社会との共有価値 【解説記事】「クリーンエネルギー」とは?具体的な種類と現状の課題を解説

「クリーンエネルギー」とは?具体的な種類と現状の課題を解説 「クリーンエネルギー」とは?具体的な種類と現状の課題を解説

SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の達成とも関連して、よく耳にする「クリーンエネルギー」。今回はクリーンエネルギーの概要を解説し、種類・現状や課題・日本企業による取組事例を紹介する。

クリーンエネルギーとは

クリーンエネルギーとは、一般的に環境に負荷がかかるリスクがない・もしくはほとんどないエネルギーを指す。環境に負荷がかかるリスクとしては、二酸化炭素・窒素酸化物・硫黄酸化物・放射性廃棄物などの排出が該当する。

クリーンエネルギーの代表的なものとして、太陽光発電・水力発電・風力発電などの自然エネルギーが挙げられる。

日本における全発電電力量に占める自然エネルギーの割合は年々増加しており、2014年には約12%であったが、2020年時点には20.8%になった。なお、自然エネルギーの内訳では太陽光発電が最も多くなっている。

関連記事:SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは!取り組み・私たちにできること

クリーンエネルギーの種類

二酸化炭素・放射性廃棄物などの環境負荷がある物質を排出しないクリーンエネルギーとして代表的なものは下記の5つ。

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

この項目では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説していく。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽電池を使って太陽の光で電気を発生させる発電方法だ。太陽光発電パネルは、建物の屋上や埋め立て場跡地など、さまざまな場所に設置されている。

太陽光発電のメリット・デメリットは次のとおりだ。

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メリット
  • 屋根などを利用して設置が可能であるため、空きスペースを有効に活用して導入できる
  • 晴れてさえいれば発電が可能で、エネルギー源を確保しやすい。
デメリット
  • 日照時間や光の強さで発電量が左右されやすく、安定供給できない(昼間のみしか発電できない)

広い土地や大がかりな設備が不要な太陽光発電は、自然エネルギーの中でもっとも活用しやすいといえるだろう。

風力発電

風力発電とは、風の力で風車を回転させた動力を発電機に伝え、電気を起こす発電方法だ。風車の高さや羽根の長さ・メーカーなどによって1基当たりの発電量は異なる。発電機は、山頂や広い公園などに設置されるケースが多い。

風力発電には以下のようなメリット・デメリットがある。

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メリット
  • 発電効率が高い。
  • 風さえ吹けば夜間でも発電が可能。
デメリット
  • 騒音が発生する。
  • 年間を通して安定して風が吹き、景観などに影響がない土地にしか設置できない。

土地が狭く風力発電機の設置場所を確保しづらい日本では、洋上風力発電の拡大が検討されている。

水力発電

水が流れる力を利用して発電タービンを回し、電気を発生させるのが水力発電だ。渓流やダムのほか、オフィスビル内で空調の循環水を活用して水力発電を行うケースもある。

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メリット
  • 山が多く高低差を作りやすい日本に適した発電方法。
  • 発電所を作れば、数十年にわたって一定量の電力を安定的に供給できる。
デメリット
  • 初期費用がかかる。
  • 設置場所によっては自然環境に影響が出る。

水力発電は、日本では太陽光の次に活用されている自然エネルギーだ。今後も拡大が望まれるが、太陽光発電に比べると導入のハードルが高くなっているのが実情である。

地熱発電

地熱によって発生する蒸気が噴き出す勢いを利用してタービンを回し発電するのが、地熱発電だ。温泉や山のふもとなどで行われることが多い。

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メリット
  • 気象条件などに左右されないため、安定した電力供給が可能。
  • 化石燃料のように枯渇する心配がない。
  • 地熱資源の多い日本に最適な発電方法。
デメリット
  • 発電所の設置コストが高い。
  • 発電所設置時に自然破壊のリスクがある。

なお、地熱発電の方式には、「フラッシュ方式」「バイナリー方式」の2つがある。

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フラッシュ方式 地中の高温の蒸気で直接タービンを回し発電。
バイナリー方式 水より低い温度で蒸気になる液体を地熱で温め、その蒸気で発電。

バイナリー方式の方がより低い温度でも発電が可能となるため、例えば温泉水の熱を活用し発電するといったこともできる。

バイオマス発電

木くず・生ごみ・家畜排せつ物などの動植物由来の資源(バイオマス)を直接もしくは燃料に加工して燃やし、発生した蒸気やガスでタービンを回し発電する方法を、バイオマス発電という。

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メリット
  • 廃棄物の再利用や減少につながる。
  • 安定した電力供給が可能。
デメリット
  • バイオマスの生産・加工・輸送などにコストがかかる。
  • 他に利用価値のある木材や飼料も燃やされる可能性がある。

バイオマス発電でも二酸化炭素は排出される。ただ、バイオマスはカーボンニュートラルであるため、燃焼しても地球上の二酸化炭素の総量は増えない。そのため、バイオマス発電もクリーンエネルギーであるとされている。

  • カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量をゼロに近づけること。

クリーンエネルギー普及における2つの課題

発電量の多い火力発電と比較すると、クリーンエネルギーを普及させる上での課題が2つある。

  • 発電コストが割高
  • 供給が安定しない場合がある

なぜこのような課題があるのか解説していく。

発電コストが割高である

特に太陽光発電やバイオマス発電は、火力発電に比べて発電コストが高く、2~3倍程度といわれている。

日照が十分でない天気の悪い日や夜間には発電できず、設備投資コストに見合った発電量が確保できなくなることが、太陽光発電の発電コストが高い原因だ。また、バイオマス発電は、資源の収集にコストがかかるため、発電コストがかさんでしまう。

今後、より一層クリーンエネルギーを普及させるためには、発電設備の改良など発電コストを下げる工夫が求められる。

供給が安定しない場合がある

特に太陽光発電や風力発電は、気象条件の変化が発電量にダイレクトに影響するため、電力の供給が安定しにくい傾向にある。

安定供給を実現するためには、需要が高まるタイミングで供給も増やせることが必要だ。しかし太陽光発電や風力発電の場合だと不安定になりやすい。

例えば、夏場の電力需要が高い時間帯に供給量が減ったり、逆に休日午後の需要が少ない時間帯に供給過多になったりすることが不安定になる原因としてあげられる。

北海道や東北エリアでは、すでに顕在化した問題となっているため、需給バランスが合わない場合にも対応できるよう蓄電池や電力制御設備などの整備が急がれる。

クリーンエネルギーに関する「日本企業の取組事例」

ここでは、以下のクリーンエネルギーに関する日本企業の取り組み事例を3つ紹介する。

株式会社未来電力

大分県宇佐市で発電事業などを行っている株式会社未来電力は、SDGsの達成に力を入れている企業だ。同社ではクリーンエネルギーに関して、バイオガス発電事業に取り組んでいる。

食品工場などで排出される有機物原料を発酵させバイオガスとして利用することで、2030年までにCO₂を累積1億kg削減することを目指す取り組みだ。

大和ハウス工業株式会社

大阪市を拠点に、住宅・マンション事業から環境エネルギー事業まで幅広く手掛ける大和ハウス工業株式会社。同社では、エネルギー「ゼロ」の住宅・建築物を普及させ、脱炭素社会を実現することに注力している。

具体的な取り組み内容は、エネルギー自給住宅の開発・実証プロジェクト・スマートシティの全国展開など多岐にわたる。

協和キリン株式会社

医療用医薬品の研究・開発・製造・販売を行う協和キリン株式会社でも、2030年までにCO₂の排出量を2019年比で55%削減することを目指し、クリーンエネルギーの活用に積極的に取り組んでいる。

これまでの代表的な取り組みとして、下記の3つがある。

  • 2011年から太陽光発電設備の導入を推進。
  • 2020年に医薬品製造業界初となる「アクアプレミアム」を高崎工場(群馬県)に導入。
  • 2022年に「アクアプレミアム」を富士事業場(静岡県)に導入。

高崎工場の導入事例についてはこちら
富士事業場の導入事例についてはこちらpdfが開きます

まとめ

クリーンエネルギーが全発電電力量に占める割合は、2020年現在で20.8%。発電コストが割高であったり、電力供給が安定しなかったりなど、課題はある一方、多くの日本企業がクリーンエネルギーの積極的活用に向けた取り組みを行っている。これからは私たちが個人でも、クリーンエネルギーの活用を意識していく必要があるだろう。

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