ペイシェント患者さんやご家族との対話の場「Healthcare Café」第10回を終えて-コアメンバーの感想

画像:第10回 Healthcare Caféコアメンバー(左から北林裕貴、堀田祐平、新見大輔、前川淑美、馬場麟太郎)

「Healthcare Café(ヘルスケアカフェ)」は、患者さんやご家族との対話を通じて、真のニーズを知るための取り組みです。協和キリン株式会社、武田薬品工業株式会社、第一三共株式会社の3社が合同で実施しており、2025年12月に行われた第10回は、協和キリンが企画・運営を担当しました。

Healthcare Caféは、社内公募に応じたメンバーによって運営されています。本記事では、今回の運営に携わったコアメンバーの感想をお伝えします。

私は、開発候補になるバイオロジクスの精製やその品質評価をする仕事をしています。そのため普段は、患者さんや病気について調べたり、直接話を聞いたりする機会はほとんどありません。だからこそ、Healthcare Caféを通じて患者さんと実際にお話しし、創薬初期の段階から患者さんの考えを知る文化を研究員の中にも作りたいと思い、運営メンバーに手を挙げました。価値ある薬をもっと早く届けるための大事な一歩にしたいと考えたのです。

メンバーが集まって、テーマを決めるときは、人によって関心分野が違いました。だからこそ本当に意味のあるテーマについて、よい議論ができたと思います。企画が固まってからは、それぞれの専門性や経験を活かして、メンバーが積極的に動いてくれました。まさに、KABEGOE Principlesの「ビジョンを共有したスーパーチームになる」です。違いをうまく活かして一つの目的に向かえたことは、大きな学びでした。

準備を進める中で、樋口さんや橋本さんには貴重なお時間を頂戴し、じっくりとお話を伺うことができました。そして気づいたのが、患者さんの視点を知ることは、疾患や治療法への理解につながるだけではないということ。患者さんを取り巻く社会や文化を知り、より良い医療体験を一緒に作るための第一歩なのです。私たちは薬を届ける企業であると同時に、患者さんの人生に寄り添い、新しい価値を生み出す存在でありたいと強く思います。統計上では「n=1」として扱われる患者さんにも、それぞれに本当に深いジャーニーがあり、その中には治療に対する葛藤や不安、希望や願いが詰まっています。今回の経験を通じて、私自身が感じたこの思いを、ぜひ社内の多くの従業員にも伝えたいと思っていますし、皆さんにも「薬を作る意義」というものをもう一度考えてほしいと強く思っています。(リーダー 研究本部 創薬基盤研究所 新見大輔)

ペイシェントセントリシティのマインド※1醸成に何らかの形で関わりたいと考えており、参加しました。Healthcare Caféを通じて、我々の携わる医薬品の研究開発が、患者さんや医療者・支援者など多くの方々の希望となっていることを再確認し、この仕事に対するやりがいと責任をあらためて認識しました。一方、現在も薬では解決できない多くの課題が残されていること、また、治療が非適応である方や、効果が得られず苦悩が続く方、亡くなられた方も多くおられることは忘れてはならないと強く感じました。今回のイベントに協力いただいた皆さまとのかかわりを通じ、患者さんへの想いや患者さんの声を価値創造に活かしていくというマインドを持ち続け、医薬品開発促進に貢献していくという気持ちを新たにしました。(開発本部 バイオメトリックス部 北林裕貴)

  1. ※1患者さんの経験、視点、ニーズ、プライオリティを積極的に理解し、患者さんにとって意味のある形で事業活動に組み入れようとするマインド

血液疾患領域の探索研究に従事しています。血液疾患では、足りない血を補充する輸血や、悪い血液成分の一部を除去し健常な血液成分と入れ替える血漿交換、増えすぎた血を排出する瀉血(しゃけつ)など、物理的な医療行為を伴う対症療法が多く存在します。根治を目指す薬剤は重要ですが、血液疾患ではQOLの向上が期待できる対症療法も必要です。もっと患者さんの声を創薬に取り入れたいという思いがあり、若手である今からペイシェントセントリシティの考えを自分の中に醸成したいという思いもあって、参加しました。実際に新薬を待ち望んでいる方とお会いして、より一層、Life-changingな価値のある薬剤を一日でも早く届けたいという思いが大きくなりました。また、日本でも献血という医療文化が生まれたように、アフェレーシスから末梢血幹細胞採取の技術が発展したように、患者さんに思いを馳せながら、いつもよりももう一歩踏み出して働くことでより大きな力が生まれるのだと感じました。そして、製薬企業、医師、患者支援団体で、できることも異なります。新薬を望む方々のことを中心に考え、適切な関係性を維持しながら、それぞれができることに全力を注ぐことが重要なのだと再認識しました。(研究本部 イノベーションセンター 馬場麟太郎)

私は、直接的には研究開発プロジェクトに関わっていません。そんな自分にとってのペイシェントエンゲージメント※2活動の意味を探すために運営に参加しました。「患者さんのお話を聞かせていただいて自分の心が動いたとしても、その後に何に生かせるのか?」という、つい浮かんでしまう疑問がありますが、患者さんと一緒に企画を練り上げる中でヒントが見つかるのではないかと思ったのです。企画を通じて、「病気と闘う」ということが、その人の人生の一日一日に重なって起きている出来事なのだということに、初めて現実感を伴って気づきました。疾患の経過だけではなく、患者さんの過ごす一日一日に対してよりよいものを届けるために自分にできることは何か。また新たな自分への問いが増えました。また、当初の運営参加の目的であった「ペイシェントエンゲージメント活動の意味探し」については、ひとつシンプルに「つながる」ためということを見つけました。私がつながることで私のつながっている人にもつながり、その先で可能性が広がっていくといいなと思います。(開発本部 開発企画部 前川淑美)

  1. ※2患者コミュニティと協和キリンとの相互交流を通じて、患者さんや介護者の生活やケアにおける課題を深く理解し、課題解決のために共創する取り組み

探索研究は患者さんとの距離が遠い、と皆が口をそろえて言います。Healthcare Caféには聴衆として参加してきて、患者さんの生の声を聞ける貴重な機会だと感じていました。運営になれば、さらに深く患者さんやその周辺の方とコミュニケーションがとれると思い、躊躇せずに一歩踏み出してみよう!と応募しました。Healthcare Caféを通して、論文やガイドラインなどの文字情報では読み取ることができない、患者さんの本当に困っていることを直接お聞きすることができたとも思います。それだけでなく、コアメンバー間で考えを共有し、患者さんにもお伝えできたので、やはり運営メンバーに手を挙げて良かったと思いました。部署の違うメンバーで一つのものを一生懸命作り上げるのはとても大変でしたが、普段の業務とは違う達成感がありました。(研究本部 研究企画部 堀田祐平)

コアメンバーの感想から、患者さんの立場にあらためて思いを寄せたことで生まれた決意が伝わってきます。協和キリンでは、今後も患者さんの声を聞く機会を従業員自らの手で創出し、患者さんの思いや課題への理解を深めていきます。

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