ペイシェントRare Disease Day 2026(世界希少・難治性疾患の日):一人ひとりの理解を深め、次のアクションへ

希少・難治性疾患は、疾患ごとの症例が少なく、病気のメカニズムが複雑なことから、治療法や治療薬の研究・開発が進みにくい上に、診断機会と関係者や周囲からの理解が不足している現状があります。世界希少・難治性疾患の日(RDD:Rare Disease Day)は、そうした疾患と共に生きている3億人以上の人々への理解と支援を目的に設立されました。毎年2月には100ヵ国以上で啓発活動が展開されており、協和キリンも2月をRare Disease Monthと定め、国内外の拠点でイベントを実施しています。

今年で5回目を迎える協和キリンのRDDイベント。今回は、「すべての部署・世代の従業員が、希少疾患含む病気と向き合う人々のことを知り、自分たちの業務とのつながりを考え、話す機会をつくることで、ペイシェントセントリシティのマインド※1を醸成する」をテーマに掲げ、さまざまな取り組みを行いました。研究・開発・生産・営業だけでなく、人事や調達といった部署のメンバーも含めた「全社」での取り組みであることが、協和キリンのRDDの特徴です。

  1. ※1患者さんの経験、視点、ニーズ、プライオリティを積極的に理解し、患者さんにとって意味のある形で事業活動に組み入れようとするマインド

「自分の業務と患者さんとのつながり」を問い直す

画像:部署ごとの感想共有会の様子

RDD 2026では、各リーダーが「自部署の業務と、病気と向き合う人々とのつながり」をテーマにメッセージを発信しました。これは昨年までの取り組みを一歩進め、希少・難治性疾患への啓発にとどまらず、各部署の仕事が患者さんとどうつながっているかを自分たちの言葉で伝える試みです。普段、患者さんと直接関わる機会が少ない部署のメンバーにとっても、各リーダーが自部署のミッションに向き合うメンバーの気持ちに寄り添いながら、自らの言葉で患者さんへの想いを語ることが、自身の業務と患者さんとのつながりを考え、日々の業務へ落とし込むきっかけとなりました。

また、こうしたリーダーメッセージと並行して社内で実施したのが、患者さん出演動画の視聴と感想共有会です。X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)や腫瘍性骨軟化症(TIO)をもつ方々の想いを伝える動画を鑑賞した後、それぞれの感じたことを伝え合いました。動画の視聴者数は昨年を大幅に上回り、多くの部署・世代の従業員がこの機会を通じて希少・難治性疾患についての理解を深めました。例えば、日常的に患者さんの情報に触れる機会が少ない部署では、「発症から診断まで1年半かかった」という現実を知り、診断までの構造的な難しさを実感する声が多く聞かれました。また、自身の業務とのつながりを自ら言語化する動きも見られ、普段の仕事を患者さんの視点から捉え直す機会となりました。

社内SNSで可視化された理解・行動の広がり

イベントの期間中、RDDについて社内SNSに投稿する動きも大きく広がり、多岐にわたる部署から自分たちの業務と患者さんとのつながりに関する投稿が寄せられました。普段は患者さんや医療従事者との関わりが少ない部署の従業員からの投稿も多く、RDDに対する理解が全社的に深まりました。

多様な形で深める患者さんへの理解と想い:各事業場の取り組み

各事業場でも、さまざまな取り組みが展開されました。富士事業場では3月4日、RDD Japan事務局の西村由希子さん(特定非営利活動法人ASrid理事長)をお迎えし、レクチャーを実施。多くの従業員が参加し、製薬企業と患者さんとの関わり方について幅広い議論が生まれました。特に大きな反響があったのは、西村さんから共有された「Patient(患者)」ではなく「People living with a rare disease (PLWRD)」という表現が世界的に広まりつつあるという話です。病気はその人自身ではなく、その人が「持っているもの」であるという視点を提供し、参加者に大きな印象を残しました。

画像:富士事業場で開催されたレクチャーに登壇するRDD Japan事務局の西村由希子さん
画像:RDD Japan事務局 西村さんのレクチャーを聞く従業員の様子
画像:会場ではRDD寄付事業への参加の呼びかけも
画像:寄付した方に配布されるRDDオリジナルグッズをながめる従業員の様子

また、宇部工場では3月5日に「疾患を考慮した療養食を採り入れた弁当を実食する」というイベントを実施しました。当日は、約70名が特別弁当を実食。栄養素に配慮しながら必要なエネルギーを確保するという制約のもとで、日々食事を工夫する患者さんの視点を「食」を通じて体感する機会となりました。

高崎工場では希少・難治性疾患と共に生きる人々への支援の想いを示すため、世界規模で行われるライトアップキャンペーン「#LightUpForRare」に合わせ、場内でライトアップを実施しました。多様なカラーに彩られた工場の様子は、従業員のマインド醸成に大きなインパクトをもたらしました。

画像:高崎工場内ライトアップの様子

5年間の積み重ねが示すもの:成果、そして次のステップへ

コーポレートコミュニケーション部ペイシェントアドボカシーグループでRDDイベントを率いた中村陽介は次のように語ります。「希少・難治性疾患を含む病気と向き合う人々への理解は、特定の期間や特定の部署に限られるものではありません。『日々の自分の業務が、病気と向き合う人々にどのようにつながり、どのように貢献ができるのか』を問い続けることが、協和キリン全体で患者さん中心の考え方をより一層育んでいくと私たちは考えています。5年目を迎えたRDDイベントは、その想いの輪が着実に広がっていることを示しました」

RDD 2026では、病気と向き合う人々と自部署の業務とのつながりを従業員一人ひとりが見つめ直し、それぞれの立場から果たせる役割について考えました。患者さん動画視聴や社内SNSへの投稿など、多くの部署・世代の従業員が自発的に関わったことは、理解が全社的に深まり、行動の輪が着実に広がっている証といえます。

協和キリンでは、これからも部署間・世代間での参加状況や意識の差を丁寧に把握し、RDDの時期だけにとどまらず「患者さん中心の考え方」を日常業務の意思決定の中で重視していきます。そして、「患者さんを起点にした価値を創出し提供する」という姿勢を継続的に育む仕組みづくりに取り組んでいきます。