People & Culture 【解説記事】「LGBTQ+」とは

「LGBTQ+」とは?

「LGBTQ+」は、性的マイノリティを表す総称の一つで、「Lesbian(レズビアン)」、「Gay(ゲイ)」、「Bisexual(バイセクシャル)」、「Transgender(トランスジェンダー)」、「Questioning(クエスチョニング)」または「Queer(クィア)」の頭文字を取った言葉です。「+」は、セクシュアリティは多様で、ほかにもさまざまなセクシュアリティがあることを意味するために加えられました。それぞれの意味を以下でお伝えします。

Lesbian(レズビアン)

レズビアンとは、自分の性を女性と認識している人で、恋愛対象が女性である同性愛者のことを指します。

Gay(ゲイ)

ゲイとは、自身の性を男性と認識している人で、恋愛対象が男性である同性愛者のことを指します。

Bisexual(バイセクシャル)

バイセクシャルとは、恋愛対象が女性にも男性にも向いている両性愛者のことを表します。女性であったり、男性であったり、あるいはどちらでもなかったり、自身の性の認識は関係しません。

Transgender(トランスジェンダー)

身体的な性別が男性、あるいは女性だからといって、心の性別も一致しているとは限りません。トランスジェンダーは、身体の性に違和感をもつ人のことで、身体の性と認識している性(心の性)が一致しない人を指します。

Questioning(クエスチョニング)

自身の心の性がわからない、あるいは意図して決めていない人を指します。

Queer(クィア)

性的少数者の総称として使われる言葉です。

Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシャル)は、どのような性別の人に対して恋愛や性愛を抱くかという「Sexual Orientation(性的指向)」に基づいて定義づけられました。Transgender(トランスジェンダー)やQuestioning(クエスチョニング)は、相手の性別ではなく、自分自身の性別への認識であり、心の性別はどうかという自身の性の捉え方である「Gender Identity(性自認)」に基づいて作られた呼び名です。「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」の頭文字をとって、SOGIと表現されることもあります。

LGBTQ+が直面する困難

LGBTQ+の当事者は、以下のような困難に直面しやすいです。「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する 困難のリスト第3版※1」の一部を抜粋します。

学校現場

  • 「気持ち悪い」「ホモ」「おかま」「レズ」といった侮蔑的な言葉を投げかけられ、自尊感情が深く傷つけられた。
  • 自分の性別に違和感があることを教員に相談したところ「そんな風だと堅気の仕事に就けないぞ」とたしなめられた。

職場

  • カミングアウトしたら、「あいつはホモ/レズだから気をつけろ」と職場内で言いふらされた。
  • 努力して海外赴任のチャンスを勝ち取ったが、同性パートナーを家族として会社に認めてもらえないため、赴任地に同行させられず、海外赴任を諦めた。

医療現場

  • 男女分けされた共同病室で、性自認に沿って入院できない。
  • パートナーが入院したが、病室での付き添いや看護をさせてもらえなかった。

公共サービス・社会保障

  • パスポートにトランスジェンダーやXジェンダーという記載が認められていないため、入国審査などの際に本人確認と称して身体検査をされ、苦痛を感じた。
  • 同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないことを理由に拒否された。

このように、LGBTQ+当事者は日本社会で生きていくうえで、さまざまな困難に直面する可能性が高いです。

  1. ※1性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する 困難のリスト第3版pdfが開きます

国や自治体の取り組み

世界では、同性婚を認める国が増えています。現在、同性婚および登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は世界中の22%の国・地域に及んでいます(2023年2月時点)※2

日本でも、LGBTQ+当事者が直面する困難の解決を目指し、国や自治体が取り組みを実施するようになっています。2015年頃から増えているのが、自治体によるパートナーシップ制度の実施です。2024年6月の時点で、全国459の自治体が独自に制度を整備しています※3。パートナーシップ制度の内容はさまざまです。たとえば千葉市では、対象をLGBTQ+に限定せず、人生のパートナーとして共同生活を送る2人が「互いを人生のパートナーとする」という二者のパートナーシップの宣誓を証明する制度にしています※4

  1. ※2NPO法人 EMA日本「世界の同性婚」別ウィンドウで開きます
  2. ※3NIJI BRIDGE「渋谷区・虹色ダイバーシティ全国パートナーシップ制度共同調査」別ウィンドウで開きます
  3. ※4千葉市ホームページ「千葉市パートナーシップ宣誓制度」別ウィンドウで開きます

企業については、2020年に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行され、LGBTQ+当事者へのハラスメントの防止が企業に義務付けられました。しかし、LGBTQ+に関する企業の取り組みは、何もやっていない企業や宣言のみにとどまっている企業から、具体的な施策を進めている企業まで、ばらつきがあります※5

  1. ※5朝日新聞SDGs ACTION!「LGBTQとは わかりやすく活動家が解説」別ウィンドウで開きます

まとめ

当事者や当事者団体からの呼びかけ、国や自治体の働きかけなどにより、LGBTQ+が直面する困難は以前より知られるようになり、困難の解消に向けた取り組みが広まってきています。行政に限らず、企業でもLGBTQ+の問題やジェンダー平等を意識した施策がとられるようになってきました。
協和キリンでも「Diversity, Equity &Inclusion(ダイバーシティ, エクイティ &インクルージョン)の推進」の取り組みを行っています。LGBTQ+の当事者がより生きやすい社会に向け、より一層の制度の充実と、人々の理解の浸透が求められています。

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