イノベーション研究員メッセージー専門性を掛け算して、未来をつくるー
現代の創薬は、異なる知識や技術、視点を組み合わせる"掛け算"が、新しい解を生み出します。初期探索研究を担うイノベーションセンターでは様々な専門性や経験をもつ研究員が1つのチームとして活動し、さらにチームを超えた連携も盛んです。リーダーとして多様な専門性を束ねるPrincipal Investigatorたちが語ります。
目次
専門性を結集し、創薬を前進させる― 化学の力で新たな治療を生み出すPrincipal Investigator ― | 平田勇樹
希少疾患の研究開発は、その複雑さゆえに、創薬において多くの課題を伴います。協和キリンは、そうした困難に真正面から向き合い、革新的なアプローチによって患者さんに「Life-changingな価値」を届けることを目指しています。協和キリン イノベーションセンターのPrincipal Investigatorである平田勇樹は、創薬研究の出発点である化学合成技術を軸に、新たな医薬品候補の創出に取り組んでいます。平田は、研究分野を深く掘り下げると同時に、異なる専門性を持つ研究員を結びつけることこそが、革新的な創薬につながると考えています。
平田のチームが担う創薬研究は、疾患の科学的理解を深め、新薬の「種」となる化合物を見出すことから始まります。しかし、初期段階の化合物は、有効性や安全性の面で課題を抱えていることがほとんどです。そこで重要となるのが、高度な化学合成技術です。
平田のチームでは、仮説に基づいて分子を設計し、合成と評価を繰り返すことで、最適な医薬品候補へと磨き上げていきます。このプロセスにおいて、生物学者や計算科学の専門家との密接な連携が不可欠です。治療が難しい複雑な疾患に対して、平田のチームは従来の手法にとらわれることなく、新たな技術やアプローチの導入にも積極的です。海外のCROや世界中の研究者との日常的なコミュニケーションを通じて、グローバルな連携ネットワークを築いています。
チームは、幅広いモダリティに対応できる合成化学の専門家で構成されており、抗体薬物複合体、核酸、ペプチド、低分子、ナノ粒子まで、多様な創薬アプローチを可能にしています。分析やin silico設計の専門家とも緊密に連携し、分野横断的なシナジーによって革新的な研究を推進しています。
チームが掲げるモットーは、「Everyone is a star. We respect bold ideas and embrace failure as a path to innovation.(仮訳:一人ひとりがスター。大胆な挑戦を称え、失敗すらイノベーションへの原動力にする。)」
若手研究員であっても、自由に大胆なアイデアを提案し、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりを大切にしています。
また、Integrity、Innovation、Teamwork/Waといった「生命に向き合う」協和キリンの価値観を、日々の研究活動の中で体現することを目指しています。
合成、分析、薬理といった専門分野の違いがあっても、直接対話を重ねることで壁を越え、課題解決に取り組む。その姿勢は、協和キリンのKABEGOE Principlesそのものです。
「創薬研究は、非常に複雑でありながら、最先端のサイエンスに触れられる、やりがいのある分野です。私にとって研究を続けることは、病気に苦しむ患者さんやそのご家族を支えたいという、原点の想いに立ち返り続けることでもあります」
多様な専門性を結集し、協働によって創薬を前進させる。平田勇樹の研究姿勢は、専門性の深さとつながりの力が、新たな治療を生み出すことを示しています。
この記事は協和キリン公式LinkedInで2026年3月10日に英文で投稿された内容を日本語に翻訳し再構成したものです。
Uniting experts to drive drug discoveries | LinkedIn![]()
血液学・幹細胞研究の新たな地平を切り拓く― 血液学とGene & Cell Therapy研究の未来を拓くPrincipal Investigator ― | 高柳晋一郎
多様なバックグラウンドを持つメンバー、そして社内外のパートナーとの協働。そのダイナミックな連携こそが、患者さんに「Life-changingな価値」を届ける原動力です。
協和キリン イノベーションセンターのPrincipal Investigatorである高柳晋一郎は、この協働の精神を、日々の研究活動だけでなく、チームのリーダーシップにも深く根付かせています。高柳は、改変造血幹細胞や抗体薬物複合体(ADC)を活用した、血液疾患に対する新たな治療コンセプトの創出に取り組んでいます。また、バイオ医薬品研究センター※1においてはGene & Cell Therapy(GCT)グループを率い、細胞治療研究の基盤強化にも取り組んでいます。20年以上にわたる血液学・幹細胞研究の経験を基盤に、世界を見据えた研究パイプラインの創出と、次世代を担う研究人材の育成を目指しています。
血液学・幹細胞生物学者としてのキャリアの出発点は、大学院博士課程での造血幹細胞の遺伝子マーカー研究。協和キリンに入社後、急性骨髄性白血病(AML)における白血病幹細胞を標的とした免疫療法の創薬研究において、探索研究の段階からプロジェクトリーダーとして研究を牽引してきました。その間の九州大学の臨床研究医との密接な共同研究に加え、カナダ・トロントのPrincess Margaret Cancer Centreでの海外研究経験を通じて、最先端の科学的知見と臨床現場の視点を融合させ、難治性疾患に挑む経験を積んできました。
さらに、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との新たな共同研究では、細胞治療分野におけるパイプライン創出や技術高度化にも貢献しています。現在は、疾患生物学と新たなモダリティを統合しながら、社内外の幅広いパートナーと連携し、新規開発パイプラインの創出に取り組んでいます。若手研究員とともに研究を進め、成果を臨床応用へとつなげていくことに、大きなやりがいを感じていると語ります。
高柳が率いる研究チームは、独自の技術を活用した疾患関連遺伝子の解析に強みを持っています。AIや幹細胞技術など、さまざまな手法を組み合わせることで、未だ満たされていない医療ニーズに応えるため、適切な標的に、最適なモダリティでアプローチする新たな治療コンセプトを探索しています。細胞治療は、従来の治療法とは異なり、主にアカデミア主導で発展してきた分野です。だからこそ、チームでは、疾患に深く向き合う医師・研究員とのパートナーシップを重視し、革新的な治療を確実に患者さんへ届けることを目指しています。また、血液学分野で培ってきた長年のネットワークを生かし、産学連携やグローバルなパートナーシップの推進にも積極的に取り組んでいます。
「私のキャリアは、多様な研究環境に支えられてきました。疾患研究から創薬候補の創出、論文発表、新規事業への挑戦や技術ライセンスまで、さまざまな経験を通じて、製薬企業が社会に与えるインパクトの大きさを実感してきました」高柳は続けます。「"Patient Centric"という協和キリンにとってシンプルで本質的な価値観のもと、血液学および幹細胞研究の新たな地平を切り拓き、真に患者さんの役に立つ革新的な治療を実現していきたいと考えています」
革新的な技術を柔軟に取り入れ、協働を重んじる高柳のリーダーシップと研究姿勢は、協和キリンの研究開発そのものを体現しています。
- ※1LinkedIn投稿当時の組織です。
この記事は協和キリン公式LinkedInで2026年2月3日に英文で投稿された内容を日本語に翻訳し再構成したものです。
Opening new avenues in hematology and stem cell research | LinkedIn![]()
デジタルの力で切り拓く創薬の未来― AIとデータで革新を加速するPrincipal Investigator ― | 藪内隼人
創薬研究において、デジタルトランスフォーメーションと分野横断的な協働は、今や欠かせない要素となっています。AIや先端技術を、疾患研究や多様な創薬モダリティと融合させることで、「Life-changingな価値」はこれまでにないスピードと形で生み出されつつあります。
協和キリン イノベーションセンターのPrincipal Investigatorである藪内隼人は、AIやデジタル技術を創薬研究に実装し、協和キリンの強みである疾患研究と結びつける役割を担っています。藪内は、異なる専門分野に挑戦し、多様な知見を尊重し合うことが、イノベーションを生み出す原動力になると考えています。
藪内はこれまで、核酸医薬の研究に携わった後、2019年頃からAIを活用した創薬研究の分野に挑戦してきました。当時、どちらの分野も社内では新しく、未知の要素が多い領域でしたが、そうした環境に身を置いた経験が、現在の研究の大きな財産になっていると語ります。
藪内のチームでは、「ダブルメジャー」という考え方を大切にしています。それは、実験技術に関する知見と、デジタル・解析スキルの双方を身につけ、磨き続けること。加えて、サイエンスにおいて誰にも負けない存在でありたいという強い意志を、チーム全体で共有しています。チームの文化の核にあるのは、ボトムアップ型の研究環境と、新たな挑戦を後押しする姿勢、そして多様なスキルセットです。抗体技術をはじめとする複数のモダリティにまたがる基盤的な専門性と技術力を土台に、研究員一人ひとりが情熱をもってサイエンスと向き合っています。
また、藪内のチームは、長年にわたり海外の先進的なベンチャー企業とのグローバルな協働を進めてきました。オンラインでの議論にとどまらず、対面でのディスカッションや実地研修を通じて信頼関係を築き、AI創薬研究の社内基盤を着実に強化しています。ベンチャー企業の柔軟でアジャイルなマインドセットから学ぶことは、技術面だけでなく、研究文化の面でも大きな成長をもたらしています。
「理学研究科にて博士号取得後、私はサイエンスの力で社会に貢献したいという想いから、製薬企業で研究を続けてきました。協和キリンは「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」という経営理念のもと、研究やサイエンスを尊ぶ企業文化があります。最先端の領域に挑戦しながら、患者さんの人生を変えるような新しい価値を生み出せることこそが、協和キリンで研究する大きな魅力だと感じています」
未知の領域に果敢に挑み、多様な視点を尊重しながら新たな可能性を切り拓く。藪内隼人の研究姿勢とリーダーシップは、デジタル技術が創薬にもたらす未来を体現しています。今後も、「Meet Our Principal Investigators」シリーズを通じて、革新的な研究を牽引する研究員たちのストーリーをお届けしていきます。
この記事は協和キリン公式LinkedInで2026年3月17日に英文で投稿された内容を日本語に翻訳し再構成したものです。
Unlocking Drug Discovery through the Power of Digital Technology | LinkedIn![]()
