社会との共有価値 【解説記事】SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは!取り組み・私たちにできること

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは!取り組み・私たちにできること SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは!取り組み・私たちにできること

SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )達成に向けた活動を目にする機会が増えたという人も多いのではないだろうか。SDGs達成には、国や組織だけではなく、個人の理解も深めることは重要だ。

SDGsには17の国際目標があり、7番目の目標は「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」だ。今回は、SDGsの目標7の概要と取り組みについて紹介する。

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは?

2015年の国連サミットにおいて、各国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、SDGsが掲げられた。SDGsには、持続可能な社会の構築を目指す世界共通の目標が17ある。

17の目標のうち、目標7にあたるのが「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」という、近代的エネルギーに関する目標である。

この項目ではSDGsの目標7の具体的な概要を紹介していく。

すべての人にエネルギーへのアクセスを確保する

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」達成のために、具体的に以下のような目標が掲げられている。

  • 安価で信頼のある現代的エネルギーサービスに普遍的にアクセスできるようにする
  • 世界の再生可能エネルギーの割合を大きく拡大する
  • 世界のエネルギー効率を大きく改善する

いずれの目標も、2030年を念頭に置いたものだ。2030年までに世界中の人々が手ごろな価格の電力を利用できる社会の構築が急がれている。

エネルギー普及の面で見ると、特に重点的な対策が必要なのが、アフリカやアジアの一部の地域を中心とした開発途上国だ。すべての開発途上国でのインフラ整備、そしてクリーンなエネルギー源を提供できる技術の普及と拡大が必要とされる。

しかし、エネルギーは、開発途上国だけの問題ではない。エネルギーサービスが普及している先進国も、従来からの電力に依存していることから、よりクリーンなエネルギーに変換していく必要がある。

先進国、開発途上国、ともに取り組んでいく必要があることから、SDGs7の目標が設定された。

なお、エネルギーについて幅広い技術で費用対効果の評価を取り入れれば、世界全体の電力消費を14%削減でき、中規模発電所約1300カ所の建設が必要なくなるという試算もある。

このようにエネルギー供給源の見直しと同時に、クリーンで効率の良いエネルギーの普及も大きな目標だ。

目標7が生まれた背景

将来を見据えて、環境への影響がない、あるいは少ない電力を安定して利用できるよう、世界規模で取り組む必要があることからSDGs7が生まれた。

世界には依然としてエネルギーの普及が進んでいない地域がある。世界人口の約5人に1人にあたり、12億人以上が電力を利用できていないといわれている。

そして、石炭、木炭、糞、薪などの有毒で環境や人体に影響のある燃料を使用する人は世界に28億人以上いるといわれている。有毒な燃料の屋内使用により早死してしまう人は年間400万人以上と深刻な問題である。

これはエネルギーの普及が進んでいないために、環境や人体に影響のある燃料を使用せずにはいられないと予想できる。

しかし、エネルギーの普及といっても、従来の石炭や化石燃料を用いたエネルギーは人々にとってプラスになるとはいえない。化石燃料などによる発電は、温室効果ガスや気候変動といった問題に直結するためだ。

単にエネルギーを世界に普及させるだけでなく、クリーンなエネルギーの普及、拡大が必要である。クリーンなエネルギーの拡大には先進国の協力も必要なことから、SDGs7には再生可能エネルギーやエネルギー効率の目標が策定された。

SDGs7の達成に取り組む企業事例

SDGs7の達成に向けて、国をはじめ、さまざまな組織で取り組みが行われるようになった。国内ではどのような取り組みが実施されているのか、SDGs7に関連する企業事例をいくつか取り上げていく。

日本航空株式会社

航空業界では、欧米を中心に、クリーンなバイオジェット燃料の開発と実用化の流れが生まれている。世界的な流れを受けて、バイオジェット燃料利用をけん引すべく、日本航空株式会社でも、バイオジェット燃料への投資や利用が加速した。

バイオジェット燃料の利用は、2009年に遡る。アジアでは当時はじめてだった、非可食原料のバイオジェット燃料を使った試験飛行が実施された。のちに、2017年11月や2019年1月運行の国際便でも実際に使用されている。

2019年6月以降は、エアバスA350型機の受領で、フランスのエアバス工場から羽田空港までのフライトに常時バイオジェット燃料が使用されるようになった。これらの背景からバイオジェット燃料の利用は少しずつ実用化されていることがわかる。

ほかに、日本航空株式会社が力を入れているのがバイオジェット燃料製造会社への出資だ。バイオジェット燃料製造事業への投資は日本企業では、はじめての試みだ。

都市開発事業支援機構と共同でアメリカのバイオジェット燃料の製造会社への投資が行われた。投資先は、国際標準の燃料規格を取得した会社で、複数プラントの展開とバイトジェット燃料の大量生産が期待されている。

将来的には、日本航空株式会社へのバイオジェット燃料搭載が進められる予定だ。

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式が注力しているのは、「エネルギー“ゼロ”の住宅・建築・街づくり」だ。脱炭素社会の実現、そしてエネルギーの効率的な利用のために掲げられた。

これまで行われてきたのが、エネルギー自給住宅の発売、ゼロエネルギーを実現するための環境配慮型の建物のパッケージ化だ。

さらには、クリーン・エネルギーを拡大させる街づくりにも力を入れている。住宅や建物、街での電力融通による地域内でのエネルギー自給、太陽光発電のシェア、エネルギーと暮らしの新たなカタチの追及、より快適で暮らしやすい街づくりの拡大が図られる予定だ。

協和キリン株式会社

協和キリン株式会社においても、SDGs7のエネルギーに関連して、以下のような取り組みが行われている。

アクアプレミアムの導入

協和キリン株式会社は、2020年1月1日よりアクアプレミアムを導入した。アクアプレミアムとは、東京電力エナジーパートナー株式会社による、水力発電所の電気のみを供給するプランのことだ。

高崎工場の電力75%についてCO2を排出しないアクアプレミアムに切り替えた。取り組みの効果として、協和キリングループの年間CO2排出量の約20%、約10,300トンのCO2削減に成功している。

太陽光発電設備の導入

再生可能エネルギー促進のため、協和キリン株式会社では、2011年から太陽光発電設備の導入を進めてきた。2019年の発電量は135千kwh。CO2に換算すると、78.4トン相当(電力購入時の間接排出量で換算)の削減に成功している。

グリーン・オフィス・プラン推進

同社では、事務部門共通の活動として、電気使用量原単位年1%削減、グリーン購入比率90%以上、コピー用紙使用量単位年1%削減(過去3年平均値と比較)を目標に、グリーン・オフィス・プランも推進している。

「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するために私たちができること

SDGs7の概要と企業の取り組みについて紹介してきた。組織での取り組みはもちろん重要だが、私たち個人ができる取り組みもある。最後に、だれもができるSDGs7に関するエネルギー節約の取り組みを紹介していく。

電気を節約する

エネルギーを無駄に使わないことは、エネルギー消費の節約につながる。細かなことでも良いので、電気の節約ができないか、日常生活に意識を向けてほしい。

たとえば、以下のような取り組みで電気を節約できる。

  • 電源機器を電源タップに差し込み、使わないときは電源を切る
  • パソコンも使わないときは電源を切る
  • 画面の明るいテレビやパソコン使用時は必要のない照明を消す
  • 省エネ型の電気機器や電球に切り替える
  • エアコンの設定温度を上げ過ぎたり下げ過ぎたりしない

移動手段を工夫する

移動手段も、できるだけエネルギーを消費しないものに切り替えることがSDGs7の達成に向けた第一歩だ。通勤は徒歩や自転車などのエネルギーを消費しないものへ切り替え、遠方への通勤なら、エネルギー効率の良い公共交通機関を利用する。

化石燃料を消費するマイカーでの移動は、人数が集まったときなど、状況に応じて利用するようにすると良い。

まとめ

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するには、私たちひとりひとりの意識づけが必要だ。自分自身ができることに関心をもつことはもちろん、企業の取り組みなどにも目を向けてみよう。

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