社会との共有価値 【解説記事】【SDGs】環境保全の4つの目標

【SDGs】環境保全の4つの目標 【SDGs】環境保全の4つの目標

SDGsは世界的な取り組みとして注目を集めており、日本政府としても指針が示されている。その中でも環境保全の4つの目標は重要性が高く、誰もが関わりのある項目だろう。

少しでも多くの人が知識を得ることで、地球自体の保護にもつながるため、今回はSDGsの環境に関係する目標ついて解説しよう。

SDGsにおける環境保全の重要性

SDGsとは、持続可能な開発目標を意味し、2015年9月に国連サミットで示されたより良い世界を目指すための国際目標のことである。

17のゴールと169のターゲットから構築されており、2030年までに持続可能な目標の達成を世界共通で目指している。環境、社会、経済の3つの側面に課題があり、どれかひとつを解決しようとしても複雑な相互影響力があるため困難である。

そこで、SDGsはそれぞれの問題に対して、統合的に解決する手段を提示したのだ。

これまでに打ち出されてきた国際目標では、主に発展途上国を対象にしたものが多かったが、SDGsが対象としているのは先進国も含めたすべての国である。

そして国連は、2020年から2030年までの期間を「行動の10年」として、世界中に行動の加速と拡大を呼びかけている。

人間が社会活動や経済活動を行うためには、地球の環境が健全であることが前提であるといえるだろう。大きな3つの課題の中でも、環境保全への取り組みはあらゆる問題解決の基礎となるであろう。

しかし、現在も地球環境の悪化は深刻化しており、生命活動も危機的状況だ。改善もできず、さらに劣悪な状態となれば、当然ながら社会や経済に与える打撃も大きくなるだろう。

そのためSDGsでも環境保全に関しては重要な課題として考えられている。中でも採択された全17の目標のうちの4つが環境保全に該当する目標として挙げられている。

環境保全の目標は以下になる。

  • 目標6:安全な水とトイレを世界中に
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう

この4点について次項で詳しく解説する。

環境保全4つの目標それぞれの概要

SDGsの環境保全に関わる4つの目標についてそれぞれ解説する。

目標6:安全な水とトイレを世界中に

生命や地球環境にとって、水は重要な資源であり欠かすことができない存在だ。

そこで「人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことがより良い世界になるための目標となった。

2015年の時点では、世界の約6億6千万人が不衛生な水しか利用できていない状態にあることをご存知だろうか。

この割合は世界人口の約9%に当たり、アフリカ(特にサハラ砂漠地帯)やアジア圏の一部に該当地域が多く見られる。

また、世界的に見ると都市部の人口96%が改善された水を使用しているのに対し、地方では84%と12%も低いというデータがある。このデータからわかるのは、地域格差があるということだ。

不衛生な水を飲用すると、感染症や下痢などの原因となる。しかし、安全な飲み水がなければ、汚染されていると分かっていても飲むしかない。そして体の弱い子どもを中心に、最悪命を落とすケースも見られる。

飲用水としても利用できる淡水は、地球上の僅か1%程度といわれており、ほとんどが海洋水や氷河の状態である。

そのため、全世界の人々がいかに淡水資源へアクセスできるかが課題であり、安全に使用できるよう、人や動物の排泄物などから十分に保護できる設備も整えなければならない。

目標13:気候変動に具体的な対策を

地球温暖化という言葉は、ほとんどの人が聞いたことはあるだろう。その中でも、気候変動は身近で重要な課題といえるだろう。

そこでSDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」では、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目指している。

科学技術の進歩により多くのエネルギーを必要とした人類は、化石燃料などを使用するようになり、CO2が大量に排出されるようになった。

それに加えて現代では、メタンや亜酸化窒素などの温室効果ガスによる地球温暖化現象が原因で、世界各地に気候変動が起きているのだ。

実際のデータとしては、1880年から2012年の間に0.85℃気温が上昇しており、世界の平均的な海面水位は1901年から2010年の109年間で0.19m上昇している。

1950年代以降に観測された変化は、過去に前例がないほどの数値を示しており、気候変動が加速していることが現れているだろう。

特に20世期半ば以降に起こっている温暖化に関しては、人為的な影響である可能性が95%以上と結論付けられた。

このような変化が続けば、地球自体への悪影響が強まることはいうまでもない。そこで現在、各国は科学的知見とパリ協定に基づき、国際的に気候変動への取り組みを進行している。

目標14:海の豊かさを守ろう

近年、プラスチックが海を汚染していることが示唆され、買い物の袋やストローなどのプラスチック製品の消費を減らす働きかけがされている。

これはSDGsの目標14である、「持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目指す取り組みのひとつである。

海の豊さは、食料資源の確保や世界の経済、食料安全保障にとって非常に重要な課題なのだ。

世界の人口は増加傾向にあり、食料供給のために漁業や養殖業の生産量も世界的に増加している。

1980年代以降は漁船漁業の生産量が頭打ちになっているが、養殖業の生産量を大きく伸ばすことで需要を補っている状態だ。

1974年から2011年までで過剰漁獲の状態にある海域別魚種は約30%にも及び、資源の回復・維持を図るためにも国際的に協調して資源管理する必要がある。

さらに、世界の海洋汚染の問題も深刻化しており、2010年に海岸地域で不適切に廃棄されたプラスチックごみは、480万トンから1,270万トンが海洋に流出したと考えられている。

海や生態系を保護することは、人類にとって重要な課題であるため、海洋汚染や資源の乱獲などの問題への対策を行い、海洋と海洋資源を持続可能な形で利用できることが必要だ。

特に海洋ごみについては、2016年のサミットをきっかけにG7主導で取り組みが進められており、プラスチックごみ対策などを優先的に実施することが約束された。

目標15:陸の豊かさも守ろう

海だけではなく、陸にも多くの生物が存在しており、我々人類もその一種である。

目標15では陸の豊さも守るために「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処。そして土地の劣化の阻止・回復、生物多様性の損失を阻止する」ことも目指している。

世界の陸上面積は3割が森林で占められ、合計で約40億haあるとされる面積の中には、陸域の生物種の約8割が生息しているが、CO2の吸収により温暖化対策になることも忘れてはならない。

食料や木質エネルギー等の供給を通じて、世界の約16億人以上が森林に依存して生計を立てている。

しかし、人口増加や貧困にともない農地へ転用されることが主な原因として、森林は減少傾向にある。

多くの生物が生息する森林の減少は生態系の変化にも影響を与え、2016年9月に国際自然保護連合から発表された絶滅のおそれのある種は23,928種であり、2015年に更新された内容より600種以上も増加した。

食料や燃料などの供給源である陸上の生態系が壊れてしまうと、人類は生きていくことが難しくなるだろう。

そこで現在、生物多様性条約の実施をはじめ、生物多様性の損失を防ぐためにさまざまな取り組みが行われている。

協和キリンの環境保全への取り組み

協和キリンでも、CSV経営をとおして積極的な環境保全を実施している。CSV経営とは、事業をとおして、社会問題を解決させる経営戦略のことだ。協和キリンが掲げているCSV経営についてはこちらで詳しく解説している。

具体的には、「温暖化の防止」「水資源の確保」を軸に4つの目標すべてを取り組み、太陽光設備導入や水の循環的利用など多くの活動や対策を実施中である。取り組みの詳しい内容についてはこちらをご覧いただきたい。

まとめ

SDGsの環境保全への取り組みは、社会活動や経済活動のための基礎となる重要な課題である。水や気候、海と陸のどの環境が欠けても人間は生きてはいけない。

失われた自然を取り戻すことは容易ではないが、ひとりひとりが気をつけることで改善することも可能である。

SDGsは国や地域などに関係なく、全世界が取り組むべき目標であり、誰もが心がける必要があるのだ。

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