成長CEOのバトンを受けて ― 日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、患者さんとともに
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協和キリンは、2026年3月にCEOのバトンの引き継ぎを行いました。新CEOとなるAbdul Mullickに、自身の決意や注力したい取り組みを聞きました。
新CEOとしての決意
ー就任にあたっての決意をお聞かせください。
今回の就任にあたって私が何より心強く感じているのは、前CEOの宮本さんとともに経営チームの一員として「Story for Vision 2030」を推進してきた経験があることです。当社に入社して8年、私は宮本さんのすぐ近くでグローバル化への歩みを共にし、日本企業特有の価値観や組織の在り方を深く学び、吸収してきました。これこそが、私の最大の財産となっています。
新CEOとしての私のミッションは、至ってシンプルです。これまで協和キリングループが受け継いできた高い研究開発力と、私がグローバルで培った知見を掛け合わせ、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして「Life-changingな価値」を生み出し続けること。そして、世界で唯一無二の特別な会社を目指すことです。事実、私たちの研究開発力は世界に証明されています。2017年からの5年間で、私たちはFDA(米国食品医薬品局)から、日本企業としては最多の承認を受けました。この原動力は、協和キリングループに息づく誠実さや使命感にあります。真摯な想いを共有し、従業員は一見不可能と思われることにも果敢に挑戦し、画期的な取り組みに情熱を注ぐことができるのです。
「Super Team」を築き上げ、力強い成長を実現する
ー組織についてもお聞かせください。
現在、協和キリンには、多様な経歴や専門性を持つ5,000名を超える従業員が集っています。この多才な人材を一つにつなぎ合わせるには、「Life-changingな価値を世界に届けたい」というビジョンの共有が欠かせません。このビジョンを実現するには、あらゆる仕事を「患者さんの視点」から捉え続けることが不可欠です。病気が日々の生活にどのような影響を与え、私たちの薬が患者さんやそのご家族の人生をどのように変えたのか。一人ひとりの物語(ナラティブ)に深く共感し、理解しようとする姿勢があってこそ、私たちは真の「Life-changingな価値」を生み出すことができるのです。
もちろん、ビジョンを掲げるだけでは、多様なバックグラウンドを持つ集団が具体的な行動へと踏み出すことは容易ではありません。だからこそ、ビジョンを具現化するために必要な「人・組織のありたい姿」を言語化した「KABEGOE Principles」を2025年に策定しました。そしてこの1年、私は世界各地の拠点を自ら訪れ、あらゆる部門のメンバーと直接対話を重ねてきました。Principlesの成り立ちを丁寧に伝えるとともに、私自身や経営陣が率先してその体現者となり模範を示すことで、組織の隅々への浸透を図っています。2024年に仲間に加わったOrchard Therapeutics社においても、そのプロセスは着実に進展しており、彼らの組織文化と見事に融合させようとしています。
Principlesが組織の土壌に深く根付いたとき、協和キリングループは地域や部門の壁を越えた組織へと進化を遂げるでしょう。日本で生まれた革新的な技術を、米国の開発チームが迅速に臨床試験へとつなげ、欧州拠点が最先端のアクセス戦略を構築する。このように地理的な距離や階層に縛られずシームレスに実行できる体制こそが、私たちの目指す「Super Team」の姿です。
未来のさらなる飛躍に向け、対話を重ねる
ーこれからの経営において、どのような方向を目指しますか。
2026年2月に当社グループは、Vision 2030 and Beyond:中長期構想を公表しました。2026年以降は、内外の環境が日々大きく変化する時代において、長期的なゴールをしっかりと見据えながらも、変化に柔軟かつ機動的に対応していくことが求められます。そのため、従来のように5年後の姿をKPIとして固定的に設定するアプローチではなく、単年度の計画と3年後の見通しを公表する形へと変更し、Vision 2030とその先の長期的ゴールの実現を目指していきます。
そのための3つの柱として、Vision 2030 and Beyond:中長期構想では「革新的なLife-changingな価値の創出」、「患者さんへのLife-changingな価値の提供」、「Super Teamによるオペレーショナルエクセレンスの追求」を掲げました。同時に、成長の基盤となる地域社会との共生、環境負荷の低減、そして透明性の高いガバナンスの確立を目指します。これらは単なる義務ではなく、企業の長期的なレジリエンス(強靭性)を高めるための重要な要素だと考えています。
患者さんの視点を重視する姿勢は、これからも変わりません。2025年のCOO就任から1年間、私は取締役会から従業員との対話の場まで、あらゆる場面で患者さんの話を聞く機会を作ってきました。こうした対話の機会は、組織にとってますます重要になると考えています。今年度からは患者さんの声を聞く機会をさらに増やすべく、新たな役職Global Patient Engagement Lead(グローバル・ペイシェント・エンゲージメント・リード)を設置しました。
私自身もかつて、希少疾患の患者さんとご家族から直接お話を伺い、今も交流が続いています。当時お聞きした、薬によって人生が大きく変わった「Life-changing」な経験は、今も心に残っています。思い返すたびに、どんな障壁や課題があったとしても前に進み続ける価値はあると感じ、背中を押されます。患者さんとの交流を通じ、従業員もこうした実感を持てるようになればと考えています。
この重要な転換期にCEOを任されることを光栄に思うとともに、協和キリングループが未来に向けてさらなる飛躍を遂げにいくことに全力を注いでいきます。引き続き、私たちが紡ぐ、さらなる価値創造の物語にご期待ください。
