社会との共有価値協和キリンの取り組み 〜気候変動編〜


目次
SDGsへの対応の重要性は国境を越えて共有されており、世界各国で目標設定もされています。協和キリンでも、SDGs目標達成に向かって取り組みを進めているところです。今回は、SDGsの基本的な情報と、協和キリンの気候変動に関する取り組みを解説します。
こんにちは、協和キリンのCSR推進部環境安全グループです。SDGsのテーマは、私たちの生活や将来に密接に関係しています。さっそく、SDGsについて見ていきましょう。
SDGsって何?

SDGs(読み方:エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」という意味の言葉です。環境問題から人権問題までカテゴリー別の17の目標で構成されていて、地球上で生活する誰もが何かしらのアクションで貢献できるような目標になっています。(協和キリン担当者)
![[SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS] 1.貧困をなくそう、2.飢餓をゼロに、3.すべての人に健康と福祉を、4.質の高い教育をみんなに、5.ジェンダー平等を実現しよう、6.安全な水とトイレを世界中に、7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに、8.働きがいも経済成長も、9.産業と技術革新の基盤を作ろう、10.人や国の不平等をなくそう、11.住み続けられるまちづくりを、12.つくる責任、つかう責任、13.気候変動に具体的な対策を、14.海の豊かさを守ろう、15.陸の豊かさも守ろう、16.平和と公正をすべての人に、17.パートナーシップで目標を達成しよう](/stories/20220531/images/index_img_03.jpg)
SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を」。この目標が設定された背景にあるのは、CO2などの温室効果ガスなどによって引き起こされる地球温暖化の影響の深刻化です。
世界の平均気温は年々、上昇しており、1850~1900年を基準とした世界平均気温は2011~2020年に約1.1℃も上昇しました※1。地球温暖化は、異常気象をもたらすだけではありません。気温上昇による海面の上昇、環境破壊、深刻なレベルの自然災害の悪化、生物・植物の絶滅や衰退による生態系への悪影響もあります。ほかにも、気候変動による土壌劣化が原因で、水不足や食料不安が進行すると予測されており、経済の混乱、紛争やテロの助長につながる恐れもあります。地球温暖化は、さまざまな社会問題を引き起こす引き金になっているのです。
こうした背景から、平均気温の上昇を抑えるために、脱炭素社会の実現が急がれています。また、国だけでなく、企業や個人でも具体的な対策を行うことが必要とされています。
協和キリンの気候変動に対する目標

協和キリンの親会社であるキリンホールディングス株式会社は、一緒につくりたい2050年の社会を「気候変動を克服している社会」と決め、「キリングループとして2050年にCO2排出量を実質ゼロにする」という目標を掲げています。協和キリングループの独自目標として「2030年のCO2排出量を2019年と比べて55%減らす」という目標を設定しました。(協和キリン担当者)
もし、具体的な取り組みを行わず、自然な成り行きに任せてしまった場合、なんとCO2排出量は今より25%も増加してしまうと予測されています。これに対しCO2排出量の増加を止め、さらにマイナス55%まで削減することは高い目標ですが、グループ全体で最優先事項として取り組んでいます。
目標達成に向け、ロードマップを作成し各種施策を計画的に取り進めています。
![[CO2削減のイメージ]030年:55%削減、2050年:100%削減](/stories/20220531/images/index_img_05.jpg)
具体的な気候変動への4つの取り組み

ここからは、協和キリンのCO2削減に向けた具体的な取り組みもご紹介したいと思います。以下の取り組みを中心に早い時期から抜本的な改革を行っています。(協和キリン担当者)
1:再生可能エネルギーの積極活用
協和キリンでは、再生可能エネルギーの活用を促進するため、2011年から太陽光発電設備の導入を進めています。2024年現在では、東京リサーチパーク(東京都)、富士事業場(静岡県)、高崎工場(群馬県)の3生産・研究事業場で導入しています。さらに、Kyowa Kirin USA Holdings, Inc./ Kyowa Kirin, Inc.(北米)でも太陽光発電設備が稼働しています。また、2020年以降、RE100適合の再生可能エネルギーを高崎工場、東京リサーチパーク、富士事業場、宇部工場に順次導入し、すべての国内主要事業場の使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えました。2023年3月には宇部工場でオンサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルによる大規模太陽光発電設備(1.47MW)も稼働しています。これらの再生可能エネルギーの導入により、2024年度は協和キリングループの年間消費電力量約77,400千kWhのうち約73,900千kWhがCO2排出量ゼロの再生可能エネルギー由来のものに切り替わり、各種省エネ施策による削減効果とあわせ、当社グループの年間CO2排出量の約65%(約33,700t)が削減されました。なお、2021年には、本社およびKyowa Kirin USA Holdings, Inc./ Kyowa Kirin, Inc.にもRE100適合の再生可能エネルギーが導入されています。今後は2030年までに、海外のサイトや国内の支店営業所等も含めた協和キリングループ全事業場の購入電力を、100%再生可能エネルギーに切り替える予定です。
2:営業車のハイブリッドカー導入率100%
協和キリングループでは、2009年から順次、営業車両を従来の低排出ガス認定車からより燃費性能の良いハイブリッドカーへ切り替えてきました。その結果2019年以降は、国内の新規に導入する営業車両すべてにハイブリットカーを採用しており、その結果、2023年度末時点で国内のすべての営業車両へのハイブリッドカーの導入が完了しました。
2020年度以降は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、面談や説明会・講演会の実施においてWEBツールの活用を大幅に促進させたことにより、営業車の使用を減らしました。これらの取り組みが、CO2排出量の大幅な削減につながっています。これからも、より高効率で環境負荷の少ない車両への切替えや車の使用を控える取り組みを継続し、脱炭素企業グループの実現に向けた取り組みを進めていきます。
3:エネルギーの効率的利用の促進
エネルギー原単位とは、エネルギーの使用効率を示す指標で、特定の生産量やサービス量に対するエネルギー消費量を表します。協和キリングループでは、毎年、エネルギー原単位削減目標を設定すると共に、生産・研究事業場を中心に、各事業場も毎年エネルギー原単位削減目標を設定し、エネルギーの効率的な使用を促進しています。2024年度はエネルギー原単位前年比▲2.8%を達成しています。
4:国際的なイニシアティブへの参画 〜TCFD〜

TCFDとは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のことで、気候変動が企業活動(財務)に与えるリスクと機会(影響)を評価して管理し、これらに関して適切な情報開示を求めるものです。協和キリンでは2021年11月にTCFDによる提言への賛同を表明すると共に、情報開示などに取り組んでいます。また、親会社であるキリンホールディングスは、2018年に食品業界では初めてTCFD提言への賛同を表明しています。
CO2削減への考え方

協和キリンのCO2排出量削減の取り組み方針は、省エネの推進と事業で使う電力への再生可能エネルギーの導入と、活用の拡大です。つまり、エネルギー使用量全体を減らしつつ、電力そのものを地球に優しいものに切り替えていくという考え方で進めています。(協和キリン担当者)
協和キリンでは医薬品の開発・製造を事業の中心としており、医薬品の製造過程ではクリーンな環境が常に不可欠なため、空調に大量の電力を使用しなければなりません。そのためCO2排出量を大幅に削減するには、空調設備などの運転効率化や最新の設備・機器への入れ替え等の省エネの推進と共に、再生可能エネルギーによる電力の活用を進めることが効果的です。
再生可能エネルギーとは、化石燃料と呼ばれる石炭や天然ガスなどを使用して発電する火力発電とは違い、電力(エネルギー)をつくり出す過程で実質的にCO2などの温室効果ガスを排出しないエネルギーのことを指します。代表的なものとしては、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどがあります。しかし、再生可能エネルギーの全てが明るい未来を照らしているわけではありません。キリングループ環境ビジョン2050で掲げる「責任ある再生可能エネルギーを社会に広げる」というミッションのもと、さまざまある選択肢の中から調査を行い、多角的に検討を重ね、最適な再生可能エネルギープランに沿った導入を進めているのです。
最適な再生可能エネルギープランってなに?
3つの特徴を詳しく見てみよう。

1.RE100へ適用できること
RE100(読み方:アールイー100)は、Renewal Energy 100の略で、企業が事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーから調達することを目指す国際的な団体です。
世界中の企業が参加しており、キリンホールディングスは2020年11月に加盟しました。国際的に定められた要件を満たす環境価値の促進を積極的に進め、目標達成に向けての適切なアクションになっているかを検討する際のポイントの一つとしています。
![[RE100] 再生可能エネルギー由来の電力/2020年:10% 2040年末まで:100% キリンホールディングス目標](/stories/20220531/images/index_img_10.jpg)
2.責任ある再生可能エネルギー
「責任ある再生可能エネルギー」とは、つくる過程も環境や社会へ配慮されているエネルギーのことです。発電のために森林破壊をしていないか、生態系への配慮がなされているか、強制労働や土地の収奪などの人権侵害が問題になっていないかなどを導入前に調査します。
3.追加性
「追加性」とは、再生可能エネルギー電力を購入するだけではなく、新たな再生可能エネルギー電源の普及拡大にも寄与することです。火力発電を代替しCO2排出量を削減することができることはもちろんですが、「追加性」がある環境価値を持つ再生可能エネルギーを選択することで、社会に新たな再生可能エネルギー発電設備をさらに増やし、より本質的・直接的に社会の脱炭素化に貢献できます。
このように、「気候変動を克服している社会」の実現のため、CO2削減目標を高く設定し、社会に対しポジティブインパクト(好影響)を創出できるよう、以上の3点をクリアしていることを前提に、コスト、将来予測、流通量、契約期間、市場動向、地域特性などを考慮し、再生可能エネルギーの導入を行っています。
協和キリンのこれから

再生可能エネルギーの導入から、国際的なイニシアティブへの参画まで、協和キリンの4つの具体的な取り組みをご紹介しました。事業ごとの取り組みも、社員一人ひとりの取り組みも、積極的に行っていることを感じてもらえたらうれしいです。
協和キリンでは、「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する」ことを経営理念に掲げ医薬品の開発を事業の中心としていますが、私たちが追求する「世界の人々の健康と豊かさ」は、みなさんの生活基盤である地球環境の持続性とサステナブルな社会が存在してこそ実現するものです。だからこそ、今回ご紹介したようなCO2排出量の削減への取り組みにも力を入れています。
大きな変革と小さな変革、どちらもコツコツと行っていくこと。それが私たちの実現したい「気候変動を克服している社会」への一歩になると信じています。
(協和キリン担当者)
