社会との共有価値 【解説記事】「気候変動」の現状

「気候変動」とは

地球の気候は、もともと太陽や火山の活動などの自然的な要因により数万年、数十万年という長い時間をかけて変化します。これに比べ、数十年から数百年というとても短い期間で気候が変化することを「気候変動」と呼んでいます。主な原因は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出で急激に地球温暖化が進んだことです。

気候変動の例としては、洪水や暴風雨、猛暑日の増加が挙げられます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた「第6次評価報告書」では、「人間の影響が大気、海洋、及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏において、広範かつ急速な変化が現れている」と指摘されています※1

  1. ※1気象庁「IPCC AR6 WG1報告書 政策決定者向け要約」pdfが開きます

「気候変動」の現状

IPCCの「第6次評価報告書」を参考に、気候変動の現状と将来予測について解説します。

人間活動によってあらゆる気候の変化が起きている

日常生活や経済活動などを含むさまざまな人間活動は、大量の温室効果ガスを排出しており、気候変動に大きな影響を与えています。大雨が発生する地域が増えており、特に北半球での増加が目立っています。気温上昇による陸地の蒸発散量の増加などから、アジアや地中海エリア、欧州やアフリカなど幅広い地域で、干ばつが増えているのも問題です。他にも、氷河が溶け出していることや、それによる海面上昇も確認されています。また、温暖化に伴う気候変動により、世界各地で災害が発生し、その被害が拡大しています。気候変動は、既に人間が居住する、世界中の全ての地域において影響を及ぼしているのです。

2100年までの将来予測はいずれも「温度上昇する」

今後の気候変動について、さまざまなケースを想定した予測が行われていますが、温室効果ガスの削減に成功し、2050年ごろに現在世界が取り組んでいる削減目標を達成し、排出量が正味または実質ゼロになる「カーボンニュートラル」を実現したとしても、今後の気温上昇は避けることはできません。

何も対策をせずに温室効果ガスを増加させる場合は、さらに悪い結果が待っています。最も気温の上昇率が高い予測では、2040年までに1.9℃、2060年までには3.0℃、そして2100年には5.7℃上昇すると考えられており、この予測が現実となった場合は、現在のような生活はできなくなるでしょう。そのため、より早い対策が求められています。

「気候変動」に対する取り組み

国際社会での代表的な取り組みは、2015年にフランスのパリで開催された「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」でパリ協定が採択され、2016年に発効したことです。この会議はすべての国連加盟国の合意のもとに2020年以降の温暖化対策の枠組みを作成する目的で、開催されました。すべての国が参加したのは歴史上初めてのことです。パリ協定の概要には、以下のような内容が定められています※2

  • すべての国の長期目標として、気温上昇は2℃より低く保つことを目指し、1.5℃に抑える努力を追求すること。
  • すべての国が、温室効果ガスの削減目標を5年ごとに提出し、目標を更新すること。
  • 先進国による資金提供に加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
  • 途上国と協力し合う「二国間クレジット制度(JCM)」も含めて市場メカニズムを活用すること。
  1. ※2環境省「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)及び京都議定書第11回締約国会合(COP/MOP11)の結果について」別ウィンドウで開きます

日本では、2021年に地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するために「地球温暖化対策計画」が閣議決定され、それに基づく取り組みが行われています。2030年度までの目標としては、温室効果ガスを46%削減(2013年度比)すること、さらに50%削減を目指して挑戦を続けていくことが定められました。これを中間的な目標とし、2050年までに温室効果ガスの排出量が正味または実質ゼロになる「2050年カーボンニュートラル」を実現することが最終ゴールとなっています※3

  1. ※3環境省「地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)」別ウィンドウで開きます

詳しくは以下もご覧ください。

まとめ

気候変動は、地球温暖化によってこれまで経験してきた気象パターンとは異なる異常気象が増える現象です。気候変動により、すでに世界各地でさまざまな災害が起こっており、世界中の国や地域、企業、個人が気候変動に対する取り組みを実践しています。気候変動は、待ったなしの問題です。早急に対策を実践していかなければなりません。

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