社会との共有価値【解説記事】エシカル消費とは？

日常生活の中で、「エシカル消費」という言葉を耳にしたことはありませんか。エシカル消費とは、人、社会、環境、地域に配慮した消費行動のことで、昨今、メディアやSNSでも取り上げられています。今回は、その概要と事例をお伝えします。

エシカル消費とは

エシカル消費とは、人、社会、環境、地域に配慮した消費行動のことです。消費者庁では「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」と説明しています^※1。Ethical（エシカル）という言葉は英語で「倫理的」を意味するため、「倫理的消費」ともいわれます。

近年、エシカル消費が意識されるようになった背景には、手に取った製品の裏側、つまり、普段目にすることのない生産や廃棄のあり方への意識の高まりがあります。環境や人権への配慮に欠けた製品は選ばず、社会的課題の解決に取り組む事業者を応援する「エシカル消費」の動きが広まっていきました。

※1消費者庁「エシカル消費とは」

エシカル消費で重視すべき視点

エシカル消費では、どんな視点や取り組みを重視した製品を選ぶとよいでしょうか。考慮すべきポイントをいくつかご紹介します。

人・社会への配慮

身の回りの製品は、原材料の生産・加工から実際に消費者の手に届くまでにいくつかの過程があり、その過程には多くの人が関わっています。その際、コスト削減などを背景に、生産者に低い賃金しか払われなかったり、労働者が劣悪な環境で働かされたりすることが少なくありません。こうしたことが行われず、店頭に並ぶまであらゆるプロセスにおいて人や社会に配慮された製品を選ぶことが重要です。

地域への配慮

地域の経済を活性化させるために、地域振興につながる製品を購入することや、地元で作られたものを地元で消費する「地産地消」も重要です。また、購入する際はその地域で労働者の人権を尊重しながら作られたかどうかも、できるかぎり考えましょう。

環境への配慮

「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」は、地球温暖化、海洋汚染、生態系の破壊などの環境問題の原因となっています。原材料の調達から製品ができ、使用後に廃棄・リサイクルするまでのライフサイクル全体の環境への負荷が低いものを消費することも、エシカル消費といえます。

動物への配慮

家畜が効率を優先して狭い場所で飼育されているケースは少なくありません。また、製品の研究や開発のために動物実験が行われることもあります。そうした方法をとらず、動物の苦しみやストレスをできるだけ減らす、動物福祉を重視した取り組みを行っている生産者や加工者から購入することも、エシカル消費の一つです。

エシカル消費の事例

最後に、消費者が日常の買い物で実践できるエシカル消費の事例を紹介します。

認証ラベル・マークのついた製品を購入する

まず取り組みやすいのは、認証ラベルや認証マークのついた製品の購入です。例えば、以下のようなものがあります。いずれも第三者機関により認められた一定の基準を満たした製品であることの証明になります。製品のパッケージやラベルなどで確認できるので、購入時に見てみましょう。

エコマーク
MSC認証
国際フェアトレード認証
GOTS（Global Organic Textile Standard）
RSPO認証

フェアトレード製品を購入する

「公平・公正な貿易」と訳されるフェアトレードは、低・中所得国との貿易において、適正な価格で継続的に購入することで、経済状況の向上や自立を支援する取り組みです。フェアトレードの製品を専門的に扱っているフェアトレードショップ（実店舗およびオンライン）で購入するのも、よいでしょう。スーパーで売られているコーヒーや紅茶にも、フェアトレード認証がついたものがあります。

復興支援商品を購入する

被災地で作られた復興支援商品の売り上げは、作り手の収入になることはもちろん、歴史や文化、伝統の継承、新たな産業の育成などにつながります。

地産地消を意識する

地元で生産されたものを地元で消費する地産地消も、エシカル消費の一例です。地域経済の支援、食育の推進、地元食材の流通コストの軽減、輸送における環境負荷の低減といったメリットがあります。消費者は新鮮な食材を手に入れられるほか、その地域の食文化への理解も深められます。

食品ロスを減らす

外食で食べられる分だけ注文する、「見切り品」など賞味期限の近い製品から購入する、購入した食材はしっかり食べ切るなど、食品ロスを減らす取り組みも、よりよい社会・環境につながるエシカル消費といえます。

日々の生活で無駄な消費をしない

日常生活で無駄に消費しない心がけも、エシカル消費につながります。例えば、以下のような行動を意識してみましょう。

ペットボトルや缶の飲み物を購入するのではなく、マイボトルを持ち歩く
使い捨てプラスチックをできるだけ使わない

消費者一人ひとりのエシカル消費への意識が、よりよい環境や社会につながっていくため、製品選択の際に常に意識することが大事です。日々、心がけていきましょう。

社会との共有価値 【解説記事】エシカル消費とは？

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