1 を取得しています。
なお、協和キリングループが所属するキリングループも、2024年度、当社グループを含むキリングループ全体のScope1、Scope2の排出量、および取水量について、第三者保証を取得しています。
- ※1KPMGあずさサステナビリティ株式会社による、国際保証業務基準(ISAE)3000、ISAE3410に準拠した第三者の保証を受けています。
第三者保証 独立した第三者保証報告書はESGデータ集 の19ページを参照ください。
キリングループ環境報告書2024