社会との共有価値 【解説記事】SDGs11「住み続けられるまちづくりを」とは?世界と日本の取り組み

SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の17の国際目標のうち、11番目の目標は「住み続けられるまちづくりを」だ。何を目的とした目標なのか、SDGsの11番目の目標の概要、企業における取り組み、個人でもできる取り組みについて紹介していく。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」とは?

経済や文化の中心地として発展してきた都市部には多くの人たちが暮らしている。重要なのは、今後も都市部に住む人が増え続けるということだ。

しかし、現在の環境では、良い状態を保ち続けたまま都市部に住む人の増加に対応することは難しい。そこで国際目標のひとつとして設定されたのが、SDGsの11番目の目標だ。SDGsの11の目標「住み続けられるまちづくりを」の概要と誕生の背景を簡単に説明していく。

都市や居住地を安全かつ持続可能にする

SDGsの11「住み続けられるまちづくりを」では、以下7つの細かな目標が設定されている。

1.安全で安価な住宅サービスの整備とスラムの改善

世界の都市部に住む人の中には、スラム街に住む人、安全が保障されない不適切な住宅に暮らしている人も多い。1番目の目標では、より多くの人が安全でかつ安価な住宅に、都市部でも住めるように整備することを目標に設定している。

2.安全で安価な公共交通機関などの整備

公共交通機関など、都市部の交通の整備で多くの人が安価で安全な移動ができることが2つ目の目標に設定されている。特に重視されているのは、女性や子ども、高齢者、障がい者などのニーズに特に配慮がなされていることだ。

3.持続可能な居住計画と管理能力の強化

持続可能な都市を実現するには、市民参加型の仕組みを構築することが重要だ。すべての国々で、持続可能な居住や管理が行われることを目標に掲げている。

4.文化遺産や自然遺産の保護・保全努力

都市化により、人類や自然の遺産が傷つくようなことがあってはならない。4番目の目標には、都市化と同時に、文化遺産や自然遺産の保護・保全に努めることが目標に設定されている。

5.災害による被災や経済損失を減らす

災害は、これまで多くの被災者を生むだけでなく、経済的な打撃も与えてきた。5番目では、特に貧困層など弱い立場にある人が保護されるよう目標が掲げられている。

6.都市部での環境への悪影響を減らす

都市部で人が増えたことにより、廃棄物などさまざまな問題が生じている。対処するために、6番目にはひとり当たりの環境への悪影響を削減することが目標に設定された。

7.緑地や公共スペースの普遍的なアクセスの実現

人々がシェアする場所は、安全で安心を提供できる場所でなければならない。7番目の目標では、特に女性や子ども、高齢者、障害者が安心して利用できるような環境を整備することが目標に掲げられている。

以上のように、SDGs目標11は都市化にともなう問題をどのように解決していくべきかを定めた目標だ。特に、社会的に弱い立場にある人について言及されている部分が多い。

そして、これらの目標を達成するための方法として次の3つが掲げられている。

  • a.さまざまなエリア同士のつながりを良好にする都市部やその周辺、農村部間などのアクセス面だけではなく、経済面や社会面からのつながりを支援するために、国や地域における開発計画を強化して支援する。
  • b.さまざまな災害への対策を考えて実施する
    仙台防災枠組を参考にあらゆる災害リスクへの備えを定めて、総合的な政策や計画を立てる。そして、対策や管理を実施する地域を大幅に増やす。
  • c.後発開発途上国の災害対策を支援する
    国内だけの災害対策に止まらず、開発に遅れが見られる国に対しても資金や技術的な援助を行い、災害に強く持続可能な建造物の整備を支援する。

目標11が生まれた背景

なぜSDGsに「住み続けられるまちづくりを」という目標が組み込まれることになったのか、背景となった問題について解説しよう。

スラムの拡大

現在、全世界の人口は約半数が都市部に集中している状態で、将来的にはこの傾向がさらに強まると考えられている。

2030年の予想としては、世界の6割の人が都市部に居住するといわれており、より快適な生活を求めているのだろう。

農村部と比べれば、さまざまなサービスや経済活動が盛んで交通アクセスも発展しており、生活の利便性や雇用の機会などが豊富にあるため、人口が集中するのは世界的にも共通の現象である。

しかし、誰もがその恩恵を受けられるわけではなく、実際には都市での生活に困窮してしまう人も少なくない。

貧困層が増えることで貧しい人びとが住む地域(スラム街)も拡大しやすく、何も対策を講じなければ都市部の人口増加は悪影響も多くなるのだ。

国連人間居住計画では、次の5つの項目のうちひとつでも欠如している状態をスラムとして定義している。

  • 「安全な水が入手できる」
    安全な水を労力や時間を使わずに、負担の少ない金額で購入できる。
  • 「清潔な衛生施設が利用できる」
    自宅や公共設備などで清潔なトイレが利用でき、排泄物の処理が適切に行われる設備が整っている。
  • 「保証された住居の確保」
    賃貸契約や家の所有を証明できる証拠か文書があり、強制的な退去などの心配がない。
  • 「安全な住居」
    気温の変化や雨風、湿気などから十分守られる住居であり、適切な土地に安全な構造で建築されている。
  • 「生活スペースの確保」
    同じ部屋を共用の生活スペースとして使用する場合は、最大でも3人までとする。

現状としては、スラム街に住む人は8億2800万人と推定されており、これは世界人口の約3分の1の割合で、アフリカでは6割を超えている状態だ。

ケニア・ナイロビではキベラ地区にスラム街があり、推定でも100万人が暮らしている。このエリアには公立小学校がなく、教会やNGOが運営する学校があるものの十分な教育体制は整っていない。

またトイレの数も不足しており、20〜40世帯に対してひとつ設置されている状況である。公衆トイレを利用する場合には約6円を支払う必要があるが、雨季になるとトイレから汚水が溢れ出るため衛生的にも劣悪な環境だ。

一部の経済力を持った人たちが水道を引いているため、水を入手するためにはそこから購入しなければならない。

不衛生で健康被害が出やすい環境だが病院は存在せず、貧困層は自宅で出産を行うことも多くある。

このようなスラム街は、衛生環境だけではなく治安の悪化にもつながるため、いち早く対策を講じる必要があるのだ。

都市型の環境汚染

居住環境の悪化につながっているのはスラム街に限ったことではなく、都市部でも大気汚染や水質汚濁は深刻な問題である。

2014年の時点で、すでに世界人口の約半数はWHOの定める大気汚染基準を超えた環境にさらされている状態だ。

人口の増加によって廃棄物の量も増えており、環境汚染は多くの都市の自然災害や気候変動などのリスクを高めている。

特にアジア圏で脆弱な都市が多いことが指摘され、その中でもインドと中国にリスクの高い地域が集中していることが分かった。

PM2.5などの大気汚染は、毎年世界の700万人以上を早期死亡させる原因にもなっているため、都市部の環境も早急に改善しなければならない。

自然災害の発生

世界各地で地震や津波、暴風雨、洪水、ハリケーン、台風といった災害が起きている。こうした自然災害の発生によって、住まいを失ったり、命の危険にさらされたりする人も多い。

実際、自然災害による死者数は、1967~2016年の50年間で約280万人にもなるといわれており、深刻な問題となっている。

また、自然災害で亡くなる人の多くは、低所得国、中低所得国に集中することが分かっている。原因として、防災対策への投資が少ないことや、災害対策を行う機関が設置されていないケースが多いことが挙げられるだろう。

このような国々は、一度の災害によってもたらされる経済被害が、国の年間GDPを超えることもある。たとえば、2010年に発生したハイチ地震では、被害が首都や首都近郊の主要都市にも及び、その経済被害は同国のGDPの約1.2倍となっている。

自然災害の対策においては、インフラ整備や国民一人ひとりの防災意識を高め、社会の脆弱性を減らすことや、開発政策の策定、暴露(※)の減少が課題となっている。

  • 暴露…人々や財産がハザード(洪水・土砂崩れ・高潮などによる脅威)にさらされている程度

SDGs11を取り巻く日本の現状

SDGs11に関連して日本はどのような現状を抱えているのか。国内においては、都市への人口集中と自然災害の増加といったふたつの課題がある。

都市への人口集中

世界的に都市圏の人口割合は増加しており、東京圏の人口集中の勢いは世界でも特に高くなっている。2025年までに、埼玉、千葉、神奈川を含んだ東京圏には日本の総人口の約3割が居住する勢いだ。

このような都市部への人口集中により懸念されるのが、感染症リスクや自然災害リスクの増加、交通混雑などである。

さらに、人口移動は、都市部だけでなく地方においても大きな影響を及ぼす。人口流出によって、地方経済の衰退や産業の担い手不足などが起きるためだ。2050年までに、地方を中心とした無居住化地域はさらに増えると予測されている。

出典:「第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築別ウィンドウで開きます」(総務省)

出典:「都市部への人口集中大都市等の増加についてpdfが開きます」(総務省)

自然災害の増加

日本は、自然災害のリスクも抱えている。国内の自然災害による被害の発生状況を見ると、台風が57.1%ともっとも高い割合を占めた。一方で、被害額は広い地域の甚大な被害を及ぼす地震が8割を占めている。自然災害の被害額はほかの国よりも高い。

出典:「第3部 中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革別ウィンドウで開きます」(総務省)

日本は、地形や地質、気候などのさまざまな条件から自然災害のリスクが高い。全国でなんらかの災害リスクを抱えるエリアは、国土の3割にも及ぶ。さらに、災害リスクのある地域に人口が偏っていることもあり、将来的に災害リスクにさらされる人の比率はますます高まると予想される。

出典:「3. 自然災害リスクの増大についてpdfが開きます」(国土交通省)

日本が抱える災害リスクに対処するためには、災害対応力や避難行動のための情報の確保など、防災のための重要インフラの機能維持が欠かせない。

SDGs11達成に向けて必要なこと

ここまで、SDGs11に関する世界の状況や日本の状況を説明してきた。それでは、SDGs11達成に向けて世界共通でどのような取り組みが必要になるのだろうか。SDGs11達成のために必要とされる4つの取り組みを紹介する。

環境性能評価システム

環境性能評価システムを活用することは、不動産価値や企業価値の向上につなげられるだけでなく、持続可能な建設や管理方法にも役立つ。

たとえば、建物と敷地利用の環境性の評価システムに「LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)」がある。建物と敷地利用の環境性能を、「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」、「サーティファイド」の4つのレベルで評価するシステムだ。

それぞれのレベルの認証を受けるためには、必須条件を満たすとともに、選択項目のポイントを獲得して規定のレベルに達する必要がある。

スマートホームなどの開発

スマートホームは、遠隔操作できる電子機器などを備えた住宅のことをいう。利便性や生活の質を上げるだけでなく、エネルギーの効率的な利用にも役立つとして注目されてきた。

例えば、スマートフォンで確認可能な自宅のエネルギー消費量をモニタリングできる装置や、時間制御ができるエネルギー効率のよい製品の開発などが進められている。

低所得者への住宅支援

低所得者が住宅を持てるように、住宅建設や増築を支援する取り組みもSDGs11達成にとって重要な取り組みに位置付けられている。具体的な取り組みとして考えられているのが、安価な建築資材の開発や金融商品の開発だ。

安価な建築素材は、建築資材の工夫により実現可能で、低所得者への迅速かつ効率のよい住宅建設に貢献する。

また、住宅ローンにまでマイクロファイナンス(小口の融資や金融サービス)を拡大すれば、多くの低所得者が住宅建設資金を確保できる点で大きな期待が寄せられている。

安価で安全な交通手段の開発

公共交通機関を補完する取り組みとして、安価で安全な交通手段の開発も重要な取り組みに位置付けられる。

方法のひとつが、自動車や自転車の共同使用だ。特にカーシェアリングは都市部での導入が進んでおり、大きなニーズがある。さらに、多くの人が安全な交通手段を確保できるようにすることも重要だ。安全な交通手段の提供のために、自動運転の開発や普及が重要視されている。

SDGs11達成に向けた世界各国の取り組み

SDGs11の目標達成に向けて、世界各国でもさまざまな取り組みが実施されている。フランスとイタリアを例に、世界で進められている取り組みを見ていこう。

フランス:過疎化対策

フランスでは、18世紀半ばに起こった産業革命によって工業化が進み、農村から都市部へ移り住む人が増加した。都市へ人口が集中する一方、農村部では過疎化がみられるようになり、1962年から1975年にかけては孤立農村で11万人以上の人口減少が起こっている。

過疎地域に対しては、地域活性化区域における優遇税制を主要施策のひとつとした。地域活性化区域とは、1995年2月公布の「地方都市開発のための方向付けの法律」によって、「厳しい困難に直面し、脆くなっている地域」と定義されている。

地域活性化区域に指定されると、企業は5年間の所得税や法人税の免除、また免除終了後から最長9年間減税を受けることが可能だ。また、最長5年間の職業税の免除といった優遇も受けることができる。

フランスの過疎化対策においては、地方の魅力創出を主な考え方としている点がポイントだ。「地方都市開発のための方向付けの法律」においても、以下のことが明記されている。

地方都市開発政策は国家全体の統一および連帯に貢献し、社会全般の利益の目的となるものである。(中略)経済、社会、文化、スポーツ、教育・職業訓練、環境保護、住宅および生活環境改善分野の発展に関わる政策は、上記の目的の実現に貢献するものである。

出典:「Journal officiel de la République française別ウィンドウで開きます」(Ledifrance)

1990年代からは農村部でも人口増加がみられるようになり、1999年~2007年にかけては約6万人が増加した。

パリ都市圏の人口は、2015年時点で約1,073万人、総人口に対する割合は約17%となっている。

イタリア:高潮対策

イタリアの北東部にあるベネチアでは、毎年秋から冬にかけて発生する高潮が問題となっていた。

2019年11月には、観測史上2番目となる最高水位187cmを記録し、観光地の多い歴史地区のほとんどが浸水被害を受けている。特に、海抜の低いエリアにあるサン・マルコ寺院では深刻な浸水被害が発生し、地下が完全に浸水したと報告された。

ベネチアで高潮対策として計画されたのが、総工費約6,800億円(55億ユーロ)をかけた「モーゼ計画」である。

これは海底に寝かせた形で水門を設置し、高潮の際に水門を起き上がらせることで、潟への海水流入を防止するものだ。

2003年に工事が始まったモーゼ計画は、2019年に完成した。海面が1m以上上昇すると、高潮警報が作動して重さ10トンの巨大水門が上昇する仕組みとなっている。

初めて稼働したのは2020年10月3日だ。最大125cmとなる高潮が予想されていたが、巨大水門によって約70cmに抑えられたと報告されている。

ただし、巨大水門の稼働においては、生物多様性への影響も課題として浮き彫りとなっている。

水門の稼働によって、湿地へ供給される堆積物が年間で25%減少してしまう可能性が示唆されたのだ。堆積物が減少すると、潟そのものを失ってしまうおそれがある。

そのため、イタリアでは巨大水路の稼働にともない、生物多様性を損なわないための対策も課題となっている。

SDGs11達成に向けた日本の取り組み

ここからは、実際にSDGs11達成のために国内で行われている取り組みについて紹介していく。

栃木県宇都宮市

少子高齢化や人口の変化、環境問題などさまざまな視点から快適なまちづくりを進めるために、国内では先駆けとなる「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)」の形成を目指している。

これは都市部を中心拠点として整備することで、周辺の地域拠点とのアクセスや連携を強化・補完することが期待できる。そして、暮らしの質を高めることで、経済面や社会面、環境面の豊かさにつなげるという取り組みだ。

誰もが安心できる生活環境を目指すためにも、緊急時の備えや対応について計画し、地域や住民同士の協力体制を整えるよう働きかけている。

また、未来都市のネットワークを強化するためには「交通」に関する取り組みが重要で、LRT(ライトレールトランジット)と呼ばれる最新の技術が反映された次世代型の路面電車の導入も進めている。

LRTは振動が少なく快適な乗り心地で騒音も軽減できる。また、床がフラットで低いため乗り場との隙間や段差が大幅に解消されるため、さまざまな人が安心して利用できるのが特徴である。

石川県金沢市

多様性や独自性の価値をより高めながら、住民が快適で暮らしやすい環境を目指す取り組みが考えられた。

まず、歴史的な木造建造物が多いことから、木にこだわったまちづくりが計画された。

代表的な金澤町家をはじめとした文化財を活用して、近代的なビルなどにも部分的に木材を用いた。景観を統一することで歴史と新しさが融合した空間づくりが開始された。

子育て支援やコミュニティ形成にも注力した。子供達の利便性を考えて、既存の公園を再生する事業を薦められている。

自然豊かな金沢市の特徴でもある水と緑のネットワークづくりも推進されており、用水を活用した庭園や用水周辺の樹木、老朽化している街路樹などの再生も行われる予定だ。

北海道下川町

下川町は、北海道の北部に位置しており、面積の約9割が森林で覆われている町。農業・林業・鉱業などの基幹産業が発展していたことから、1960年代は15,000人を超える人口を有していた。

しかし、日本の産業構造が変化したことにより、基幹産業は衰退してしまう。その結果、下川町の人口は急激に減少してしまい、1980年の国勢調査では、人口減少率が全国4位を記録した。また、人口が急激に減少したことによって、地域全体の活力が低下していったという。

この課題を解決するために、行政や企業、下川町民が一体となり、ほかの自治体にはない地域特性を利用した取り組みを実施してきた。

そのひとつとして、下川町の地域資源である森林を最大効率に活用した「循環型森林経営」が挙げられる。循環型森林経営とは、「植林⇒間伐⇒伐採」を循環させる森林経営のことだ。この取り組みを推進していくことで新たな価値創出が期待できるといわれている。

また、取り組みを実直に続けてきたことで、近年では取り組みに引き寄せられた若者等がさらに移住して活躍しているという報告がある。

このような地域活性化が評価され2017年に第1回ジャパンSDGsアワードの最高賞「本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞した。

ただ、下川町の人口は減少傾向にあるといわれている。2017年の人口約3,300人から、2030年には約2,500人に減少すると予想されていることから、今後の下川町の動向に注目したい。

SGDs11達成に取り組む企業事例

国際目標である「住み続けられるまちづくりを」の達成に向けて、さまざまな企業が取り組みを実施している。SDGsの目標11に関連した取り組みをいくつか取り上げたい。

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社では、グループ企業としての強みを生かし、全国展開のスマートシティ・スマートタウンの「SMA×ECO PROJECT」を実施している。「SMA×ECO PROJECT」は、年を経るごとに価値を増すまちづくりを目指したプロジェクトだ。

持続可能な都市化を実現するために力を入れているのが、スマートでエコなまち。以下のようなシステムを取り入れて、人々が生活に関心をもち、エコな生活を心がけられる工夫が施されている。

  • 自宅と街の電力使用状況が一目で分かるHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)
  • 太陽光発電による自給自足の電力供給
  • 太陽光で発電できない夜間に活躍する蓄電池
  • 予約すれば誰でも使える電気自動車のカーシェアリング

富士通株式会社

富士通株式会社では、以下のような活動を通じて、持続可能なまちづくりに貢献している。

復興のための義援金寄付

SDGsの目標11では、自然災害からの早期回復、自然災害に強いまちづくりも目標のひとつに掲げられている。早期回復で被災地の復興がスムーズにいくよう、富士通株式会社では過去に複数の義援金寄付を実施してきた。

災害データベースの作成

富士通株式会社は、UNDP(国連開発計画)、東北大学と連携して災害データベースの作成にあたってきた。過去にさまざまな災害を経験してきた日本企業が参画した取り組みだからこそ、世界の災害防止の取り組みに寄与できるのではと期待されている。

バリアフリーマップの作成

持続可能な都市づくりには、社会的に難しい立場にある人たちの支援が欠かせない。高齢者や障がい者などの支援も課題のひとつだ。富士通株式会社では、さまざまな人がスポーツ観戦を楽しみ、安全に移動できるようバリアフリーマップの作成も実施している。

協和キリン株式会社

世界中で進む都市化は、環境面の悪化にも影響してきた。快適なまちづくりのためには、環境に対する対策も欠かせない。協和キリン株式会社では、主に住みやすい環境に目を向け、以下のような取り組みを工場や研究所などで実施している。

  • 富士事業場(静岡県駿東郡長泉町)で、沼津土木事務所と長泉町と協働で河川の清掃を実施
  • 東京リサーチパーク(東京都町田市)で境川クリーンアップ作戦に協賛企業として参加
  • 東京リサーチパーク敷地内に花壇をつくり周辺地域の環境活動に貢献

事業場近隣の地域をクリーンにすることで、持続可能なまちづくりが実現するよう取り組みを行っている。

持続可能なまちづくりのために私たちができること

住みやすいまちづくり実現のためには、私たち一人ひとりが意識して、快適に過ごせるよう行動することだ。SDGs11の達成に向けて個人でもできる取り組みをいくつか紹介したい。

地域の取り組みに協力する

使わないものは捨てるのではなく、寄付するよう心がけることだ。寄付したものは慈善団体に渡りリユースされる。

避難経路の確認

SDGs11では、災害での被害を抑制することが目標に掲げられている。いつ起こるかわからない自然災害に適切に対処するには、日ごろから避難経路や避難場所をよく確認しておくことだ。

家具の配置を工夫

地震のような予期しない災害が起きても、家具の配置を工夫すれば被害を少なく抑えられる。

ものがなだれ込まないような配置の工夫、突っ張り棒や衝撃吸収パットなどを利用したものが落ちてこないような工夫を日ごろから意識することが大切だ。

備蓄の用意や非常持ち出し用のバッグの準備

万が一災害が発生したとき、すぐに外に出られるようにしておくことも重要だ。災害が起きたら必要なものを集めようとする人もいるが、災害に巻き込まれることを考えると良い行動とはいえない。

すぐに逃げられるよう、食料や飲料の備蓄、非常用持ち出しバッグを用意しておき、もしものときに備えておこう。

移動にはなるべく徒歩や自転車を使う

都市化にともなう環境問題も指摘されるようになってきた。大気汚染の影響を少なくするためにも、徒歩や自転車での移動を心がける。自動車を利用したい場合は、カーシェアリングの活用も考えると良いだろう。

まとめ

SDGsの17の目標のうち、11は持続可能なまちづくりがゴールだ。この記事でも取り上げたように、企業が住みやすいまちづくりにつながる取り組みを行っている。

まちに住む私たち自身も積極的に行動することで、住みやすいまちづくりを実現することが可能だ。特に災害に対しての備えは、私たち個人にとっても重要な意味をもつ。日頃からSDGs11達成のために何ができるか考えるようにすると良い。

協和キリンの「社会との共有価値」についてもっと知る

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